インパクトパイモン vs パイモン
インパクトパイモン
巷にインパクトパイモンと呼ばれるぬいぐるみがあります。それがこちら。
なんというか、かなり気の抜けた表情をしている妙な癒やし感のあるぬいぐるみですが、実はこちらは偽造品です。
偽造元となった品はこちら。miHoyoのゲーム、原神に登場する人気キャラ「パイモン」のぬいぐるみです。カワイイ！
オイラの分身(ぬいぐるみ)
— パイモン (@paimon_genshin7) October 8, 2021
すっごく魅力的だよな pic.twitter.com/vyptih8gdh
このように原神日本公式PRアカウントの「パイモン」にもちょくちょく登場します。このぬいぐるみは販売終了後にじわじわ人気が出てきたこともあり、現在では若干のプレミア価格が付いています。そしてヘッダー画像にも載せていますが、この正規品パイモンとインパクトパイモンの両者を比較すると似ても似つかないです。
こちらの偽造品はその衝撃的なビジュアルもさながら、存在が発見された際、中国系出品物にあるあるな非常に長い関連語句がこれでもかと詰め込まれた品名（インパクトパイモンぬいぐるみランチブレイク人形ピロぬいぐるみピローひなまつりアニメ周辺オープンコスプレ小道具ピローギフトバースデー超やわらかいぬいぐるみ小さな人形クッションゲームの周りぬいぐるみコスプレ人形少女少年アニメファンクリスマスプレゼント）にてAmazonに出品されていたという点でも話題を呼びました。そしてこのパチモンパイモンはこのロングタイトルから引用する形で俗に「インパクトパイモン」と呼ばれるようになりました。
このタイトルにおけるインパクトという文言は明らかに原神の英題、「Genshin impact」における「インパクト」部分のことなんでしょうが、このパチモンパイモンの存在自体があまりにインパクトがあったために、そのまますんなりインパクトパイモンという呼称が定着したように思えます。
ちなみに、当時のTwitter（旧X）やYouTubeではこの文言を歌詞に短い曲を制作するのがブームになっています。
インパクトパイモンぬいぐるみランチブレイク人形ピロぬいぐるみピローひなまつりアニメ周辺オープンコスプレ小道具ピローギフトバースデー超やわらかいぬいぐるみ小さな人形クッションゲームの周りぬいぐるみコスプレ人形少女少年アニメファンクリスマスプレゼント pic.twitter.com/w1jfceoIKd
— あ. (@_____l_____I__) December 12, 2021
インパイ vs 正パイ
インパクトパイモン略してインパイと正規品パイモン略して正パイを比較してみましょう。
サイズから質感から何から何まで異なりますが、そもそも顔のデザインが全く似ていないという点でかなり特質な偽造品であることが分かります。
まずはビジュアルの比較から。正パイは全体的に品質が良く、毛並みがふわふわしていて可愛いです。服装を表現した刺繍は丁寧に施されています。髪の毛を表したフェルト（？）もふわふわしており撫で心地も良いです。可愛い！可愛い雑貨屋さんに置いてありそうな表情をしています。
続いてインパイ。なんつーか、気の抜けた表情ですがある種の猛者感も感じます。縫製が甘いところは無いですが縫い目が荒いなど全体的に作りがチャチで、特に衣服パーツの作りは酷く頭についている飾りに至っては切り取り線がガン無視されています。多分何枚も重ねて一気に手でカットしたような、そんな雰囲気が感ぜられます。右足の飾りは元々脱げかけていました。多分個体差が大きいとは思いますが、このインパイは綿が詰め込まれまくっておりフワフワ感が皆無でかなり硬くガチガチです。それもこの顎のしゃくれ感を演出するのに買っており、見た目のインパクト度増加に寄与していそうです。髪の毛を構成しているフェルトは如何にも普通のフェルトでゴワゴワしています。
正パイの表情アップ。見れば見るほど可愛い！このオメガ型の口がなんとも言えません。くりくりしたお目々でじっとこちらを見つめてきます。
インパイも表情アップ。見れば見るほど似てねえ… 似ている要素がかなり少ないです。髪の毛の位置が下過ぎるのでやたらと前髪が長く見えます。前髪で隠れてるので見えづらいですが、そもそも目尻の下がり方など目の描き方が根本的に異なります。もちろん髪の毛の色も目の色も異なります。誰？
表情アップ隣同士。マジで似てなさすぎて面白いです。
普段はブランド品やスニーカーの正規品とコピー品の比較&見分け方の記事を書いていますが、パイモンのぬいぐるみに関しては問題ないですね…
後ろ姿の比較です。これといって言及することはないですが、衣服に付いている飾りなどがフェルトで丁寧に再現されています。
インパイの後ろ姿。なんかむっちり感とでっぷり感があっておむつを付けている赤ちゃんみたいです。
