パチモノ通販Wishとは何ぞや(Wishの極意)
タイトルに尽きるが、前回書いた「ゴミを売る通販Wishでゴミを買う」という記事中にまとめるはずだった話、「そもそもWishとは何?」について多方面から調べ、まとめていく。
特徴
Wishが扱う商品群と言うのは、この画像に尽きる。少なくともガジェット類においてはパチモノ、模造品、偽物が蔓延っている。
自称定価70,000円で割引価格2,700円のPSVっぽい何かだったり、マリオとPSPっぽい何かが写っていたり、そんなもんだ。自称激安ドローン、有名雑貨の無断コピー品、最初からゲームが入っているマジコン、偽スマートフォン、魑魅魍魎である。ここで売られている化粧品や雑貨に関しては他にレビューしている人が多数いらっしゃいますのでそちらをご参考までに。
大幅な値引き(もどき)を常に行っており、製品ページの左上には定価から何割値段が引かれているのか表示されるので一瞬ワクワクするのだが…
パチモノWiiリモコンが定価28,000円な訳がない。本体より高いし。そう、早い話がここに書いてある割引率は全て嘘。信じてはいけない。
また、この「1450円」と表示されている値段もバリエーションの中で一番安い値段を表示しているだけで、「結局欲しいモノは表示より数千円高い」という事も多々ある。日本だったらJAROの指導が一発で入る表記だ。
私が購入した製品に関しては、別途記事にて感想を述べています。
ゴミを売る通販Wishでゴミを買う(製品レビュー第一弾) https://note.com/sim4562/n/ne3e56c2db3d2
顧客からの評価
顧客からの評価を見てみよう。Android、iOSともに通販アプリとして進出しているため、今回はGoogle PlayストアとApp Storeを参考にする。まずはAppストアの方を見ていこう。
App Storeの評価、レビュー
おっと。
おお。
…
これは穏やかでない。その他のレビューにも「ハッキング」「コピー商品」「届かない」といった単語が目立つ。
この人らのレビューを纏めると、「玄人向け」「Amazonのような質は全体的に求めてはいけない」「面白さ優先」「届かない」「質が低い」「偽物」、らしい。
それでも評価とレビューは何とびっくり高評価の4.3であるが、どうも高評価のレビューを見ると胡散臭い。というのも、
…何か雑なのである。左上に存在するクーポンコードは使用されるごとに貼った本人に対して200円ほどのリワードが与えられるという仕組みなのでこれのために高評価を押しているという状況なのだろう。全体的に数単語で超簡潔にまとめられているレビューが多い。それ故に全体的に高評価レビューは何処か、中国人民13億の人海戦術に頼った高評価といったサクラのような香りを感じる。…というか多分そうなのだろう。
Google Playの方を見ていこう。
Google Play
次。
Appストアよりかは、目につく範囲では好意的な評価が多い。しかしどうも当人たちは「宝探し」「ダメで元々」と言った感覚で使用しているっぽく、Amazon等と比べたレビューに関してはやはり低評価の嵐である。おそらくGoogle側、Android民は「玄人」が多いのだろう…
言葉としては「値段相応」「届くのが遅い」「詐欺」「包装が雑」と言ったモノが目立つ。この辺はAppの方とたいして変わらない。実際の消費者の総意としてはやはりその辺が多いのだろう。
使った本人、私の感想も述べていく。
しむしこ的感想
