百竜夜行から見るモンハンにおけるマルチプレイの意味
お久しぶりです。モンハンライズ発売以降ひたすらモンハンばかりやっていました。
1.百竜夜行とは
今作における特徴の一つに百竜夜行がある。これは決められたルートを進行してくるモンスターの群れをプレイヤーが設置した設備、あるいは自分自身の武器で撃退していくといういわゆるタワーディフェンスに分類されるモードだ。
普段ならば1体を10分かけて討伐する大型モンスターが群れとなって押し寄せてくるのは絵面として豪快で、それ以上に設備やプレイヤーが強力なこともありなかなか爽快なモードではあるのだが、ぶっちゃけプレイヤーの評価はあまり高くないように感じる。
その理由の一つとして、ソロプレイにおける忙しさがあると思う。このモードはおそらくマルチプレイが前提に作られておりソロで攻略する場合ひたすらに忙しい。そして何より楽しくない。
もちろん難易度的にはソロでも十分攻略可能なように設計されているのだが、四方八方からモンスターの攻撃が飛んできてもみくちゃにされながらとりあえず撃ちまくって切りまくって気付いたらクリアしているといった具合なので達成感もなく、爽快感もない。
多くのプレイヤーが初めて百竜夜行の洗礼を受けるのはおそらく上位に上がるためのヌシアオアシラ討伐のクエストだろう。
このクエストに初めてソロで挑んだ人は多分「百竜夜行クソゲーじゃね?」と感じたに違いない。自分も初めはまるで楽しさを感じなかった。
しかしある程度ゲームを進めて苦手意識のあった百竜夜行をマルチでプレイしてみるとどうだろう。「あれ、結構面白い」と感じることができたのだ。
2.マルチプレイの意味
モンハンは多人数で遊ぶと楽しい。これは誰しもが感じていることでこのゲームの根底にあるものだと思っている。
しかし一方で近年マルチプレイをする意味というものが薄れているという問題がある。
昔のモンハンは集会所のモンスターの体力が固定だったのでプレイヤー側の人数が増えれば増えるほど基本的には楽になる。一方でソロでプレイする場合は多人数プレイが前提で設定された体力を一人で削ることになるので単純につらい。非効率的だと言える。
しかし近年のモンハンはプレイヤーの人数に応じてモンスターの体力も変化するという方向性の調整がされているので、必ずしも多人数でプレイすることが効率的とは限らない。
それどころかある程度スキルのあるプレイヤーであればソロの方が圧倒的に効率がいいという事が頻繁に起こる。自分はワールド、アイスボーンをプレイしていないが、この問題は前作からも問題視されていたようだ。
マルチでプレイすることで効率的に、かつ楽しく遊ぶことができるというのがモンハンにおける最大の特徴だったはずなのにマルチで遊ぶメリットが損なわれているというのはゲームの根底を揺るがしかねない大きな問題だ。
もちろんライズの制作陣もその問題を認識していたであろうことは明白で、その結果生み出されたのが百竜夜行というシステムだったのではないかと個人的には思っている。
3.百竜夜行がやらせたかったこと
百竜夜行においてももちろんマルチプレイの調整はなされており、人数が増えることでモンスターの数や体力が増える。
しかしそれでもなお圧倒的にマルチプレイの方が楽だと感じる。実際のプレイ時間に関してはおそらく大差はないだろう。しかし百竜夜行はマルチで遊んだ方が圧倒的に楽なのだ。
その理由の一つが役割分担にあると思う。
通常の狩りであれば基本的にプレイヤーとモンスターは1対1であり、プレイヤーの人数が増えてもプレイヤーから見た敵の数は常に1だ。
しかし百竜夜行においてはその前提が崩れており、プレイヤーは常に多数のモンスターの相手をすることになる。
一人で多数のモンスターを相手にするより4人で多数のモンスターを相手にした方が楽なのは自明であり、百竜夜行がプレイヤーにやらせたかったことはまさにこの役割分担に他ならない。
4人で1体のモンスターを囲んでリンチすることではなく、4人で多数のモンスターを相手にすることで得られる一体感こそが百竜夜行における、少なくとも自分が感じた楽しさの正体だったんだと後になって気づいた。
4.百竜夜行は成功だったのか?
これに関しては、正直に言わせてもらうと成功半分、失敗半分だと個人的には思っている。
前述した通りマルチプレイをする意味をプレイヤーに与え、マルチプレイの楽しさを回帰するという意味では百竜夜行は成功だったと言える。
一方でそれをモンハンでやらせる必要があったのかという疑問は常に付きまとう。もちろんモンハンの通常のゲームプレイから逸脱しない範囲で上手くタワーディフェンスのシステムに落とし込んだ良くできたモードだとは思うが、1体の大型モンスターを苦労しながら倒すというモンハンの構図からは外れてしまってたように感じる。
加えて、構造上どうしても1クエストの時間が長くなってしまうことでサクサクとした周回とは無縁のモードになってしまっているのも問題だ。
更に言うとマルチプレイに意味を与えるという事は同時にマルチプレイを強要することにもなりかねないという構造上の欠陥も含んでいる。ソロプレイを生業としているユーザーからの百竜夜行の評価が絶望的に低いことがその証明だ。
5.おわりに
ネガティブなことを書いてきたように思われるかもしれないがモンハンライズは間違いなく神ゲーだと言える。百竜夜行も間違いなくおもしろいモードだ。
一旦アップデートは落ち着いてしまったが、今後もコンテンツが追加されていくことを期待している。
それでは。