贅沢な買い物
市場にて
「旦那、今日は出物がありますぜ!!南方の香辛料がなんと1キロで金貨3枚!!普通なら5倍の値は付く代物でさぁ。」
ダン「うーん金貨3枚かぁ...。」
パティ「ちょっと、ダン!何迷ってるのよ...。金貨3枚あったらもっと他のものが。」
ダン「でもさ、ご飯が美味しい方が、力が出るよね。よし!僕買うよ!!」
メグ「えー!」
バート「マジかよ!」
メグ「美味しいねぇ!!ちょっとピリっとするのがたまんない。」
ダン「でしょ?」
バート「確かに美味いけど、やっぱり、ちと贅沢な買い物だったんじゃねぇか?高すぎるぜ。」
パティ「ちょっと喉がヒリヒリするんだけど。どのぐらい使ったの?」
ダン「コレでほんの半サジだよ。すっごく辛いから、使うのはほんのちょっとで良いんだ。1キロもあるから半年は持つよ。」
バート「半サジでコレか!じゃぁ全部使ったら口からドラゴンみたいな火が吹けるな。」
さて、夜は明け、近隣を荒らすゴブリンのアジトへと勇んで踏み込んだ一行だったが...。
メグ「ちょっと...。聞いてたのより数が多くない?」
バート「なぁに、パティの魔法でチョイチョイとよ。」
パティ「こんなに大勢だと触媒が足りないわ...。」
メグ「つまり、絶対絶命って事ね...。」
奮戦するもジリジリと入り口の扉に追い詰められる一行
パティ「ここまでかしらね...。」
バート「!!!、ダン、香辛料の袋は持ってるか!!」
ダン「有るけど、なんで今その話さ?」
バート「いいか!これから一旦扉の向こうに逃げる。その時にこの部屋の中に袋の中身を全部ぶち撒けろ!」
ダン「そうか!」
バートの指示で一斉に扉の向こうへ逃げ出す一行。そして扉を閉じる寸前、ダンは小袋を破って殺到するゴブリンへ向かって放り投げた!
凄まじい悲鳴が止んだあと、再びアジトの部屋に戻った一行が見たのは、地に伏してのたうち回るゴブリンの群れ。既に殆ど抵抗出来ないゴブリンを討ち取るのは造作もなかった。
バート「上手くいったな。ダンの贅沢が役に立ったぜ!」
パティ「散々文句言ってたくせに。」
メグ「パティもでしょ。」
ダン「あのさ...。香辛料、また売ってたら買っても良いかな?役に立ったし...。」
パティ「安く売ってたらね...。」
ダンのちょっとした贅沢で、九死に一生を得た一行。世の中、いつ何が役に立つかわからない。
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