検索機能:ゴミ寸前、といった具合。中々欲しいものも表示されず、ジャンル分けも大変雑で雑貨を見ているのにスマホが表示されたりする。しかしこれはどうやらわざとらしい。後述。
配送:到着までは、私は最低20日。最長2ヶ月。MIA(貨物行方不明)は稀に。位置情報は一応表示される。追跡機能は途中まで有効、途中より働かなくなる。送料はまあ普通。中国郵便と燕文物流でMIA率だったり到着までの時間が大きく異なる気がする。後述の追跡サービスで何処が自分の荷物を担当しているか確認してみてもいいかも知れない。
ちなみに「MIA」は本来は戦場で行方不明になった兵士に対して使うもの(missing in action)らしいが、Wishの商品は郵送費節約のため、コンテナの隙間にブチ込まれ様々なところを盥回しに目的地に向かう。日本は中国と隣国なので台湾経由で直に来ることが多いがアメリカなどでは本当に揉みくちゃにされきった商品が来ることが多いようである。郵送の戦場において行方不明になった荷物を弔うために、アメリカではWishの荷物が行方不明になった際に「MIA」と表記するらしい。(聞いた話だから本当かは定かではない)
品質:まあ値段相応。日本で通常生活していたら、まず目にしないであろう品質の低さである。私自身が高い商品は怖くて購入していないことは許して欲しい。ガジェット類は詐欺商品も多い。あれだけ怪しい商品の記述を全て信じて購入する人も中々いないと思うが…
カスタマーサービス:ゴミ。返金申請も何もあったものでもない。Paypalの買い手保護機能を使っていなければ何もできないだろう。返事は基本自動返信、問い合わせたいことは選択制。問い合わせたいことが選択肢に無ければ諦める。何回か返金申請を行うとその内「ウソついてんじゃねえの」と返金申請が出来なくなる。
ここまではWishがどんな通販なのかについて述べてきたが、ここからは「どんな会社なのか?」について調べた上で述べていこう。
Wishはそもそもどういった会社?
アメリカ版Wikipediaによれば、サンフランシスコに本社を置く通販会社。運営元はContextLogic Inc。従業員900人。
会社のHPを読んでみる
通販サイトから公式サイトか何かに飛べないかと探し回ったらひっそりとURLが貼られていたのでそこから飛んでみる。
ここはWishの採用情報が書いてある場所らしい。日本もアメリカも採用情報は自社の特徴であったり良いところ(と自分で思っているところ)が書いてあったりするので調べたい会社の特徴を掴むには便利だ。
えーと…まず初めに書いてあった文章を訳してみよう。
「E-commerce for All
Wish is a leading mobile-shopping app that sells a huge variety of affordable products to shoppers around the world. Items ship directly from merchants, so prices are 60-90% cheaper than they are in stores.」
「すべての人のためのEコマース
Wishは、世界中の買い物客に手頃な価格の商品を販売している大手モバイルショッピングアプリです。商品は加盟店から直接出荷されるため、価格は店頭よりも60~90%も安くなっています。」
…少なくとも全ての人向けでは無いだろう。低い顧客サービス、低品質な商品を受け入れられる玄人にしか向いていない通販だと思う。価格が安いのは加盟店から直接出荷されるからだそう。パチモンだからじゃなくて?
