多島海の脅威
船に揺られるハーフリング一行。天候にも恵まれ、航海は順調に進み、船はこの航路で一番の難所である多島海へとさしかかった。
メグ「綺麗な海だねぇ。いい天気で暖かいし波がキラキラしてる。」
パティ「ここからは、小島が多くて水路が狭いから操船は大変らしいわよ。」
エド「下手すると岩で船底に穴が空いて沈没だぞ。」
メグ「うわぁ、あたし泳ぐの苦手なんだけど...。」
ダン「大丈夫だよ。この船の船長は腕が良いって評判だから選んだんだ。」
バート「まぁ、そんな事よりさ、船旅でつまんねぇのは飯だよな。毎日干し肉と芋ばっかりで飽きちまった。さっさと陸地に戻りたいねぇ。」
そんな会話をする間にも船は進み、間も無く多島海を抜けようかというその時。突然、船体に衝撃が走った!一行が慌てて駆けつけるとそこには!
メグ「やだ!なんかデッカイの来たよ!!」
バート「ザリガニ?デケェけど茹でたら旨そうだな。」
メグ「ちょっ、バート危ない!」
巨大なハサミにつかまれ宙に持ち上げられるバート!
バート「うわぁ!」
メグ「エド!手伝って!このお化けザリガニめ!!バートを放せ!!!」
エド「かっ、硬くて刃が通らない!!」
仲間たちは必死につかまったバートを救出しようとするが、硬い甲殻に阻まれ、必死の攻撃もなかなか思うに任せない。
パティ「私が呪文で動きを鈍らせるわ!その間に甲羅の隙間を狙って!!」
パティの呪文で相手の動きの鈍った一瞬の隙を捉え、メグとエドは巨大な甲殻類の甲羅の間に狙いすました一撃を放った!
巨大ザリガニ「キシャーッ!」
バートをとらえたザリガニの爪が付け根からもげた。
与し易しと思った獲物の予想外の反撃に慌てて退散する巨大ザリガニ。
バートに走り寄る仲間たち
ギル「アニキ無事か?」
メグ「バート大丈夫?千切れてない?!」
バート「うぅ、痛ってえ...。あばらが何本かいった感じ...。こりゃ参った。」
ダン「動かないで、今すぐ治癒の奇跡を使うよ。」
バート「ありがてぇ。ちっとはマシになったぜ。」
なんとか窮地を脱し、重症のバートの応急手当ても済んでホッとした一行だったのだが...。
バート「でもアレだな、痛い思いしたけど今晩の御馳走が手に入ったな。」
一同「え!」
人間、めげないのは良いことである。ではあるが、あんな目にあった直後なのだから、もう少しなんというか...。そう思った仲間達であった...。
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