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【簡易記事】ギルガメッシュの性質の違い


ギルガメッシュの性格の違い

 様々な「Fate」シリーズ作品に登場するギルガメッシュ。立ち位置や在り方が作品ごとに異なるが、それにはギルガメッシュという英霊としての特性と受肉という二つの要因が大きく関係していることが分かっている。

消費文明への嫌悪

 「Fate/stay night」(「SN」)に登場したギルガメッシュは無価値な者が蔓延する現代の世界を嫌悪し、『この世全ての悪』を孕んだ聖杯を用いて人類の一掃を実行に移そうとした。かつてギルガメッシュが治めた神代の世界は『循環』の理で回っており、無駄なモノなど一つも存在しなかった。そんな世界を治めた英雄王として無駄な跋扈し、収益と損失が互いを補填することなく際限なく嵩を増していく消費文明の構造は非常に気色が悪かったのだ。
 ギルガメッシュにとって現代の消費文明は気色が悪いが、本来のギルガメッシュであれば気分が悪くても、それを理由で人を下すことは(あまり)ない。ギルガメッシュが人の命を奪うのは、相手の魂が醜悪であるか、あるいは存在そのものがギルガメッシュと敵対しているかのいずれかの場合だ。なので通常のサーヴァントのギルガメッシュであれば人類の一掃は「考える」ことはあっても、実際に行動にまで移す可能性は低い。「SN」のギルガメッシュがそれを行動にまで移したのは彼が第四次聖杯戦争で『この世全ての悪』によって受肉した影響が強く出ているからである。

受肉と意志

 誤解がないように言うが、『この世全ての悪』であってもギルガメッシュを黒く染め上げる事は出来ない。それこそ人類史で発生した全ての悪性情報を貯め込んだ檻で二千年以上に渡って微睡み、悪性情報に影響を受けやすい状態になった上で、さらに魂・概念の汚染を武器とする外宇宙の侵略者(アンチセル)でなければギルガメッシュを汚染することは出来ないのだ。
 型月伝奇世界において魂は物質世界で唯一永劫不滅を誇る第二要素。だが、魂は単独では物質世界で活動することが出来ない。魂が生命活動を行うには肉体という器が必要となる。この場合の『生命』とは『住んでいる環境を自身の意志・行動によって変革できるもの』、『自己進化を可能とする知的生命体』等を意味する。魂は肉体に宿ることではじめて意志、知性を出力することが出来る、つまり『生命』として振る舞うことが出来るのである。
 肉体を持たない霊的存在、たとえば精霊などは魔術世界において一般的に無欲として知られる。そんな彼らでも何かのキッカケで受肉し、肉体を得てしまうと人間のような価値観、主体性を獲得してしまうことがある。サーヴァントの受肉もある意味ではこれに近いといえる。
 サーヴァントは実体化している状態でも基本的に霊体のカテゴリーに含まれる。つまり、「SN」のギルガメッシュは『この世全ての悪』に汚染されたのではなく、『この世全ての悪』によって『受肉』したことで欲が増し、価値観が現代の文明性に偏っている状態にあるのだ。結果、サーヴァントというマレビトとしてではなく、今を生きる一人の人間として生を謳歌するために活動し、当然のように無駄なモノを排除するために聖杯による人類の間引こうとするのであった。同じく消費文明の世界である「Fate/strange Fake」で召喚されたギルガメッシュが、世界の在り方を嫌悪しながらも、人類の一掃を考えこそしても実行に移さないのはひとえに『受肉』していないことが理由として大きい。

神代の英雄としての側面

 「SN」のギルガメッシュは受肉したことで我欲が増し、今を生きる当事者として人類の一掃を行おうとした。だが、神代を生きた生前のギルガメッシュのパーソナリティはこれとはまったく異なる。
 ギルガメッシュのパーソナリティは召喚された世相によって左右される。「SN」のギルガメッシュは消費文明への嫌悪感で機嫌を損ねている状態で更に受肉によって我欲が増したことで性質が現代の文明性に偏っているのに過ぎない。
 「CCC」のギルガメッシュはある意味では一番生前の「神代の英雄」としてのギルガメッシュに近い。消費文明を嫌悪するギルガメッシュだが、「CCC」の舞台である電脳世界は気に入っているため、「SN」ほど不機嫌ではない。加えてマスターである岸波白野の在り方がニュートラルであるため、彼/彼女と契約するギルガメッシュも善悪どちらにも偏っていない。善も悪も等しく扱い、それを断罪するのが英雄王。故に「CCC」のギルガメッシュは神代の彼に近いフラットな性格にあると言えるだろう。と言っても神代の彼とまったく同じという訳ではなく、受肉していないため「CCC」のギルガメッシュは生前に比べて欲が薄いという差異はある。
 以上のことから、サーヴァントとしての英雄王ギルガメッシュが生前とほぼ同一のパーソナリティになることがあるとしたら、『召喚された時代が神代』『マスターの在り方が善悪どちらにも偏っていないニュートラル』『受肉することで本来の我欲を取り戻す』等の条件をクリアする必要があるだろう。


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