「An Industry Leader
Founded in 2010, Wish has quickly grown to become one of the largest e-commerce companies globally. Hundreds of millions of people from 100+ countries rely on Wish every day to buy affordable goods.」
「業界のリーダー
2010年に設立されたWishは、瞬く間に世界最大級のeコマース企業に成長しました。100カ国以上の何億人もの人々が、毎日Wishを利用して手頃な価格の商品を購入しています。」
業界のリーダーはちょっとでしゃばりすぎな気もしないが、実際はどうなのだろうか。この言葉を鵜呑みにするなら、展開している国は100カ国に上るらしい。
その後暫くはIT企業らしい「失敗は良いこと」「直感に任せる」などといった理念が書かれている。
中々多くの国にオフィスを構えてる…わけじゃないな「No Openings」て書いてあるもんな、どうしてそういうことをするんだい。どうも胡散臭い。
ここに記載されている地名、「サンフランシスコ」は言わずもがな、説明不要だろう。隣の「サンジョーズ」はスペイン語読みの名前で、英語名は「サンノゼ」、というシリコンバレーの近くの都市になる。「トロント」はカナダの大都市、「シアトル」もアメリカの都市。「アムステルダム」はオランダ(ネーデルラント)の首都である。「上海」も説明不要だろう。「Hangzhou」は「杭州市」である。日本人にとっては北京や上海と比べると些かパッとしないかもしれないが、一説には5000年前から存在する中国八大古都の一つで人口は一千万人超え。この規模で中国国内では8番目の規模というから恐ろしいが、ともかく大都市である。日本で言うところの京都のような、古くも発展した都市だ。
「Shenzhen」は「深圳市」で中国国内でも特に経済が発展しており、同時に電脳化が進んでいる都市である。元々は人口3万人の小さな漁業を中心とした町であったが、1980年中国初の経済特区指定を受け、現在は人口1300万人の大経済世界都市、金融センター機能を持っている街になる。と同時に電子部品、ガジェットを多く扱う地域や、偽ブランド商品、パチモノを多く扱う地域があったり、それらを多く扱う羅湖商業城というショッピングセンターが存在する。少しルーツが垣間見えたか…?
ここで採用情報ページの記述は終わっているが、下にWishについて良いことが書いてある経済記事が載っている。読んでみよう。
Wishの実際の規模
「Wish may break $2 billion in revenue this year」https://www.businessinsider.com/wish-revenue-could-break-2-billion-this-year-2018-6
URLを見る限り2018年6月の記事らしいが、記事中に日付が書かれていない…
一応ビジネスインサイダーは技術系を扱うサイトで有るので、ある程度の信頼性を持って読んでみる。原文を載せると駄々長くなってしまうため、翻訳した文章を一部一部乗せていく。後に纏めるので読みたくない人は飛ばしてもOK。
「ディスカウントとモバイルショッピングに特化したEコマーススタートアップのWishは、2017年に初めて10億ドル以上の収益を上げたと、CEOのPeter Szulczewski氏がCNETに語りました。」
「このスタートアップはまた、4月時点で7500万人の月間アクティブユーザーを集めており、そのマーケットプレイスには100万人以上の加盟店があり、2億点を超える商品セレクションを誇っています。」
「Wishの業績と推定評価額85億ドルは、その割引価格によって成り立っている。このプラットフォームはディスカウントに焦点を当てており、多くの商品が90%オフ以上の価格で販売されています。同社は、メーカーから直接製品を販売し、他の方法の中でも特に1ヶ月間の出荷期間を持つことで、このような急な割引を管理しています。」
「マーケットプレイスは、衝動買いを促進することで、その超低価格を活用しようとしています。商品の割引価格を大幅に高くなったはずの元の価格の横に表示したり、他の消費者がその商品を何人購入したかを表示したり、「もうすぐなくなります!」と叫んで消費者を追い込んだりしています。これらの戦術は、消費者に予定していなかった購入をさせることができ、Wishは衝動買いをする消費者や、低価格を求めている非常に価格に敏感な消費者に消費者基盤を与えています。」
「WishはGoogle Playストアで無料ショッピングアプリのトップに立ち、サイバーマンデーには200万人以上のデイリーアクティブユーザー(DAU)を獲得し、Amazonの130万人、eBayの80万人を凌駕しました。」
…纏めると、
「10億ドル以上の収益」
「評価額は85億ドル」
「7500万人以上の月間利用者」
「サイバーマンデー(感謝祭の次の月曜日、アメリカにおいてはオンラインショップのセール祭りが行われる)では1日に200万人の利用者」
「サイバーマンデーでのWishの利用者はアマゾン、eBayより多い」
「衝動買いを促進させる戦術を取っている」
ということになる。
………
大きい通販だな。………いやいやいやいや!!!!!流石に良いことばかり言われすぎてる!!!!!だったら日本市場がいくらガラパゴスだと言ったってWishの知名度が低すぎやしないか?
