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Air Jordan1 Low × Travis Scott "リバースモカ"の偽物と本物を比較してみよう(フェイクの見分け方)

前置き

今回取り上げるのは個人的にはトラヴィスコラボモデルで一番カッコいいと思う、Reverse Mochaことリバースモカです。ハイプレスニーカーの定めというか、記号消費の礼讃の果てというべきか、どうにもこうにもフリマアプリだのなんだの偽造品が大量に出回っています。

もちろん安全な販路で購入するのが一番ですが、例えばスニーカーダンクはクソ高い手数料を差っ引く割には4545チェリーダンクを鑑定通したり明らかパチモンのベアブリックを通したり、最近はやりたい放題です。他にもバイテンであったりCarry MeであったりCheckGoodsであったり様々なスニーカー二次流通プラットフォームが存在しますが、どこも何も考えずに参入したのかお互いがお互い客を食い合っている状態で各社盛況とは言い難い状態でしょう。

今回のこのnoteはそんな状況に辟易してまあ一応?安く買えるかもしれないし?メルカリとか覗いちゃう?って方々に向けての記事です。ぜひご参考にしてください。

選手紹介

上から正規品、GD、13万です。

今回比較するのはこちらの3点です。

1点目は正規品リバースモカ、正式名称を「Travis Scott × Nike Air Jordan 1 Low OG "Reverse Mocha/Sail and Ridgerock"」(トラヴィス・スコット × ナイキ エアジョーダン1 ロー OG "リバース モカ/セイル アンド リッジロック")と言います。長いですね。一応、鑑定は複数社通っているので正規品とみて間違いないと思います。

2点目は現在覇権を目指し躍進中!お隣中華人民共和国から輸入したGDバッチリバースモカです。価格は600元(2023年3月為替レートで11,400円ぐらい)でした。本当は価格と品質のバランスが良く人気なPKバッチかご存知有名所のLJRにしようと思いましたが、まあ比較するだけだったら別にいいか、とも思い在庫が潤沢なGDにしました。一応純原級を名乗っていますが、おそらく超一流の品では無いと思います。

3点目は私がメルカリできっちり騙され掴まされた偽造品リバースモカ、13万円リバースモカです。ええ、そうです。普段偉そうなこと言ってるくせにきっちりメルカリで騙されて掴まされました。箱無しでこの値段で、おまけに相手が「偽物を売ることは犯罪と認識しています!」と明記してたので流石に本物だろうと信じ切ってしまったんですね… ちなみに現在警察に証拠品として任意提出済みで、場合によっては検察庁送致までなされるそうなので手元には残っていません。相手は正規品として売りつけてきたので、もちろんバッチは不明です。出来としては、正直GDと比較した際も一長一短なのでそこも踏まえてみていきましょう。

ちなみに、現在YouTubeなどでアップロードされている「リバースモカ比較してみた!」系の動画は参考になりません。なぜなら、大抵は比較対象のパチモンの質が低すぎて話にならんレベルもしくは「ある特定の偽造品のみの特徴」を示しているからです。大事なのは正規品との比較観察なので、そこも重点的に見たほうが良いと感じます。

唯一参考になりそうだったのが、CheckGoods元代表の白龍氏の動画でしたが、なぜだか削除されてしまいました。

現在彼は体調を理由にCheckGoodsの運営から退いていますが、おそらくその辺りで何かしらのやりとりや取引、権利関係の問題が発生したのではないか、という邪推をしています。

話がそれました。それでは比較していきましょう。

最初に明記しておきますが、ぶっちゃけ質感等に大きな差は無いです手にとってマジマジと見るならまだしも、実際に履くのであれば差は気になりません

奥がGD、左下が正規品、右が13万パチ。

まず改めて、三足の比較です。俯瞰からの写真。ここからは各々スエードの色味が違うことが分かります。が、逆に言えばそれぐらいです。

箱・付属品の比較

まずは箱の比較からいきましょう。13万パチに関しては箱無しの状態で購入したのでもとよりありません。

左がパチ箱、右が正規。

直接比較すれば分かりやすいですが、単体で見ると気づかないかもしれません。このバッチに限らず、またリバースモカに限った話ではなく、中華系偽スニーカーの箱全般に言えることとして「黄色く、全体的に暗い色」をしています。慣れれば割りと箱だけで見分けが付きやすいです。

