天狗👺　鱗滝さん❣　外国人？山窩？山伏から姨捨山《考察》

2023年4月24日 13:38

「天狗」
語源は読んで字のごとく「天」の「狗（イヌ）」

中国からの伝承では、正体はなんと「流れ星」☆彡
天空で閃光と大音響にて、爆発しながら地表へと落ちていくもようが天をかけ走り遠吠える犬のようだと比喩されたところからです。

日本の初出は「日本書紀」
そこには天狗（イヌ）ではなく天狐（アマツキツネ）と記載されているのもあるのだとか。

前置き　様々な顔

天狗だけの話ではなく「山の妖怪」「山や森の伝説」は、全般的にいろんな要素の複合体だと感じます。

河童とおなじで色んな表情があります。
人間の味方のかお、妖怪や鬼に近いかお、崇高な山神のかおなど。
中国の流れ星から、日本ではどのような展開を見せたでしょうか。

多くの伝説、逸話がある場合には日本人の豊かな「想像」や「比喩」「揶揄」がふくまれ、山の災害、事件、事故の総称として「天狗の仕業だ」と片づけられてきました。

山伏（やまぶし）仙人説

山岳信仰としては原始時代から存在しており、仏教徒の僧侶、修行の場としても神聖な山々、原始的な生活、自然とともに生きることを選ぶ仙人など。

日常がサバイバルであり、修行を日々こなしているだけで人並外れた体力と身体能力を持つと思います。

そして
江戸時代いこう、隠密として生業にしていた「忍者」
開国と明治維新、サムライの時代が終了するとともに、忍者もおなじく身の振り方に困惑したことでしょう。

現代でいうところの忍者は「スパイ」です。あまり顔が指す場での安住は難しかったと推測されます。そんな彼らの在りかたとして「山伏」も最適だったのではないでしょうか。

誰もがご存じのように、かれらも常人とは逸脱した能力の持ち主です。天狗と例えられても全く不思議ではないと思います。

山賊（忍者）説

もともと、忍者は山賊や盗賊だったとも言われています。
伊賀、甲賀と聞いたことがあると思いますが、徳川家康の「伊賀越え」が有名かと。そのさいに伊賀の服部半蔵（はっとりはんぞう）の貢献があり三河の本拠地へ帰ることができました。

半蔵の協力がなぜ必要だったかというと、各地での一揆、そして伊賀には「山賊」が多くいたそうです。
身をまもり、方々へ「口添え」するものが必要だったでしょう。

忍者や武士、サムライが必要なくなった江戸、明治維新後はもとの山賊業へと戻った隠密もいたと思います。

山姥（ヤマンバ）山爺（ヤマジジイ）

ここは最初に結論をいいます。
姨捨（おばすて）や口減らしです。

『デンデラ』
作者、佐藤友哉氏の小説『新潮』2009年1月号に掲載された。
大々てきに「姨捨」は無かったとされています。恐らく組織的な村や里での「義務」としての機能はなかったと言いたいのだと思います。

個人や家族レベル、あくまでも一部風習と「しておきたい」ということですが、ここまで各地で「噂」されているとなんとも言えません。

こういった悪習は日本だけではありません。
海外ではアリ・アスター監督作品でも取り上げられています。
※一応作品名はネタバレな気がしますので伏せておきます。

デンデラでは村八分のように、山で放置された高齢者が密かに集落化しているというお話です。これもあり得ない話ではないですよね。
作中では70歳以上で捨てられるとなっていましたが、噂での言い伝えでは60歳以上とされています。実際は…どうなのでしょう。

あまりにも貧しい家庭では自炊はおろか、年貢も徴収されせっかく生まれてきてくれた子供にもろくな食事を与えられないこともあり「口減らし」は、なにも高齢者だけではなかったのです。

おじろく・おばさ

この話は地域があまりにも限定されているため、説としては薄いのですが…

長野県のとある村に存在していた風習です。
長男のみが一般的な社会生活ができ、その後に生まれた弟妹はただの「労働力」として家族に生涯をつくすというシステムです。

ただ詳細は分かりませんが、そんな環境から逃げ出したいと考える子はいなかったのでしょうか…と疑問に感じます。
完全なる洗脳教育にて当たり前としていたかもしれませんが…

兄弟にかぎらず、障害を持って生まれる場合や「忌み子」と言われる多出産など、多くの不運な子供も被害にあっていたことでしょう。

他にも
落ち武者、犯罪者、脱藩者、外国人、侵略からの逃亡者など…
多くの不運なひとが日本の山奥には潜み、暮らしていたはずです。

山窩（サンカ）

サンカは、日本にかつて存在したとされる放浪民の集団で、アイヌ、琉球民族などと同じく日本の先住民とも言われている民族です。

全てにおいて、卵が先か、鶏が先か…

日本の地政学は禁句とされているためリソースは謎です。
日本海からオホーツク海、太平洋と、海流のながれを見ると中国からは勿論、北はロシア、南は中東、東南アジアと、漂流や侵略、移住は多くあったと推測できます。