追加調査:本当の市場規模編
追加で調べよう。
各社のECサイトのアクセス数ランキングを世界別、国別で見ることが出来るサイトを発見した。アクセス数なので売り上げ規模とは若干差異があるだろうが、そこまで大きなものでもないだろう。
ランキングを見てみよう。まずは世界から。
1位は当然の如くamazon.com。2位にeBayが続き、3位には日本Amazonがランクインしている。そして4位は楽天。これはアクセス数の話なので一概には言えないが、察するに結構日本市場も大きいんだな…。5、6位にドイツ、イギリスAmazonが続き、7位にウォルマート。8位にようやく中国系通販AliExpressがランクイン。9位はみんな大好き淘宝網。ちなみにこの淘宝網は前述の浙江省杭州市に本社を置いている。Wishは影も形も見えない。
…依然姿は見えない。
あっ居た!31位!?ひっく!!!!
36、37位にヤフーショッピングジャパンと価格.comがランクインしてきている辺り、どうも規模が小さいように思える。どうも自社サイトで語っていた「世界最大級」は眉唾物な気がする。
Wishは一応アメリカ企業なので、アメリカのEC市場のランキングを見てみよう。2020年3月の記事なので、データが古いということもなかろう。
影も形も無いんすけど!?少なくともEC全体の売り上げシェア的にはアメリカにおいては1%未満っぽい。
い、いや!Wishはモバイル通販アプリを専門に展開しているだけだし!!!モバイル通販アプリのランキングを見たら変わるはずだし!!
2019年9月の1ヶ月間におけるアメリカ通販アプリにアクセスした人数のランキング。
居た。上から9番目。単位はmillionなので、えーと月間アクセス者数は2767万人。アマゾンの5分の1以下である。アクセス者数で負け、市場規模で負けているなら彼は何を以て「業界のリーダー」「世界最大級」と自負していたのだろうか…
売り上げに関しては有効なデータが得られなかったが、「アクセス者数で負けてる上に商品単価は他より安い」なら、少なくともアメリカにおいてはランキングがこれより下がることはあっても上がることは無いだろう。
が…まだ話は終わらない。
衝撃の記述
この記事ではWishがアメリカの世帯の41%が価格流動性が高く、ゆえに超低価格の通販に勝機を見出したこと等戦略について述べられているが、それ以上に衝撃の記述がある。
「Wish was the most downloaded shopping app worldwide in 2018 and is now the third-biggest e-commerce marketplace in the U.S. by sales. Globally, some 90 million people use it at least once a month. Taking a 15% cut of their purchases, Wish doubled its revenue last year, to $1.9 billion. As of its last fundraising round, it was valued at more than $8.7 billion, and Szulczewski’s 18% stake makes him a billionaire. (His cofounder, Danny Zhang, owns just 4.2%.) Szulczewski says investors should expect an IPO in the next year or two.」
「Wishは2018年に世界で最もダウンロードされたショッピングアプリで、現在では米国の売上高で第3位のeコマースマーケットプレイスとなっています。世界的には、約9000万人が月に1回以上利用しています。彼らの購入額の15%をピンハネすることで、Wishは昨年の収益を2倍の19億ドルに伸ばしました。最後の資金調達の時点で、それは87億ドル以上で評価され、Szulczewskiの18%の株式は、彼を億万長者にさせました。(彼の共同創立者、ダニー・チャンは、わずか4.2%を所有) Szulczewskiは、投資家は来年か2年以内にIPOを期待すべきだと言います。」
2018年に世界で最もダウンロードされたショッピングアプリ。なるほど。…マジで?