また、箱の潰れに関しても重要です。

この中に箱が直接入ってる。酷いときは完全にひしゃげた状態で届きます。

業者にもよるのですが、パチスニーカーはこういった中国系の安く薄く脆くておまけに臭いダンボールに入れられてEMSで送付されることが多いです。即ち、大変潰れやすいのです。もちろん日本で流通したものにも、多少なり箱が潰れているものも多いですが、メルカリなどで製品を探す際は正直箱が大いに潰れている時点でまず偽造品であることを疑ったほうが良いです

じゃあ潰れてないから安心なのか?といえばそうではなく、業者によっては大変丁寧にプチプチに包まれ角まで補強された状態で中国から送ってくれる=箱がキレイなので、安易に正規品と判断するのはやめましょう。

上がパチ、下が正規

箱の印刷に関しては色味の他に、デカロゴの右下の「NIKE and the SWOOSH~…」の印字の太さが異なります。こういった細かい精度の印刷は正規とパチとで差が出やすいので、メルカリ等で探す際はこの写真を拡大して比較してください。

左がパチ箱、右が正規

裏側の比較です。今回入手した正規品は中国での流通モデルらしく、裏には合格証が貼ってありました。中国は現在は事実上の市場経済を取っていますが、開放改革路線以前は純然たる共産主義国家であり計画経済下にありました。共産主義の宿命か、当時市場に出回る製品は基本的に粗悪なものであり、使えるモノこそが最も価値が高く至上であったことは中国人の意識に深く刷り込まれています。そのため現在でも、内外の企業問わず製品の確実な品質を保証することを明記した「合格証」は中国においては必須です。もちろんそんなものは建前上であり、実際は合格証すら偽造されたりするので品質保証上の意味はほぼ無いのですが、中国人のメンタリティにとっては非常に重要です。

また話が逸れました。全体的な印字の精度が異なり、やはり正規品のほうが綺麗な印刷です。特に左上の印字の英語の小文字の距離感に注目してください。ここも、比較ポイントになると思います。

左がパチ、右が正規。何故か正規のほうがしわくちゃ。

包装紙も重要です。やはり印刷精度、色味が違います。

左がパチ、右が正規。

他のトラヴィスコラボモデルでも同様ですが、印刷の裏写りはやはり異なります。右の正規品の透け方を参考にしてください。パチモノは基本スッケスケですが、正規品は明らかに「白み」を感じます。

正規箱タグ。
偽物箱タグ。

箱タグに関しては肉眼で比較しようと思っても、正直難しいでしょう。一応比較すると偽物側のほうが「VOLIE/UNIVERSITE」などの印字がびっみょ~~~~~~~~~~~に太いです

また、偽物の方は箱タグに何かしらの細工を施されていることがあります。今回の場合は青字の△が書かれています。これは現地業者の流通ルートを暗示するマークのようですが(縄張りマーク的な意味合い?)、判然としません。他にも「T」の字のスタンプが押されていたり、赤い二重丸が書かれていたりと種類は多いです。ともかく、箱タグに何かしらマークなりスタンプなり細工が施されていたらその時点でほぼ確定で偽物なので購入するのはやめましょう。もちろん、何も細工が施されていない場合も多いので、これだけで判断するのも避けましょう。

正規MCMシール。縦筋が見える。
パチMCMシール。ツルツル。

これも1stトラヴィスの頃から共通ですが、MCMシールのシワの有無も判断材料として使えそうです。相変わらずシワが無い方が偽造品です。昔から指摘されている問題点のMCMシールのシワですが、数年経過した現在でも未だに改良されていません。これは単純に製造側のコストの問題の気がします。

本体比較 正規 vs GD編

それではいよいよ本体の比較に写っていきます。

冒頭でも掲載した写真ですが、改めて観察してみます。上から正規品、GD、13万パチです。各々スエードの色味が異なりますが、光の当たり具合によっても異なります。特に肉眼で見た際は、正規と13万の差は小さいです。

スエードの色味に関しては、正規品が一番薄く明るく感じます。偽造品は各々暗め、黒味が濃い目の印象を受けます。また、毛の逆立ちについてですが、正規品は意外と大したことなくGDバッチが一番逆立つように感じました。

上が正規品、下がGD。

目印として変な紐の通し方をしてある上が正規品、下がGDです。このように、写真次第ではスエードの色味の濃さの差は小さくなります。
正直、特徴的な大きな差異は見当たりません。革の質感も正規パチ問わず個体差によって大きく異なります。
正規品の特徴として挙げられるのが、「縫い目の穴の大きさ」「スウッシュから斜めに生えてる縫い目の端の返し縫いの数」「同じく斜め縫い目の角度(弧を描くように走っている)」「同じ斜め縫い目の針穴の数」です。これらはトラヴィスジョーダンローシリーズの正規品について割りと共通している事項です。穴が空くほど眺めて比較してみてください。メルカリなどで流通している製品のうち、粗悪なものに関してはこれである程度見分けが付きそうです。
今回のGDバッチとの比較でも、針の穴の大きさも結構似通っているため比較が難しいです。

