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8月/新しい連邦情報処理規格(FIPS)で量子コンピューターに対応した暗号化が実現




2024年8月、米国国立標準技術研究所(NIST)は、連邦情報処理規格(FIPS)の一環として、量子コンピューターによる将来のサイバー攻撃に耐えうる新たな暗号化標準を発表しました。今回の発表は、量子コンピューターが現在の暗号技術を破る可能性に備えるためのものであり、データ保護の新たな基盤を築く重要な一歩とされています。

新しく発表されたFIPS 203、FIPS 204、FIPS 205は、それぞれ異なる暗号化スキームを指定しており、鍵交換とデジタル署名を保護するための暗号化手法を提供します。これらのスキームは、NISTが過去8年間にわたり主導してきたポスト量子暗号化標準化プロジェクトの成果であり、量子コンピューターが将来的に現行の暗号化技術を脅かす可能性に対する防御策となります。

具体的には、FIPS 203では「Module-Lattice-Based Key-Encapsulation Mechanism(モジュールラティスベースの鍵カプセル化機構)」、FIPS 204では「Module-Lattice-Based Digital Signature(モジュールラティスベースのデジタル署名)」、FIPS 205では「Stateless Hash-Based Digital Signature(ステートレスハッシュベースのデジタル署名)」が標準として採用されました。これらの暗号スキームは、従来の暗号化方式よりも量子コンピューターに対して強力で、将来の通信やデータの安全性を確保します。

これにより、企業や政府機関は今後、量子コンピューターに対抗するためのセキュリティを強化し、デジタル情報の安全性を確保するためにこれらの新しい暗号化標準を導入することが期待されています。NISTは、システム管理者に対し、これらの標準を早期に導入し、将来の脅威に備えるよう促しています。

NISTはさらに、追加の暗号化アルゴリズムの評価も続けており、今後の暗号化技術の発展に向けた取り組みを強化しています。この新しい暗号化標準の登場は、サイバーセキュリティの未来にとって重要なマイルストーンとなるでしょう。

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