おちんぎんがいくらかは、あなたの能力では決まらない。しかしそれでもあなたの評価が重要な理由
プロ雑用です!
もともとこの話は評価シリーズに含んでたんですけど、話がとっ散らかりそうなので(いや十分とっちらかってたんだけど)、別立てにしました。
ということで、今回はおちんぎんの話だよ!
多くの人が勘違いしていること
最初にこれを書いとかないと行けないんですが、あなたがいくら給与を貰えるかということについて、ほとんどの人がものすごく勘違いしていることがあります。それがこれ。
「「「いくらもらえるかは、その人の能力/パフォーマンスで決まる」」」
こういう勘違いがどこから生まれるのかというと、多分ポイントは3つあると考えます。
成績表・成果主義の影響
学歴・偏差値の影響
メジャースポーツ・芸能・アートの影響
これに関する解説はあとにするとして、とりあえず能力がいくら貰えるかに対しての影響は微々たるものです。
では、いくら貰えるかについてどんな要素があるのか?
いくら貰えるかを決める5つの要素
まずざっくりイメージとして以下の図を見てください。一番外側の流通貨幣価値は一旦無視して、それ以外の5つを見ていきましょう。
いくら貰えるかは、どこにいるか
上図で一番大きい面積は業界・市場規模。次が所属している組織の売上規模(利益率)。その次が職種のレアリティで、要するに市場価値のある職種かどうか。次が所属する組織の制度、これは評価制度だったり等級制度だったり報酬を決めるための制度がどのような内容かによる。そして最も小さいのが能力やパフォーマンスとなっています。
これを一言で表せば、あなたが「いくら貰えるか」というのは、あなたが「どこにいるか」という場所の問題が9割を占めているということです。
そもそもシュリンク(≒縮小)していく業界であれば、水準は平均から下がりますし、どんだけ売上が高くとも利益率が低ければやはり水準は下がります。もちろん市場規模がいくら大きかったとしてもレッドオーシャンな業界はあれですけどね。印刷業界とか小売とかね…。
参考:【業界別】市場規模ランキング TOP50
参考:利益率が高いビジネスとは?業界別ランキングと選ぶポイント
参考ページを見れば分かる通り、株価が好調な現在では証券金融業界が儲かってるようです。まぁ、猫も杓子もNISAだFXだと小銭投入してればそうなるわなとは思います。(バブルじゃなきゃいいですけどね)。
場所の次に重要なのはレッテル
あなたの職種がなにかも重要です(あなた「の」です)。
もう終わったと噂ですが、つい最近までエンジニアバブルでした。猫も杓子もエンジニア名乗ってれば高いお給金にありつけたようです。つまり、職種も時代の需要によって水準は変動することを示します。業界市場とは別の職種市場です。レアリティのない職種=ありふれていつでも採用できる職種は、変動が少なく安定するかわりに、水準を大幅に超えてもらえることはないでしょう。要するに、採用難易度が高い職種は報酬も高くなる傾向があるということです。
組織の制度によっても水準は変動する
制度については、場合によって職種と大きさが逆転しますが、これはいくつか要素が絡み合っています。
レアリティが高い職種でも、この制度とのコンフリクトによって水準がその職種の市場標準より大幅に下ることもありえます。特に年功序列やグレードを制度として持っている組織は、人気で採用しにくい職種だからといって高い報酬を提示することができないため、結果雇用できるのはレアリティな職種の割に経験やスキルの低い人材だけ、ということもあるのです。
制度がきちんと整っているからこそ、中途雇用について不満が出るパターンも同じように制度が足を引っ張るということもあります。
参考ページによると建築、保安、福祉などが高いのは、日常的に人手が足りないと言われている業界だからでしょう。保安や福祉は人手が足りないけれども給与水準が総じて高くない(儲からない)、建築はそもそも忌避されがち、というような業界背景も影響しているでしょう。こういう業界には、そもそも市場レアリティの高い職種は流れていきませんね。
あなた自身と額面は特に紐づかない
そして最後があなた自身の能力やパフォーマンスです。
しかし、ここでも落とし穴があります。組織にどんな制度があろうと、あなたが最良の評価をもらえたとして、報酬の額面がいくら変わるでしょうか?1000万かわりますか?それとも100万?そんなに変わることなんてほとんど無いですよね。
せいぜい十数万、大抵の場合は数万程度ではないでしょうか。月割しても良いところ1万程度、時給換算すれば…?悲しいのでやめておきましょうか。
それでもパフォーマンスが重要な理由
では、自分がいくらもらっているか、そのために良いパフォーマンスを出して良い評価をもらえるかが無駄なのか、と問われればそんなことは全くありません。むしろ、あなた自身の人生という視点では大いに関係があります。
その理由はたった一つ。
他人からの評価は「場所を移動するときに重要だから」です。
転職先は、あなたを「過去の評価」でしか判断できません。誰しも人間の未来を予見はできないのですから当たり前です。どんなに面談の人当たりが良かったとしても、過去の評価が低ければ採用される確率はずっと低くなります。過去の評価は「あなたの今」には不要ですが、「将来、船を乗り換えるときに重要」になるものです。学歴を未だに重視する組織が多いのも当たり前の話です。
高い報酬=能力が高いというわけではない
つまり、おちんぎんがいくら貰えるかは、需要と供給の問題でしかないと言えるでしょう。スポーツやアートの世界でも同じです。世界で戦える能力があったとしても、マイナーで競技人口も人気も少ないスポーツにはお金が集まらないのですから、どんなに能力が高くてもおちんぎんは、たかが知れています。
業界市場規模、組織の売上高(利益率)、職種のレアリティ、組織の制度は
自分の努力ではどうしようもありません。今回の話から除外している「流通貨幣価値」だって、コントロールはできるものではありません。
ただ、自分がいる場所をどこにするか、については、ある程度なんとかコントロールできる部分はあります。実績があれば、場所を移動するハードルが下がっていくということは事実としてあります。
実績は今の能力を保証はしませんが、過去の結果として残っていきます。人は基本的に過去でしか物事を捉えることができませんし、また、過去は無数の現在の積み重ねでもあるわけで、基本的に日本にはレイオフがありませんから、それを精一杯利用して、ゴマスリでもなんでもして今いるところで評価を取ればいいのです。星は取ったもん勝ちです。どうせ評価なんか全部理不尽なんだから、評価をハックする方法を考えるのが、あなたが今やることです。これは、あなたを評価しない組織に不満を言う暇があったら、さっさと場所を変えましょうということでもあります。
学歴、社歴、実績、そして資格は未だ有効な、数少ない自分でコントロールできる要素です。そして過去は変えられないのであれば、現在どうするかを考えるしか無いし、今結果を残す必要があります。(だからこそ、これらの数少ないコントロール要素を妨げる「さまざまな貧困」が社会的な問題になるわけですが)
そして、組織も簡単にレイオフできないからこそ「入口を狭くする」しか、ないというのが日本の多くの現状だということは理解しておく必要もあります。狭い入口を通過するための通行証をゲットするために、今何をしてどんな結果が残せるかを考える必要があるのです。
ということで、今回は評価シリーズの番外編的に、おちんぎんについて解説していきました。評価をすべからくクソだが利用価値はある、ということでした。
それじゃ、また👋