これなら確かに「世界最大級」「業界のリーダー」と述べたくなる気持ちは分かる。しかしこの記述、根拠が無い。(何処かにデータがあるのかもしれないが発見できず)
いやいやいや、アクセス者数はアメリカ国内ですら9位、世界だと31位だったじゃん。なのに売り上げ規模は3位?もう意味が分からなくなってきた。
「Wish is hardly the first e-commerce app to track every customer click—Amazon built a $200 billion annual sales colossus on precisely this sort of data. And Wish is competing with both Alibaba’s AliExpress and Amazon in offering shoppers a never-ending stream of Chinese-made items from third-party sellers. But while Amazon keeps adding features like streaming video and two-hour delivery to yoke customers to its Prime membership service, Szulczewski (pronounced sull-CHESS-key) doesn’t worry much about quick delivery or quality. Wish sweaters cost $2 plus $2 shipping, Apple Watch knockoffs go for $9 (plus $3 shipping) and Android smartphones list for $27. Products can take weeks to arrive. Shoppers scroll through an average 600 to 700 items, hypnotized by a pixelated parade of weird and wacky products that scratches the same visual itch as an Instagram feed. Around 80% of Wish’s first-time customers will return to buy a second time.」
「顧客のクリックをすべて追跡するEコマースアプリはWishが初めてではないが、Amazonはまさにこの種のデータに基づいて年間2000億ドルの売上を上げています。そしてWishは、買い物客にサードパーティの売り手が提供する中国製の商品を無限に提供するという点で、アリババのAliExpressとAmazonの両方と競合している。しかし、アマゾンがプライム会員サービスに顧客を縛り付けるために、ストリーミングビデオや2時間配達などの機能を追加し続けている間、Szulczewski氏(発音はスル-チェス-キー)は、迅速な配達や品質についてはあまり心配していません。Wishのセーターは2ドル足す2ドルの送料、Apple Watchの偽物は9ドル (プラス3ドルの送料) 。Androidスマートフォンは27ドル。製品が到着するまでに数週間かかることがあります。 買い物客は、平均600~700点の商品をスクロールしながら、インスタグラムのフィードと同じように、ピクセル化された奇妙で奇抜な商品のパレードによって催眠術をかけられています。Wishを初めて利用した顧客の約80%は、2回目の購入のために戻ってくるらしいです。」
おそらく、アマゾンが買い物以外のサービスを充実させていったのに対しWishはより顧客が衝動買いしやすい物を表示させていく方に特化したのだろう。私が大昔に「ゴミ」と言い放った検索機能と絡めて考えてみると確かに、「この値段なら試してみても良いかな」と思ってしまうようなゴミがかなり表示される。すっかり罠にハマってしまっていた。というか記事中で「偽物」って述べられちゃってるじゃん。
