
インドの伝統技法!ブロックプリントとは?
ブロックプリントとは、手彫りの木版(ブロック)に染料を付けてハンコのように布に何度も捺すことで、鮮やかな模様を描くインドの伝統的な染色・印刷技術です。
その歴史は古く、インダス文明まで遡るともいわれます。 一柄ずつ、一色ずつ重ねて押していくことでカラフルで精巧な美しいデザインが出来上がります。
ところどころかすれたりにじんだり、機械印刷にはないハンドメイドならではの優しい風合いが魅力です。
このページではブロックプリントの生産工程や特徴などをご紹介し、魅力をお伝えできればと思います♪
木版(ブロック)製作
ブロックプリントの生産工程は、まずは印刷する模様を彫った木版(ブロック)を製作するところから始まります。
ブロックを作るブロックメーカーと、布の染色・印刷をするプリンターはそれぞれ別の業者、職人が担う分業体制になっているのが一般的。
ジャイプール近郊のブロックプリントの一大産地サンガネールには専業のブロックメーカーたちが軒を連ねるストリートがあったりします。
ブロックは何度も布に捺して使用されるため、耐久性が重要で、主に使われるのはシーシャム(インディアンローズウッド)という堅い木材です。インドでは家具などにもよく使われるポピュラーな木材で、安価なうえに耐久性があるため重宝されています。
下絵を平らに仕上げた木材の表面に写したら、木槌やノミ(と言ってもほぼ角材と鉄くぎのような素朴な道具ですが)だけで彫っていきます。電気工具などは一切使いません。
より微細な模様を印刷できるブラス(真鍮)製のブロックなどもありますが、手間とコストが跳ね上がるので、やはりすべて木製のブロックが主流のようです。


印刷(プリント)工程
木版(ブロック)に染料を付けて布地に印刷していく工程です。
ある模様を描くために必要なブロックの個数は少なくとも2つか3つ、載せる色の数が増えるほど必要なブロックの個数も増していき、多い場合は5つや6つになることも。
下地→輪郭→着色といった順番に、ブロックに染料を塗布して、布地に捺し付けていきます。その際に柄が大きくズレないように慎重に、しかし手早く捺していくのも熟練の技。
とはいえ人の手なので機械のように精確にというわけにはいきません。その微妙なズレやムラが、素朴で優しいブロックプリントならではの魅力です。
一般的なブロックの大きさはモノによって様々ですが、大体15cm四方くらい、ということは1×1mの布地をすべて同じ柄で印刷するとして40回以上、さらに下地や輪郭、着色などで4~6種の別のブロックをそれぞれ捺していくため、必要な捺印回数は、と考えるとその大変さが想像できます・・・



実際の生産工程では、この後で染色→洗いの工程が何度も入り、ようやく1枚のブロックプリント布の完成となります。
ひとくちにブロックプリントと言っても、その生産工程や、柄や模様、色合いなどは地域によって様々。その独特の地域性がまた一つの魅力でもあり、また別のページにてご紹介しますので是非そちらもご一読頂ければ幸いです。
お読みいただきありがとうございました!
参考 『hand blockopedia』anokhi museum of hand printing