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酷道ラリーにて 後日譚

怪談作家さんの戸神重明さんによって書籍にしてもらったお話でも、酷道ラリーというタイトルのものがあるが、これはそれとは別のお話。例により「ただそれだけの」お話。

とにかく20代は旅ばかりしていたので、どこに行った時の話か忘れてしまっていますが、国内であり、「酷道」を楽しんでいた時のことなので、街ではなく山の方での出来事となります。

酷道ラリーは単独も回数があるが、これは、当時交際していた人と二人で数日かけて車中泊でドライブということが幾度かあり、そのうちの一つの出来事。

ドライブの途中で、山みちの脇は浅い崖となっており、斜め下に錆び朽ちて捨て置かれた廃車が一台あるのが見えた。元は白い車だったようだ。窓ガラスは白く埃なのか汚れて曇っており、車内はうっすら見える程度。晴れていて、その廃車も周りの木々の爽やかな緑と、日差しの中、絵になるようだと・・・わたしの交際相手は思ったようで、その廃車を一枚だけ撮影をしていたようだ。

その旅では、毎回のほとんどがそうであるように、酷道を走ることも、地域のグルメも、数回の車中泊も楽しく満喫し帰宅した。

帰宅して数日後の週末か夜のくつろぎのとき、旅で撮った写真をみよう!となり、T Vモニターにカメラを繋いで(SDかなんか入れたんだったかな)大画面で写真を楽しんでいたとき。

あの廃車の写真が画面に映し出されてわたしは心臓が割れるかと思うくらい、ドキッとして文字通り胸に(ほんとに)痛みが走った。車の中に女がいる!瞬間、腕は鳥肌が立ち、隣で一緒に見てる相手に

「女!女!女がいる!!車、クルマの中!」と 訴えるが

のほほんと「ああ〜〜、見えなくもないね」というのである。

見えなくもない、ではなくてはっきりいるのに。長い?黒い髪の毛が顔を覆っていてその表情はわからないが、まず人間で、そして女であることははっきりわかる。曇ったガラスがそれっぽく見えるとかではない!

「削除」

そのばで勝手に削除して、それからその旅行のデータは見ていない。※

だって消したのに消えてなかったら怖いじゃん。



っていう話。


※目の前で勝手に削除して、そのとき恋人は何か言わなかったか?ですが、咄嗟に勝手に消しちゃった後、「まあ・・・そんなに怖いなら消せばいいと思うけどさ、、、」って言いました。

読んでるとあんまり怖くなくてごめんなさい。わたしは主観で今思い出すのも怖いです。


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