詩「無機質の行く末」
自分に正直でいろとオマエはいう
自分に正直でいるのかとワタシは問う
おてんとさまに顔をむけろとオマエはいう
おてんとさまに顔をむけられるかとワタシは問う
色のない街のなかで重さがともなわない体をまとい
目指すべき陸地も道しるべもない毎日という事象をただよう
そんな姿を見せられて
ワタシの心は動くのだろうか
首を切られたロウ人形だけが話し相手な部屋のなか
名前を呼ばれる順番はあの人だけが知っている
からみつくプラスチックのツタが喉もとで微調整し
存在の許可に感謝すべきと誰がさとすのだろう
他人のそら似と思い込もうとしたけれど
視線をそらす勇気もなくて
ワタシはわたしの後ろ姿に乱される
自分に正直でいろとオマエはいう
自分に正直でいる価値はとワタシは問う
おてんとさまに顔をむけろとオマエはいう
おてんとさまに顔をむける意味はとワタシは問う
空間のゆがむ足もとにとらわれながら
せせら笑うロウ人形師の肩をつかんで
顔がほしいと涙をぬぐう
さあ、今日はこのぐらいにして
ねむれるだけねむりましょう
おやすみワタシおやすみわたし
明日の記憶は夢の名残りで