風貌があまりにも違い、しかたなく隠れひそむ場合もあれば、侵略にて先住民が逃げかくれひそむ場合もあったことでしょう。

山伏としての修行、山賊としての隠密、山姥としての迫害、そしてサンカ、そして外国人…
みんな、何かから逃げ、隠れ、決して俗界とは様々な理由で交わることのできない人たち。

サンカという呼び名も明治以降の警察がこぞって呼んでいただけであり、地域ではあらゆる名称でした。

「ポン」「カメツリ」「ミナオシ」「ミツクリ」「テンバ」etc…

山窩（サンカ）も天狗も、あくまでも総称にすぎないのです。

外国人説

天狗の風貌（見た目）はどうでしょう。
赤いかお、高くてながい鼻、身の丈は2mをこえ、山伏の装束に身をつつむ。
鬼と同様、まさに「外国人」ではないでしょうか。

『当時の天狗の形状姿は一定せず、多くは僧侶形で、時として童子姿や鬼形をとることもあった。また、空中を飛翔することから、鷲のイメージで捉えられることも多かった。さらに驕慢な尼の転生した者を「尼天狗」と呼称することもあった。』

Wikipedia引用

なんらかの方法で漂流してきた外国人を見た村民が、姿を形容しがたく「天狗だ」と言い出したのがきっかけかもしれません。

日本の伝説ではすでに「国津神　猿田彦（サルタヒコ）」がいます。
俗世から身を隠したい人たちも、こぞって便乗しサルタヒコの仮面をかぶったのかも…

比較的、明治維新での「開国」がおそい方だった日本。その理由は謎の呪い「ウイルス」「細菌」をずっと懸念していたと思います。これは世界共通の話なので勝手に言い切らせて頂きます。

開国以前、日本も例外なく「呪い」「怨念」「神隠し」とし、呪われていそうな人々をどんどん村八分や追放をしていました。
「外国人」は特に対象だったことでしょう。

八丈島・天然痘

八丈島には度々、漂流者（島流しも込み）が漂着しているそうです。
通常なら島民もそういった人々を受け入れているのですが、1463年～1833年まで何度も天然痘が流行し、1795年には人口6000人のうち、死者600人弱という大流行が起きていたそうです。

それからは漂流者を警戒するようになりました。

ある日、7人の僧である「華人」が八丈島に漂着しました。
その前から島人は天然痘で苦しんでいて、農作業もままならず深刻な食料不足におちいっていました。

島の人々は自分たちの身の危険からか、もしくは自分たちの「呪い」天然痘を華人に移すまいと守ろうとしたのか、受け入れを拒否しました。

その後、華人は次々と亡くなっていったのですが、島にはその後、不作や不幸があいつぎ
7人の華人僧侶の祟り
と言われ、供養としての石碑を立てたという出来事があったのです。

海流に上手く乗れば日本に多くの漂流者が到着することは大いにありえ、多くの外国人が色んな「妖怪」に例えられ恐れられたことが分かります。
そして閉鎖的だった日本人に新たな「呪い」を数々と残しながら…

まとめ

山、洞窟、森、海といった「平地」ではない場所に住まざるを得なかった人々には多くの歴史があります。

それは崇高な志としての信念であったり、迫害や不運な運命だったり。
種類や立場も、さまざまな人々の集大成であり多様性の象徴です。

もとは流星という未知で神格的な存在だった「天狗」
その存在が多くの人々の心の中にいて、また多くの存在へと継承していく。
それを一言「天狗」と収めるのではなく、このように様々な軌跡を経た「天鏐」として記憶して頂きたいなと思いました。

他国のような「植民地」と名を変えた「侵略」であれば構図はいたってシンプルでした。
島国である日本は非常に複雑です。方々に小さな島々が多数あるのもまた、複雑にしている要因であり、緩衝地としての利点が奇跡的でもあったことでしょう。

かつて大陸を統一しかけたモンゴル帝国も、日本へ侵略に何度か船を出したのですが、まるで神の御業のように毎度おおきな台風が帝国船を襲い日本は侵略から守られ、世界で唯一といっていい「侵略されなかった地」となったのです。

先住民が追いやられた地もあったでしょう。異分子が逃げのびた地もあったでしょう。
老若男女、千差万別、多種多様な、まさにカオスな象徴です。多くの「遠野山の妖怪」のように…