上が正規、下がGD。

内側については、Cactus Jackのロゴの色味が正規品に比べ少し暗っています。(写真では影になっているため余計暗く見えます)一部では「C」の文字が縫い目にかかっているかいないかで正規品判定が出来ると言われていますが、写真の通り位置に大きな差は無いように感じます。おそらく個体差の域でしょう。

左がGD、右が正規。

ただし、気をつけないといけないところとして、これは写真を撮ったスマホ側の補正によるところが大きいところが挙げられます。この写真も左右で色の濃淡が分かれていますが、肉眼ではこれほど分かれていません。また、文字の色味も肉眼で見た際にほぼ差は無いです。偽物は暗く映りやすいとして把握してください。

左がGD、右が正規。

アウトソールの刻印パターンの比較です。刻印パターンについては正規品偽造品ともに工場によって異なるそうで、具体的にこの刻印だから正規品・偽造品と判断は出来ないようです。見たところの比較では、微妙に偽物のほうが刻印パターンが深いです。

左がGD、右が正規。

全体図比較。写真では分かりづらいですが、肉眼で見るとアウトソールの色味が正規品のほうがわずかに白っぽいです。

GD。
正規。

肉眼で比較した際、NIKEAIRの文字に関してビミョーーーーーーーーーーーに正規品側が明るいです。が、穿って見たってほぼ分かりません。コバ処理等は偽物のほうが綺麗です。違いを挙げるとすれば、外周の縫い目の大きさでしょうか。正規品は一定な大きさな一方、非正規品は縫い目によって大きさが異なります。もしかしたら判断材料として活用できるかもしれません。

左がGD、右が正規。

裏側の刺繍の比較です。大きさが違って見えますが実際は差はありません。革の問題か縫い目の問題か、表情が少し異なって見えます。また、GD側に関しては踵の革を間違えていますが、これはGDバッチ固有のものでありすべての偽造品に当てはまるわけではありません。

LJR製。

例としてLJR製の踵を貼っておきます。踵の革の質感に大きな問題は見当たらないですね。

左がGD、右が正規。

靴底縫い目の比較です。

GD縫い目。
正規品靴底。

これもまた非常に分かりづらいですが、正規品のほうがより短い糸でガッチリ靴底と結ばれています。つまり、壁と地面を結ぶ糸の間の隙間が小さいということです。

インソール表。左がGD、右が正規。

インソールに関しては比較的分かりやすい部類かもしれません。正規品側の特徴として、色が明るめで印刷精度が高いことが挙げられます。特に「SCOTT」の「TT」の文字の間を見ると分かりやすいでしょうか。また、NIKEの文字を平行線として真上に顔のマークが来るような配置になっています。メルカリの出品物などと穴が空くほど見比べてください。

左がGD、右が正規

裏側に関しては接着剤の付き方が正規品と偽造品でどのような差があるのか把握していないので参考程度にしてください。

GD内タグ。
正規内タグ。
13万パチ内タグ。

正規品の内タグは滲み気味です。ただし、13万パチのようにより精度が高い内タグもあるので気をつけてください。「UPC」や「2」の文字の滲み方である程度判別は付きそうです。

本体比較 正規 vs 13万パチ編(さっくりと)

上が13万パチ、下が正規品。

次はメルカリで掴まされた13万パチと正規品の比較です。GDとはまた違った特徴を持つので、偽造品か否かの判断が一筋縄ではいかないことが分かると思います。

この13万の特徴としては、縫い目が汚く雑であることが挙げられます。また、上記写真に見られる通り斜め縫い目の角度が直線的であったり細かな点で間違いが多いです。(でも騙されました)

左が正規、右が13万

縫い目は汚いですが、革の質感に関しては正直GDよりも遥かに正規品に近いです。しかし、縫い目の穴の大きさが正規品に比べて小さく、また顕著な点としてCactus Jackの文字が明らかに黒っぽいです。GDとは異なり、肉眼で見ても明らかに黒すぎます。

左が13万、右が正規

顔のマークや革の質感については、GDに比べて遥かにそっくりです。ここだけ見せられても見分けは付きにくいです。

こうして見ると全部本物のように見える

さっくりとではありますが、リバースモカの偽物と本物の比較を行いました。出品者側は騙そうと必死なので、こちらも必死になって細かな点をチェックしましょう!