「A more existential problem: Lots of the stuff on Wish is trashy, shoddy, even fraudulent. There are hundreds of negative reviews for Wish on review sites like Trustpilot and HighYa. Customers are unhappy about unresponsive customer service, merchants who don’t send their orders and poor-quality goods. Szulczewski has hired Connie Chang, a former community manager at Facebook, to fix the problem. In an act of thrifty opportunism that would impress Jeff Bezos himself, she’s organizing roughly 10,000 Wish users to help the company weed out shady merchants in exchange for free goods and discounts. But Szulczewski seems unfazed by the quality-control challenge, pointing out that sometimes customers themselves are the problem. “We sell 5 million contact lenses a year,” he says. “Someone’s going to sleep in them.”」
「もっと実存的な問題:Wishに掲載されている商品の多くは、粗悪品、劣悪品、さらには詐欺的なものです。TrustpilotとHighYaのようなレビューサイトでのWishの否定的なレビューは数百存在します。顧客は、応答のないカスタマーサービス、彼らの注文と低品質の商品を発送しない商人に不満を持っています。Szulczewskiは、問題を修正するためにコニー・チャン、Facebookの元コミュニティマネージャーを雇っています。ジェフ ・ ベゾス自身を感動させる倹約日和見主義の行為で、彼女は約1万人のWish利用者に対し無料の商品や割引と引き換えに日陰の商人を取り除くのを助けるために。しかし、Szulczewski氏は、品質管理の課題には動じないようで、時には顧客自身が問題であることを指摘しています。"私たちは年間500万個のコンタクトレンズを販売しています。"と彼は言います。」
この通販の創始者が詐欺的な商品を売っている事に開き直っている。只者ではないな…。やっぱりWishは日本的な考えで挑んではいけない魔窟通販であった。結局、Wishの実際の立ち位置についてはいまいち不明。いかんせんWishが世界最大級である根拠が存在しないのである。検索しても出てくるのはWish自身が述べたデータしか無い。アメリカではどのような評価を得てるのか…
追加調査:アメリカでの評判編
アメリカの事はアメリカ人に聞こう。今回は2名に聞いてみた。いやーTwitterって便利。
1人目。
俺「久しぶり!ちょっと聞きたいことがあるんだけど良い?『Wish』て通販さ、アメリカで人気ある?貴方はWishの事はどう思ってる?」
相手「Wishは此処ではかなり人気があるよ。俺は一度か二度しか使ったことが無いけど、一般的には痛みのない経験だった。UIはかなり良い。」
俺「製品への品質に不満は?」
相手「無い」
おろ?意外と好感触。日本ほどアメリカでひどい評価を受けていない。お国柄なのか、カスタマーサービスに差があるのか…もう1人の返答がこちら。
相手「聞いたことがあります。どのくらい人気があるのかはわかりませんが、比較的似たようなアプリであるにも関わらず、こちらのAliExpressよりもはるかに人気があります。私はそれを知っています。
私の意見は、誰の時間の価値もない安い中国のゴミだということです。一般的にはあまり良い印象はありません。一部の商品はそれだけの価値があるかもしれませんが、私がそれを見た限りではゴミの海です。友達がAliExpress(似たような中国の通販アプリ)を使って安い商品を手に入れているのを知っています。Amazonではマークアップで転売されている商品が多いので、それらの商品を普通の価格で手に入れたいのであれば間違いなく良いと思います。そうでなければ(Amazonで高価格なのを)気にしない。」
たった2人に聞いたのにほぼ真反対の答えが返ってきた。もう無理。結論が出ない。
一応の結論
多分アメリカに於いても世界に於いても、日本と同じく、「品質に差があり人によって好みの分かれる当たり外れのデカいギャンブル通販」というところが本当なのだろう。知名度はそこそこあるようだが、Wish自身が述べている規模ほどでは無いっぽい。やっぱり変人が度胸試しに変な製品を買う場所という事だ。
購入する時の注意点
ここまで読んでも尚「私もWishで買い物してみたい!」という酔狂な人への注意点を伝授しよう。清純な心をお持ちの方はこの通販を使わないことを強くお勧めします。
必ず決済はPaypalで
こんな怪しい通販にクレジットカードを登録したら最後、聞いたこともない何処かの共産国で羊を購入する際の決済に使われるのがオチである。Paypalという一機関を通すことで安全性が増す上にPaypal社の買い手保護サービスというものが利用できるようになり、返金申請や交渉が楽に確実に行える。安全性の面からも登録等の少しの手間も渋ってはいけない。絶対に。
