死地〜思わぬ助け
近郊の村が襲撃されているとの情報を受け、急ぎ現地へ向かった聖堂騎士団の一行を待ち受けていたのは、絶望的な光景だった。
既に焼け崩れた村には、8体もの屈強なバグベアの一団。
一行を取り囲もうとするバグベアの略奪団。もはや彼らの運命は定まったかに思われたその時。
虚空に生じた極彩色の渦と共に、二つの影が現れた!
「よう!また会ったな。見たところ分が悪そうだ。ちょいとばかり手を貸すぜ!!」
そう言うやいなや、黒衣の騎士はバグベアの群れに切り込み、戦線を立て直した。
さらに、黒衣の女妖術師が短い詠唱とともに腕を一振りすると一行の身体に凄まじい力が湧き上がった。
形勢は完全に逆転し、一気に攻勢に転じる一同!不利を悟ったバグベアの略奪団は散り散りになって逃走していった。
クリスティン「ご助力に深く感謝します。貴方達の力が無ければ我々は皆、骸と化していたでしょう。ですが何故我らを?」
女妖術師「まぁ、ちょっとした暇つぶしよ。」
クリスティン「ですが...。」
黒騎士「古い馴染みに頼まれたのさ。お前さん達が気にするこたぁない。」
引き止める間も無く、黒衣の二人は現れた時と同じく虚空へと去って行った。
〜深夜の酒場〜
マスター「手間を取らせて悪かったなぁ。助かったぜ。」
黒騎士「なぁに、『鉄の腕』の頼みなら断る理由はねぇよ。」
マスター「へっ、その名も久しぶりだ。今はしがない酒場の親父よ。しかし、お前らのその格好、お互い随分と立場が変わったもんだ。」
女妖術師「本当にね。昔が懐かしいわ。」
昔話に花を咲かせる間に空は白み始め、黒衣の二人は酒場を後にした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?