胎界主第三部 帝王の塔 8-13の感想
胎界主の無料更新日なので胎界主の話をします。今までの感想はここにまとまってます。
お早うございます。
— 尾籠憲一 (@taikaisyu) April 16, 2020
胎界主 第三部「古代王国篇」を更新致しました。
https://t.co/0k6LjTSpGj
未読の人は一部・二部からぜひ! よろしくお願いします。
サタナキア株の高騰
第三部の開始早々、ミステリアスな雰囲気を脱ぎ捨てて中間管理職の悲哀を見せたサタナキアだが、今回の更新では強キャラっぷりを発揮している。サタナキア防壁ってファイト・クラブみたいになってるのか?
二の腕の筋肉がえらいことになっている。上着一枚脱ぐだけでこんなになる? 震える帝王に上着をかけてあげる紳士っぷりもナイス。
「ことば」「からだ」「いのち」「こころ」
帝王の存在級位の上昇がとまらない、というのが前回の更新でわかったことだった。(一般に? )存在級位上昇を食い止めるためには、四大司神によって司られる4つのちからを捧げる必要があるようだ。
ことば: トト=ロック
からだ: ヌン=アダム
いのち: アトン=イヴ
こころ: アトゥム・ガイア・リリス
ソロモンは「本」において、これら4つを『たましい』の「肢」「礎」と言った。もっとも現状、ソロモンの言うことの信憑性は下がりつつありるが……。帝王とはいえ四大神獣なのでたましいはもっていないはずだが、たとえたましいが無くともその「礎」を捨てることは存在級位を下げることにつながるのだろうか。
帝王の「ことば」は第三部がはじまる前にすでに下落させられていたようだ。「ことば」の下落が何を意味するのかは不確定だが、本編の描写からすると、魔法則などを行使できないだけでなく、まったくしゃべれなくなるのだろうか。
「からだ」「いのち」は今回の更新において、サタナキアによって下落させられる。帝王はハゲ。ショタじゃなかったっけ?
これらの下落はそのまま、「老」「死」を受け入れることと解釈してよいはず。四大魔王の崩御が近い、という第一部〜第二部の設定はこれと関係してくるのか?
最後に「こころ」の下落。傀などの設定をみるに、「こころ」というのは一般的な言葉におきかえると「自我」「意識」「人格」などに近いもののようだ。それまで奪われるとなると、帝王は話せず、自我もなく、ただ徘徊するだけの存在になってしまうのでは……生成世界を徘徊ってそういうこと? 田舎の防災無線で捜索願いが流されてそう。
サタナキアの口上
「こころは 眠らなければならない」というのは、第一部〜第二部では <> が放つことでおなじみの口上だった。サタナキアがこれ使えるんだ!? という驚きがある。
どうやらこの口上は「眠らなければならない」にすると相手のこころを下落させることができ、「目覚めなければならない」にすると相手の存在級位を上昇させることができる? という、両面につかえる技のようだ。第三部より前に「眠らなければならない」を食らった者としてはベルゼブブ、「目覚めなければならない」を食らった者としてはピュアがいる。
仮にこの技が帝王-サタナキア由来だとすれば、<>の正体にも帝王が大いに絡んでいそうな予感がする。
サタナキアの口上のなかで出てくる「ちりを食べなければならない」というのは、尾籠先生が言及していますが旧約聖書の創世記3: 14-15の
主なる神はへびに言われた、「おまえは、この事を、したので、すべての家畜、野のすべての獣のうち、最ものろわれる。おまえは腹で、這いあるき、一生、ちりを食べるであろう。わたしは恨みをおく、おまえと女とのあいだに、おまえのすえと女のすえとの間に。彼はおまえのかしらを砕き、おまえは彼のかかとを砕くであろう」
というところ。これは、へびがイヴを誘惑して禁断の果実を食べさせたところの後につづく一節だ。書いてて思ったけど「サタナキアの誘惑」ともどこかで引っかかるのか?
このへびはそもそもサタンの象徴とされることもありますね。帝王がへびになる、というのはその点でもおもしろい。
この口上の裏では、鳥がへびを捕食する様子が隠喩的に描かれる。素直に読めば、ちりを食べ地を這うものの運命は基本的には最悪、ということになるのだろうか。果たして。
帝王→ウーティス
最終的に、今回の更新で帝王は「お前は何も見なかった」をされてウーティスとして生きていくことになります。いやその技もサタナキアが使えるんかい……。第一部〜二部でこの技を使っていたのはソロモンとピュアでした。ソロモン・ピュア・サタナキアというメンツ…? 三部読む前にこの並びを見せられてもなんのことかぜんぜんわからないだろうな。
ウーティスというのは、ギリシア神話のオデュッセウスが1つ目の巨人キュクロプスの島でとらえられたときに名乗った偽名で、「誰でもない」という意味。オデュッセウスに目を潰された巨人が犯人の名を問いただされたときに「ウーティス(誰でもない)」と答えて、オデュッセウスは難を逃れたという逸話がある。
英語で対応するのはNobody, ラテン語ならNemo。西洋の人々が偽名としてウーティス、ネモを使うことはままあるようで、最近だとプリズン・ブレイクの主人公が一時名乗っていたりもしたらしい。おしゃれですね。
帝王のしっぽ
前回の更新でチラ見えしていた謎の球体は帝王のしっぽ? であることがわかった。人工的な質感、球体、太極図、といかにもなにかありげな見た目をしている。胎界主第一部はけっこう球体のはなしだったし。真の胎界主のまわりにえげつない公転距離のアカーシャ球体が存在する…という話もありましたね。悪魔が言う「真の胎界主」はソロモンの設定に過ぎないらしいので実在は定かではないが。
このしっぽ、個人的には帝王のちからを抑える拘束具的なものでは? と思ったんですがどうでしょう。地面が割れているところからみてやたら重そうだし。というか、帝王もといウーティスはこんなのを抱えて生成世界を徘徊できるのか?
二部以前ではいちおう尻尾の先が見えないようになってるんですね。芸が細かい。
今日はここらへんでお別れとなります。来週も楽しみ。
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