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ミニチュアストーリーテリング覚書⑥

冒険の舞台となる世界

これまで、オリジナルキャラクターやストーリーの作り方について書いてきた。
僕は以前の記事で、お話を語る上では壮大な世界設定は必ずしも必要ではなく、「昔々あるところで...。」で充分成立するという話をした。

とはいえ、いくつかお話を考えるうちにキャラクター達が活躍する舞台として都市や国、あるいは、そうした全てを包括する世界を作ってみたくなるかもしれない。そんな時に一つの参考になれば良いと思ってこの記事を書いている。

①現実の国や都市をモデルにアレンジを加える

以下は僕の物語に頻繁に登場する港町の紹介文だ。

〜『港町ベッキア』はかつて永遠の都と称えられた首都ロムルスの海の玄関口として大いに栄えた。数百年前、ロムルスが深淵の軍勢に焼き滅ぼされた後も、この町はしぶとく生き残り、繁栄を続けている。とはいえ、かつて大商船が押し寄せた貿易港としてでは無い。滅びてなお、無尽蔵の宝物が眠ると言われるロムルス探索を試みる海千山千の冒険者達の拠点としてである。ある者は巨万の富を、ある者は過去の偉大なる叡智を求め、町を訪れる者は後を絶たない。〜

廃都のモデルはイタリアの首都『ローマ』。港町のモデルはローマ近くの港町『チビタベッキア』。(実在の都市がどんなところかは君の興味が続く範囲で自分で調べてくれ。あと、僕は別にイタリアにもローマ市 にもカトリックにも悪意は無いんで怒らないでくれ。)

②既存の神話や物語を参考にする。

日本では有名な浦島太郎でお馴染みの竜宮城やケルト神話の海の向こうの妖精の国ティルナノグ。ヒンドゥー教のシャンバラ、中国の仙界や桃源郷。日本の黄泉比良坂のエピソードやオルフェウスの冥府下り。独創的で魅力的な異世界のヒントは洋の東西を問わず膨大にある。それらを参考に独自のアレンジを加えつつ組み合わせて世界を構築していくのも一つの方法だ。

創作をするというと、僕等は必要以上に身構え、難しく考えがちだ。だが、ゼロから全てを創り出すだけが創作の形ではない。既存の何かをモデルにしつつも自分なりの新しい要素を付け加えていくのも創作の一つの形なのだ。

まずはやってみなければ始まらない。最初は冒険の起点となる町や遺跡の一つからでも良い。試しに何か考えてみよう。そうした繰り返しの中で、いつか広大な大陸や大洋、無数の国家が乱立する君だけの世界が誕生するかもしれない。

さて、最後に大事な事を一つ言っておく。

僕はここまで、既存の様々なものを模倣したり参考にすると良いと言ってきたけれど、

模倣と盗用はやっている事の意味が全く違う。他をいくら参考にしても良いけれど、丸写しは君の創作ではない。その事には充分注意してくれ。


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