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episode0 #2 刑事の勘
episode0 #1暗闇の先
AM1:25
「被害者の岸田修ですが、本日一般病棟へ移動となりましたので、明日より聞き取り可能……ちょっと伊丹さん!」
スタスタと病院通りの並木道を歩く男がいた。
オールバックにサングラス、そして白いスーツ。
眼光は鋭く明らかに一般人ではない。
「んな事よりチョココロネ買ってきたのかよバカ野郎が」
「あはい、あと牛乳」
若い男はコンビニの袋ごとチョココロネと牛乳を渡した。
「伊丹さんまずいですよ。まだ深夜ですよ?今から病院行ってもまた問題になるだけっすよ」
「深夜?明日っちゃあ明日だろうが」
「早すぎますって」
伊丹と呼ばれた男は、歩きながらチョココロネをかじり、ごくごくと牛乳を飲んだ。
「やっぱよ、刑事っつったらチョココロネと牛乳だよな」
「……いや多分あんぱんと牛乳っす……イタッ!?」
伊丹が若い男の頭を殴る。
「バカ野郎、男は黙ってチョココロネなんだよ」
昔観た映画の刑事がチョココロネを食べていたから。そんな理由で伊丹はチョココロネを毎日食べている。
歩きながらチョココロネを完食した伊丹は立ち止まり、ガードレールに腰掛けてタバコに火を着けた。
「野々村、ゴミ」
野々村と呼ばれた若い男が、伊丹からコンビニの袋を受け取る。
「伊丹さん、でも何でなんすか。何でそんなに急いで、いや焦ってるようにも見えるっす。何でなんすか?」
伊丹憲三。警視庁捜査一課第二強行犯係巡査部長。
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筆者∴宗揖 魔術師・真経霊籤占術師