恐怖!メルカリ珍道中

ちなみに、ここまで必死に違いを解説してきましたが結論から述べるとフリマアプリでハイプレスニーカーを購入するべきではありません。なんやねん。

メルカリでリバースモカを調べてみます。

たくさん出てきますね。4万7千円とか、6万8千円とか、こういった値段で察しろよ系は論外でパチモノです。靴一足の輸入代金が手数料と送料を高く見積もっても1万8千円なので彼らはボロ儲けですね。購入側もここまで市場価格(13~6万円)と乖離していると偽造品である疑いを当然持つべきなので詐欺罪の立証は難しいでしょうし、商標権の侵害の訴えは権利者のみしかできません。では権利者側はというと、現実問題手間と労力を考慮するとわざわざこれらの逐次確認を取った上で出品を規制するとは考えづらいので、まさに購入者側は正規品に比べて比較的安く大して大きな差が無い品質の靴が手に入り、出品者側は利益率が非常に高く楽に稼げてしかもお互い合意の上だというWinWinな良い商材というわけです。(ド違法ですが)

正直、これら偽造品の転売はスニーカーに限ってはある程度必然の存在なのかもしれないと考えています。ハイブランド品のような高品質ではなく、ごく普通の工業的な量産品のスニーカーに高値がついている理由はただ単にプレミア的な価値のみであり、精神的なものに依拠しています。対して、物質的なモノを追い求める顧客層にとっては品質差が小さい偽造品を選択する理由も当然存在するので、こればかりはどうしようもないでしょう。もちろん、背後には多数の権利侵害がありますが、偽造品の販売が両者合意の上に基づくものであるならば、真の問題点は私は記号消費の脆弱性にあると考えています。

わかりやすく言えば私は「パチモノだと分かって買ってんなら両者好きにすればいいんじゃない、その分値段も本物相場よりは安くしてるらしいし 痛い目は見そうだけど」といったスタンスです。(もちろん推奨もしていません)

更に悪質なものとして、偽造品を正規品と偽って販売する行為が挙げられます。偽造品を偽造品と、少なくとも匂わせて販売するよりも正規品と偽って販売するほうが、もちろん刑罰も重くなります。

事例を見てみましょう。

メルカリに出品されていたリバースモカです。値段は14万円と市場相場よりも微妙に安い程度で、前述の5~6万円帯とは訳が違います。

商品説明欄。黒タグ付きだそうで、スニダン店舗で購入したそうです。スニダンという企業の性質上、基本的にこの時点で正規品である旨を主張したと認定されるでしょう。質問したところ、大阪の南堀江店での購入とのことでした。

正規品と言わんばかりに黒タグを見せています。勘の言い方ならこの画像の時点でお気づきかもしれませんが、この黒タグは偽物です。文字のフォントがところどころ正規品と異なりますが、一番わかり易い点では「中国」の「中」の文字でしょうか。

かかと側も写っています。刺繍が潰れ気味なところも気になりますが、先程の黒タグの裏面が写真左上に写っています。拡大してみましょう。

住所が見えます。
「株式会社ナイキジャパン
〒140-8531 東京都品川区東品川2-3-12 シーフォートスクエアセンタービル」

…なんかおかしいですよね。ナイキの現在の住所は「〒107-6210 東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウンタワー」です。黒タグを眺めていたら高頻度で目にする文言です。シーフォートスクエアセンタービルはナイキジャパンの以前の住所で、経営上の理由で2017年に現在の赤坂に移転しています。なのに2022年発売のリバースモカの黒タグに書いてある…?

ここから導き出される答えは1つ、偽造品です。いくらスニダンの鑑定がザルだと言っても、よりによってトラヴィスのこんな分かりやすいポイントを見逃すことはないでしょう…

他にも偽造品が正規品として10万円で出品されていたり、15万円で出品されていたり、13万円で出品されていたり…枚挙にいとまがないです。というか、正規品がほとんど出品されていません

俺はきっちり騙されて係争中です!警察署での手続きは時間がかかる上にクソ面倒です!メルカリ事務局は知らぬ存ぜぬで全くの未介入です!!メルカリを使うのは辞めときましょう!!!!ちゃんとしたところで買いましょう!!!!!以上!!!!!!!!!!!!!!

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