商品説明を開いて読む
相手は性根が腐った中国業者である。画像ではハードディスクが描かれていても、実際はハードディスクケースのみ等の確実にミスリード目的の製品もかなり多く存在する。全ての相手の製品を疑い、確実に製品説明を読み、中身を理解してから購入するように。こんな騙し討ち同然なモノでも相手側から「書いてあったじゃん」と言われてしまったら返金交渉は難しくなる。我々が如何にJAROに守られているか、それに感謝しつつ全ての相手を疑おう。
気長に待つ
「日本とは状況も価値観も何もかも違う」と散々述べてきているが、残念な事に幾つかの製品は配送中に行方不明になったり、そもそも詐欺商品で発送すらしないモノも沢山ある。また、発送したと言われたって相手が嘘を付いている場合もある。こんな戦場だと、真に落ち着けるのは商品が実際に届いた後からだ。
しかし、そうは言っても製品が何処にあるかぐらいは確認したい。郵便追跡サービスや「Packages24」「Track17」を使って調べよう。
Wishの場合注文履歴のページに小さく追跡番号が表示されているので、それを使って実際に発送されているかどうか確かめることも出来る。
Packages24。
これは先月深圳を発って以降行方不明になっている私の荷物。深圳からのルートは基本速く、1、2週間で来るイメージがある。今回の場合も中国南方航空385Z便に乗って素直に日本に来ると思っていたがどうやら何処かで引っかかっているっぽい… 調べるとコロナ下ではCZ385便は止まっていたようだが、現在は普通に定期便も毎日飛んでいるのでやはり何処かでMIA化する事態になってしまったのだろう。
上に英語で書いてあるとおり、中国郵便は国外に出た時点で追跡が不可能になるので気長に待つしかない。これより後に注文した品がバンバン台湾郵便経由で届くのは気になるが。
だが、とりあえずは発送されている事はこれで確認できた。荷物が行方不明になっているのは発注した業者の所為では無い(はず)なので、恨むべきは中国郵便である。
荷物を請け負っている会社もここで確認できる。今のところ使用された会社は「燕文物流(Yanwen)」「中国郵政(China Post)」「台湾郵政(Taiwan Post)」「Wish Post」である。イメージ的には一番確実に届くのは台湾郵政かな…?中国郵政は割と事故る気がする。Wishポストはよく分からない、香港を通ると使われるっぽいけども。燕文物流は遅い。忘れた頃に動き出す。まあ日本国内同士の送料より安いし…
荷物が届かないと焦るかも知れないが、世の中そんなもんである。60日ほど経過しても動きが無い場合は返金申請などと言う具合の精神で行こう。
届いていないのに「届いた!」と先方から主張された商品の追跡番号を検索にかけたモノである。この通り番号は存在せず、嘘の番号が伝えられていたことが分かった。こういう時は、容赦なくこんな業者を放置しているWishに対してブチギレよう。
常識的に考える
いくら規模の経済が発生すると言ったって、常識的に考えて2TBのUSBが400円で購入できるわけが無い。十中八九、容量が偽装された品だろう。騙される方が悪い、という訳では無いがある程度こちらも警戒して臨むのが吉である。ネタで買う分には構わないだろうが。
ここまで来るとヤケクソ感が出て逆に面白い。最早来年ですらない「2023」(この文章は2020年5月に書かれた)と言う数字に子供でも嘘だと分かる「20000000mAh」の数字。2千万ミリアンペアである。そんなモバイルバッテリーは中国製どころか世界に存在しない。値段が1200円というのも怪しすぎる…というかこんなモノに騙される人など居るのだろうか。
総評
Wishは小さくは無いが大きくも無い、中途半端な立ち位置の通販で中国製のパチモノを安く、時に詐欺的に販売して稼いでおり、それを運営は問題視していない通販ということが分かった。やはり玄人か変人にしかお勧め出来ない、商魂と怨念が渦巻く真っ黒で血生臭い通販である。遊びで使うにはこんなに楽しい通販はないが、素直で従順で可愛らしい無垢な心を持つ日本人はこんな通販なぞ利用せず、安全に楽天かヨドバシでモノを買って日本国内に金を回そう。
本文中じゃ少ししか言及しませんでしたが、直接販売者にブチギレることが出来る、細かい暗黙のルールが成立しきっているという面では同じく中華系通販AliExpressの方が遥かに上です。商品検索機能もUIの完成度もあちらの方が上で唯一違うのは若干の値段の差。中国系通販に手を出したいならWishよりもAliExpressの方が良いと思います。
どの口が言ってんねん。
了。
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