鷹のすばい。寒露の小雨。

寒露(かんろ)にあたる日は、2022年は10月8日でした。今年は、その前後に沖縄の宮古島地域にいて、農作業に関わる機会があったので、周りの変化に少し注意を払っていました。
寒露(ことばんく)

注意を払っていると、確かに、季節の変化がよくわかる日付でした。一番は、宮古島地方で一般的に「鷹」と呼ばれる、サシバの到来です。見事に、その日に集団での渡りが確認されました。私が自分の目で確認できたのは、数羽でしたが、翌日のニュースでは、約300羽が観察されたとのことでした。

このサシバの到来に合わせるように、北からの風が吹き始め、気温が下がり、天気が崩れました。天気の崩れは、全体的に空を雲が覆うような天気になり、小雨が降ったり降らなかったりといった天気にがらりと移り変わりました。この寒露の時期の小雨を、「タカのすばい」と島の人は呼んでいます。意味は、鷹の小便という意味で、小雨をサシバのおしっこのように例えて表した表現です。そして、まさにそんな小雨が降る時期です。
下地島(気象庁気象データ 気温、風向、降水量等)

ちょっと画像を保存し忘れましたが、沖縄周辺の風向きが全体的に北、北東からの風になり、台湾南まで流れが続いている様子が、アニメーションでも確認でき、サシバが、本州や朝鮮半島、中国を出発して、フィリピンやインドネシアまで渡っていくのにこの風の流れをうまく使っているのがよくわかりました。
地球全体の風の流れ視覚化動画

沖縄本島には、この鷹の小便につづけて、風邪をひく時期という言い方もあるようです。こちらも、急に気温が下がる時期、渡り鳥がやってきて風邪なども拡がる時期、というのを昔からの経験的から知恵として表したものですが、今年2022年はまさにその通りの季節になっているので驚くばかりです。
下地島の気温、風向き、そして雨の量をみると、10月8日の寒露の2日前の10月6日から、雨が降り始め、風向きも東寄りから北よりに変化しています。気温は、10月10日に、その日の平均気温が一気に約2.5℃も下がり、肌寒さが続いています。(平均気温24度から25度程度ですが、沖縄の人の感覚では、寒くなりました。)

沖縄本島中部の散歩道を歩いてみると、これもまた、寒露の説明にあるように、コオロギが多くみられるようになっています。久しぶりに沖縄に帰ってきて、沖縄の自然や先人の知恵を知るにつけて、脱帽することばかりです。

ちなみに、サシバの渡りの数は年々減っていて、約50年前の1970年代には3万から5万羽が琉球列島周辺を通過していましたが、2020年には約1万羽になっています。一体何が原因なのか、はっきりとは分かっていません。
来年サシバを観察しようと思う人は、次のポイントを抑えるとサシバの集団飛来をみることのできる可能性が高まります。
①早朝6時半ごろ(明方すぐ)、または午後5時から6時(日没前)に木々から飛び立ったり、木々におります。
②時期は、寒露から2週間程度。渡りの数が一番多いのは、寒露から一週間後の10月14日から18日頃。
③ある程度群れで休む地域は決まっているようです。これはいろいろな人に聞いて自分で探して見てください。
④渡りを見逃した人は、渡らずに島に残るサシバもいますので、木々の多い場所を来年3月頃までちょっと注意して探して見てください。
⑤サシバの鳴き声は、「ピッ、ピィー」と空高く円を描いて飛んでいるときに聞こえます。





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