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神の呟き〜そして怒り


(神) N
私は人々から神と呼ばれる者、、
名前はなく ここに存在し人や動物、草木に至る
全ての命ある者を見守り、生きる事へと導くのが
私の存在なのである。
(神)
おお〜! 今日はあの家で犬の子供が生まれたか
ハハッ、元気に鳴いて〜
小さな身体を動かし、母を求めている姿はいつ
見てもいいものだ〜
(人間)
あ〜あっ! ま〜たこんなに産んで!
毎回毎回処分するの大変なんだから!
こっちの身にもなれってんだっ!
(神)
、、処分とは、命を断つ事を言っているのか?
それが本当なら人と言う者は、そんなに簡単に
動物の命を断っているのか、、
生命の誕生を喜び、共に共存の意味を知って
欲しいと導いたのは、、失敗と言うのか、、
何とも悲しい場面に居合わせたものだ。
さて、森の様子でも見に行こう
(人間)
お〜い! さっさとやっちまわね〜と日が暮れる
ぞっ! 今日はこの辺りの木を全〜部切って、
この山丸裸にするんだから、休んでる暇なんか
ないぞっ!
(神)
遥か昔に木1本無かったあの山に、風と種の恵を
与え、木の成長を見るのが楽しみであったのに
また何も無い山になるのか、、寂しいな、、
(神)N
神はこうして、あらゆる場所へと目を向け
日々ため息をついていた、
(神)
もう夏か、ハハッ 川で遊ぶ人の子供のあの笑顔
何とも癒される
あ〜! その先は深くなってるから土を増やし
もう少し浅くしておこう。
(N)
ある日神は山の湧き水が流れる様子を、目を細
め眺めていた
そこへ沢山の人が乗る車が列をなして走ってき
た!
あろう事か、その車から次々と荷物を捨て始め
たのだ!
人はその荷物を捨てた後、大声で笑いながら
また車で来た道を戻って行った、、
その多くの物は湧き水の流れを止め、湧き水は
行き場を失い汚れた荷物へと、吸い込まれて
行った、、
これには流石に神も怒りを隠せなかった
(神)
こんなにも怒りを覚えたのは初めてだ!
人の生き方、考え方を少し変えていこうとしよ
う、、
(人間)
うわ〜!! 今日はどうしたんだ?
この雨の勢いじゃ、家の屋根が壊れそうだ!
見ろっ! 畑の全てが水に浸かってしまった!
あれじゃ今年の収穫は無理だなー!
(人間)
おいっ! 何してるっ 早く逃げろーー!
裏の山が崩れたんだっ、 此処もすぐに埋まって
しまうぞー!
(N)
雨足はどんどん強くなり、人の胸が浸かりそう
な程、、道であった所はまるで海のよう、、
風の勢いは止まらず、ありとあらゆる物を吹き
飛ばし、車、家、畑、人が必要とする物のほと
んどはその原型を無くしていた、、
人が木を切り丸裸となった山は、その高さが
半分になってしまう程に崩れ、近くの物を全て
埋めていった!
そんな状態が10日続いた後、雨風がピタリと
止み、人々は久しぶりに外の様子を見て言葉を
失った、、
(人間)
はあ〜〜、、これからどうすりゃいいんだ、、
全て無くなってる、
家も車も畑も、、これじゃ生きていけない、
(人間)
ねえ? こんな言葉知ってる?
神様は人が乗り越えられない試練は与えないっ
て!
これまでの行いを改めてさせる為に、、と
思えば、何も無い所からまた、始められる
でしょ?
(N)
その人の言葉で人々は互いに手を取り、水の
引いた畑を耕し、汚れた物を片付け、皆が眠れ
る家を作った、
(神)
少々荒療治だったが、互いに手を取る姿を見れ
たのは、結果的に良かったとしよう
この先も全ての生きる者達と共に過ごし、豊か
な導きを続けよう、、
この導きを人同士で上手く出来れば、もっと
幸せだろう
そうなれる様に導くのもまた、私の役目、、
なのだな、、
(N)
神は人や動物の生き様を見届け

姿なき者として永遠に我らの傍に居る

神が安心出来る生き方を送っていこう、、

終わり

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