胎界主第三部 ソロモン王青年期 1-6の感想
胎界主の無料更新日なので胎界主の話をします。今までの感想はここにまとまってます。
未読の人は一部・二部からぜひ! よろしくお願いします。完結まで十二年を切ってるので早めに読みはじめたほうがいいと思いますよ、わたしは。
ベールフェゴールの寝室
「ソロモン王青年期」は、魔王・ベールフェゴールのクッソ汚い寝姿からはじまります。うんことスカラベを基調としたおしゃれな寝室ですね。
ベールフェゴールは(少なくともベリト閣下よりは! )有力な魔王だと思われますが、第一部の時点で正気ゼブブの口から「ヘブライ王国にて私と同じく狂気に陥らされた」と説明がありました。なので第一部〜第二部で正気な様子を見せることはありませんでした。メフィストフェレスがソロモンの「狩り場」に迷い込んだときに姿を見せたぐらいでしたね。ここまでリラックスした姿を見るのは、読者にとってもはじめてです。
胎界主ではうんち・スカラベと結び付けられたベルフェゴールですが、現実には便器と結び付けられた姿がおなじみです。伝統的に便器の悪魔なのかというと、べつにそんなこともないみたいですけどね。
若さ爆発
ソロモンに狂わされたもうひとりの魔王・ベールゼブブも若い姿を披露しています。魔王なので年齢も何も関係ないはずなんですが、やはり「若っ! 」と感じてしまいますね。手首の関節の独特なつかいかたとか、曲線的な立ち姿とか、こういうところで一部・二部と差をつけてくるのは作画がうまいなと思います。ふるまいが色っぽいですよね、このベールゼブブ。ゼブブ株が急騰の予感。
箱は開かれた
ベールフェゴールは謎の能力で、ベールゼブブが問題を抱えてきたことを察知します。日頃うんこ嗅いでそうなのに鼻は利くんだね?
ベールゼブブの用件は、読者はすでに承知ずみの、ソロモンが「契約の箱」をあけた件についてでした。この会話ではいくつかの重要な情報が明かされます。
1. 本は帝王がつくった
たとえばファージャルグの説明では、「本」は「古代イスラエルの王ソロモンが<神>から受け取った賜物のひとつ」とされていました。しかしこれも事実ではなかったようです。どうも生臭い感じになってきましたね。
2.ゼブブは帝王を呼び捨て
ゼブブは「責務を果たさぬ者に敬意など不要だ」と言い、帝王を呼び捨てにしてのけます。ベールフェゴールもウヘヘと笑いながら「「陛下」がぬけてますぜ ベールゼブブ君主陛下」と冗談でたしなめるだけです。いや〜、なんというか、いい職場だなという感じもしますね。何も悪いことはしていないのにガルゥに殺される骸者たちとか、狂気じみた東郷家とかと比べると。風通しがいい。
問題は、ゼブブが言う「責務を果たさぬ」が何を指しているかです。素直に読むなら、帝王が存在級位上昇を止めるためにロックヘイムを譲渡したことなどを責めているのでしょうかね。
3. ゼブブはソロモンを「第一級の創造者」と呼ぶ
ゼブブは一部・二部では「胎界主」という言葉をふつうに使っていますが、ここでは「第一級の創造者」という単語をつかっています。もし、「胎界主」という言葉そのものの成り立ちに帝王やサタナキアが関わっているとか、そういう事情だとしたらアツいですね。
アスタロト君主クソ野郎陛下
そして、ソロモンの口からその名が出たことで諸説飛び交い、Twitterでは元・人間説まで出たアスタロトですが、どうやらふつうに魔王としてソロモンに接触していたことが判明しました。しかし「あいつの耳にはフンコロガシの足音も届く」とか、「混沌の媒介者」とか、この時点で他の魔王とは一味ちがうようです。
今まではアスタロトが何をしても「ソロモンのチートね」で済まされていましたが、古代王国の時点でこうだというのは、何か裏がありそうですね。ベールフェゴールをして「副王陛下(ルキフグ)でも説得できない」と言わしめるほどの力の源泉とは。
おわりに
第三部は今まで出てこなかった魔王も登場するようなので、楽しみですね。それではまたお会いしましょう。