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桜の記憶

3月下旬。
桜がこの時を待ち侘びていたかの様に咲き誇る。
長い時を待ち、寒い冬にも負けずに咲く。

花びら1枚では、誰の足も止める事はないが、みんな揃って咲き、街行く人々の足を止める…

5年前の丁度このくらいの時期だ。僕が上京したのは

数年前までは、この季節が好きとは言えなかった。

別れと出会い季節なんて例えられるけど、僕の頭の中はそんな事なんてなかった。

そもそも、中退して社会人として生きてきたからなのか、心のどこかで別れに対する免疫も出来てしまったのかもしれない。個人の正義に従い、職場を変える。

僕もそうしてきた。ただ、毎回違う職種を選ぶ様にはしてきた。いつでも挑戦者の気持ち。これは綺麗に聞こえてしまう。知っている仕事をするのは視野が広がらないのではないかと思っている。
新しい環境に身を置く事で、一から必死にやってる自分が好きだったりもする。

少し脱線したが、僕がなぜこの季節を好きになれなかったかと言うと、「劣等感」を感じてしまっていたからだ。春が来る度に、一年過ぎたんだと思う。
今年の桜も一生懸命に咲いているのに、一年たっても同じ場所で同じ景色を眺める。
それを平然と綺麗だと写真撮る自分にもイラつく。

Twitter、InstagramなどSNSが大きく普及している為、仲間の情報がバンバン入ってくる。

そんな、劣等感を感じていれるほど、暇じゃないだろ!と自分に聞かせる。
大ブーメランとして、返ってこないように今日も生きていく事でしか、僕を救える方法などないと言うこともわかってる。
メンバーや、家族、友人を救う方法も自分が生き抜く事しかないとわかってはいる。


SILVERTREEの「帰り道」が頭にこだましている。

来年の桜は大切な人と見れるように、頑張るからね。


いつか交わした、みんなとの約束はまだ繋がってる。

叶える為重たい足を、前に出す。

そして、死ぬ時は前のめりに!!!


(Tern Overは毎週月曜日に更新する事にしました。
暇な時に1話から読み返してみてね)

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