謎のスニーカー、大友克洋ダンクを追おう
「追おう」なんて大層なタイトルですが、答えは既に出てます。結論から述べると、一部メディアでリーク情報として扱われている大友克洋ダンクは、数年前から流通してる中国製のパチモンです。
中国発の偽造品スニーカーが大量に生産され、世界中に流通してることは有名な話です。流通しているものの多くは人気スニーカーのコピー品、フェイク品ですが、中には「オリジナルフェイク品」を製造販売する業者もいます。
例えばこちらのモデル、「NIKE AIR FORCE '07 LOW "DORAEMON”」です。無論そんなモデルは実在しません。創造心溢れる中国人が、自ら企画した「俺の考えたイケてる靴」です。村上隆×ドラえもんといった中華系パチではある意味定番のコラボレーションですが、ナイキダンクハイのドラえもんとはまた違った配色に加え、スウッシュに配置された登場人物も中々絶妙で、実際にコラボしたらこのようなデザインも全然あり得そう、といった類いの名作パチが流通しています。
中々どうしてドラえもん感があって良いスニーカーです。
中華勝手コラボモデルは基本的に駄作が多いですが、稀にこのドラえもんモデルのように丁寧にデザインされているものもあり、それがリーク情報に乗っかって実際にリリースされるが如く扱われてしまいます。今回の大友克洋モデルもその一例でしょう。
では改めて大友克洋とナイキダンクのコラボモデルとされるものを確認していきましょう。
大友克洋 × Nike Dunk "Steamboy OST"
黄緑色と灰色のスエードが合わさったオシャレで落ち着いた雰囲気の配色ですが、コラボ感は薄いです。ボックスはスペシャル仕様で、大友克洋の代表作、スチームボーイの図柄が印刷されています。
非漢字圏の人が見たら「大友克洋」の刻印もカッコいいのでしょうが、我々からは少し奇妙なデザインに見えます。また、このモデルには同じく「大友克洋」と刻印された金属製のチャームが付属しています。
スウッシュの縫い目がヘロヘロですが、彼らいわく一応これも「デザイン」らしいです。どこまで本当かは不明ですが。
焦げ茶色ベースに白のレザーをあしらった配色です。COMME des GARCONSとのコラボを匂わせるオリジナルパッケージデザイン付き。
どっからどう見ても節分ダンクの流用です。この辺りの写真を見る限り、パチモノ感も強いです。
この謎の大友克洋ダンクは、業者が各々勝手に様々な種類を製造しているため、カラー違いだけでも10種類以上存在しています。それに刻印の有無などを加えたら有に20種類は超えてしまい、すべて紹介しているとキリが無いので一旦ここで区切らせていただきます。
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まあハナからパチモノだと分かっている靴を紹介してもしょうがないですが、これらの靴はおおよそ400元ほどで購入可能です。為替レートにもよりますが、正規品のダンクよりも安いです。
他にも、あまり見たこと無いデザインのコラボモデルのダンクが「リーク品」としてフリマアプリなどで出回っていたりします(セブンイレブンダンクなど)が、パチ界隈に関わっていると日頃から目にしやすいなんでもないパチモノがほとんどですので、レア品だと焦って高額で購入しないように気をつけてください。
おまけ
しむしこイチオシの中華オリジナルパチスニーカーをいくつか紹介します。
ナイキのダンクと頭文字Dが夢のコラボ!?なんてわけもなく当然パチモノです。頭文字Dの主人公、藤原拓海が乗車しているパンダトレノを再現したような出来ていないような、微妙な配色です。ある意味原作再現ではありますが、「藤原とうふ店(自家用)」の刻印が泣けるほどダサいです。しかし、頭文字D自体の人気度もあり、海外では大変人気を博しているパチモデルです。
この靴の一番ダサいところはアウトソールに印刷された主人公愛機のナンバープレート番号です。簡体字になってしまっている「群馬」の「馬」、非常に気の抜けたフォントである「お」、ヘロヘロ印刷の「13-954」。全てにおいて間抜けで雑なデザインですが、それを実際に製品化してしまう勢いを感じられるのは中華産パチモノだけでしょう。
雑コラボといったって限度があります。真っ白なAF1の側面にテキトーに印刷されているのは、2022年北京冬季五輪の公式キャラクター「ビン・ドゥンドゥン」です。彼は当初全く知名度が無かったのですが、日本の民放が日本向けに「今回のマスコットはこの子です~!」的なノリで紹介したところその動画が中国語圏に拡散、一気に大人気になりました。自国の人気キャラクターをも平等に容赦なくパチモノ化していく心意気はある意味立派かもしれません。
成金趣味にも程があるブートレグです。ナイキとエア・ジョーダンとトラヴィス・スコットとのコラボモデルに散見される「逆スウッシュ」ですが、それをルイ・ヴィトンのダミエ・アズールとモノグラム・キャンバスで構成しています。ただでさえハイプレスニーカーのAJ1をルイ・ヴィトンで再現する…とんでもなく悪趣味です。