胎界主第三部 サタナキアの誘惑 13-18の感想
胎界主の無料更新日から遅れること一日、胎界主の話をします。今までの感想はここにまとまってます。
未読の人は一部・二部からぜひ! よろしくお願いします。
司神アトゥム・ガイア・リリス
前回の更新で気になっていた、夢想胎界にうかぶ手の正体は、司神アトゥム・ガイア・リリスでした。まさかガイア・リリスが古代王国篇の時点で拘束されているとは思いませんでしたね。てっきりソロモン絡みかと思っていましたが、帝王が捕縛に成功していたということなのかな…? すごいぜ悪魔。第三の目が縫われていたり、ボールギャグのようなものを噛まされていたり、かわいそうな感じです。
また、少し後のコマでは、ガイア・リリスの拘束にリョースの杖に似た器具がつかわれているのも見えます。夢想胎界の空全体が彼女の髪におおわれていますが、その末端がこの杖に縛り付けられているのでしょうか。トト=ロック由来の器具なのかな? 帝王、そんなこともできるのか。
それと。これは本編とは関係ない、今更気づいたことなんですが、
地獄: ヌン=アダム
天界: アトン=イヴ
夢想胎界: アトゥム・ガイア・リリス
と、「こころ」に関係するこれらの胎界の主は旧約聖書に出てくる三人で揃えられているんですね。「こころ」を司るこれら三柱のうち二柱が悪魔に握られているのは、やられてるな〜人間、という感じがします。まあ「たましい」あるからいいけど…。
死ねば覚めない夢を見る
サタナキアは死と眠りを重ね合わせた意味深なセリフを吐きます。そして夢想胎界には、こころの緒と同じ色をした「へその緒」のようなもので繋がれた人間が浮かんでいます。このひとたちがどういう人なのかもよくわからないところです。単に夢を見ているだけなら夢見界にいるのではという気もするし、生成世界で昏睡状態にあるとか、そういう感じなんでしょうかね。
地獄のシステム
サタナキアは他にも、地獄について重要な示唆を与えました。曰く、
帝王陛下が 種を蒔き
『たましい』に喰われ
汚濁した人間が
育て維持する
胎界のひとつだ
であると。「罪の意識を抱いた人間は、死後、地獄に落ちる」というシステムそのものが帝王の策略であるかもしれないということですね。地獄は罪人の「こころ」が堕ちる場所として言及されてきましたが、地獄は最初からあったものではなくて、悪魔が人間のこころを管理するために作った部分があるということなんでしょうか。
二部を振り返ると、帝王とリョースで「たましい」争奪戦をやっていたような気配もあります。奪われるぐらいならロックヘイムに固定してしまえ、というリョースの作戦だったんですね、なるほど。
まあ、単に、「夢」や「地獄」という、多くの人間が存在を承認する胎界は保有しておきたいということでもあるんでしょうかね。帝王、そんなことしてるから存在級位が上昇してしまうのでは?
地獄についてTwitterで話題になっている説としては、レックスは地獄へ効率よく人間を送り込むために泳がされているのではないかというものがあります。いやアンタの株まで下がるんかい! まあ、いくら子沢山といっても、悪魔がありがたがるほどの人数を地獄に送り込んでいるかというと微妙な気もしますが。
ダビデ王の真贋
さて、ソロモンの前にダビデ王が姿をあらわします。先々週の更新ではダビデ王(仮称)としていましたが、これで確定しましたね。
王の名前は確定しましたが、それとは別に、このシーンの「ダビデ王」がどういう存在なのかは解釈がわかれるところです。無表情なサタナキアの縦長コマが不穏な雰囲気を高めていますね。
まず最初の説。一部・二部での夢見界の描写なども踏まえて、素直に読んだ場合、これはソロモンが夢の中でつくり出した「人形」だということになるのではないでしょうか。これは確かにまっすぐな読みですが、さりとて明確な根拠があるというわけでもありません。サタナキアのした夢想胎界の説明からソロモンがそう読み取っただけだからですね。聡明ワシの先走りでは? という疑念も拭えないところです。
もうひとつの可能性としては、この「ダビデ王」は本物のダビデ王が何らかのかたち(「こころ」として? )で夢想胎界にあらわれたものであり、
「これ以上行ってはいかん 戻れなくなるぞ」
「いかんソロモン そいつに騙されるな」
といったセリフは単にダビデ王が本心から言っているのだ、というものがあると思います。ぼくはこの説にかなり信憑性を感じています。根拠としては、ダビデ王の目に司神エレベーターマークがついているのは、ダビデ王が前に同じような手法でだまされたからだ、という説明が成り立つことです。この説を取ると、またソロモン株が下落してしまいますね。投資家たちの命運やいかに!
おわりに
ヤンソロ(ヤングソロモン)は聡明か否か。箱の中身が単なる基礎教材だとしたら、それより先に進むにはどうしたらよいのか。次回の更新も気になりますね。それではまたお会いしましょう。