比較。後ろ姿だけ見るとなんだか姉妹みたいですね。ヨタヨタ歩くこんな姉妹を公園で見たことある気がする。
サイズ感の差も相まってショッピングモールでよく見る女児同士の姉妹のようにも見えます。
両者の比較は大体こんなところです。インパクトパイモンの方も、パイモンと言われればギリギリパイモンですが正規品パイモンとはやはり似ても似つきません。そもそも正規品パイモンもパイモンかと言われればかなり微妙な部類に入りますが…ともかく、正規品とは似ても似つかないことは皆様にもご理解いただけたことかと思います。
インパクトパイモンの出自は不明だけど…
じゃあインパクトパイモンってそもそも何？
お前は誰だ？
そもそも原神自体中国のゲームですし正規品パイモンも中国企画の中国製なのでナンセンスな発言にはなりますが、インパクトパイモンもどっからどう見ても中国生まれの偽造品です。
また、このパイモンぬいぐるみの穏当な偽造品も存在します。値段は100〜160元ほど。頬が赤く染められているなどの改変も加えられていますが（どうやら中国本土版は正規品でも頬が赤く染められてるっぽい？それかロット違いによるものかも）、再現度はまあまあ高くしっかり正規品の可愛さを再現しようといった気概が見られる偽造品です。言われなければ気付かないかも。
じゃあ何でこんな再現度が低い偽造品が登場することになったのか...？というかそもそもコイツは何なんだ...？
このインパクトパイモン、かつては1688.comやアリババ、京東など中華卸系通販や小売ECでロット単位で販売されていたようです。大量購入すれば1個あたり20元(400円！)までお値段が下がったようです。
中華卸系通販では既に取り扱いが終了していますが、今でもAmazon日本ではチラホラ販売されています。これらを購入すると、中国福建省や広東省から発送されるようです。私が購入した際届いた包には発送元の住所も記載されていましたが、調べると中国のかなり地方の農村の一区画だったのでおそらくテキトーな住所を載せているのだと思います。
また、インパクトパイモンには偽造品の宿命よろしく外箱や商品タグといった所在を証明するものは何一つとして付属していないので、本当に素性は謎です。
中国本土で広く使われているBaiduやBingにおいてパイモンの中国語名+ぬいぐるみといった文言や+偽造品などといった文言のほか画像検索、「派蒙毛絨公仔玩偶」の検索も試してみましたが、情報はほとんど出てくることは有りませんでした。
が、チラホラ商品説明っぽい画像や元ネタと思しき無版権（？）グッズの画像や商品が出てきました。それがこちら。
なんか顔に妙にインパクトパイモン感があるけどもしかしたらこれも正パイを元ネタにして単に再現度が微妙なだけなのかも…？
ちなみに「Q版」は中国語で「ちびキャラ」という意味です。
「図面とサンプルでカスタマイズ！」
注目すべきはこちら。こちらの出品名は「定制企业吉祥物-定制企业吉祥物批发、促销价格、产地货源 - 阿里巴巴」で、直訳すると「カスタマイズされた企業マスコット - カスタマイズされた企業マスコットの卸売、プロモーション価格、原産地と供給 - Alibaba」です。
完全な推測ですが、どーーーーも元ネタとなる絵（画像左側）が存在するようです。おそらく、このような手書きの絵でもぬいぐるみを企画・製造できるよ！という企業のプロモーションの一環なのか、もしくは誰かがこのイラストを用いてパイモンぬいぐるみの製造を依頼し（同人グッズ）、それを製造した際の商品を過去の実績として、ぬいぐるみを製造する企業が掲示しているようです。
中国においてはこのような他社の版権を無許可で利用したぬいぐるみなど大規模なグッズの製作販売はもう当然に当たり前に行われていることなので、それらを普通に実績として掲示する企業が居ても全く不思議ではありません。
どういうわけだかあの絵を元に大量に製造されたパイモンぬいぐるみが流通の波に乗って大量に卸されそれが日本にも流入した、というのが現段階で最も筋が通るストーリーなのかな、と思います。
もしくはあの謎のぬいぐるみが始めに存在して、あとから誰かがあの画像を描き起こしたのか。というかぬいぐるみの写真と絵の外線の一致具合からみてもそちらのほうが可能性が高そう。
じゃああのぬいぐるみの出自はなんなんだ、と話は振り出しに戻るわけですが…地球最初の生命が産まれた際もどこかから出てきたようですし、インパクトパイモンもそんな感じで産まれたんじゃないんですかねー！
私の直感では東莞市辺り出身な気がします。
結局何もわかってないですが、正規品パイモンとインパクトパイモンの比較は以上とさせていただきます。ありがとうございました。なにか情報をお持ちの方は是非Twitterの方にご連絡ください。
モンちゃん意外と良い時計してんね…
完
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