プロ雑用がMOVEDで今仕掛けている3つのこと・その2
プロ雑用です!今日はタイトルの通り、現在わたしがMOVEDの中で仕掛けている(企んでいる?)ことについて、第二回目として解説していきたいと思います。その1は↓をご覧ください。
いま仕掛けている3つのとりくみ
現在、わたしが仕掛けていることは主にMOVEDというチームの力をより強くするための取り組みです。それは以下の3つです。前回はこの内のVMVのアップデートについて解説しました。
VMVのアップデート
評価制度の整備
組織基盤の再構築
今回は2つ目として「評価制度の整備」について書いていきます。
2.評価制度の整備
さて、評価制度の話をする前に、一つぶっちゃけておくと、私は一般的な評価制度を好んでいません。その理由について、いろいろ理由はありますが、要点をまとめれば一方的かつ暴力的だからです。
ちなみに詳しい話は、以前15回にわたって解説したシリーズがあるので興味のある方はご覧ください。(むっちゃ長いですw)
一方的というのは何かといえば評価者である上司、権力を持った上長が下(部下)を、という方向性の単一さに対して。暴力的というのは、権力者が評価をタテに部下を支配するという点で(積極的に支配や抑圧をしようとしなくても構造的にそうなってしまうことを防げない)。
つまり、権力を有した他者が都合に合わせて評価する、という仕組みが理不尽だと考えているからです。では、そこまで言うのになぜ評価制度を整備しようとしているのか?という疑問がわきますよね。それが、今回の話の核心になります。
他者からではない評価
まず、MOVEDでやろうとしている評価制度は、「自己」評価が基準となります。他者ではなく、自己が評価します。だれを?もちろん自分を。具体的にはどのように行うのか。まだ計画段階なので全てがそのまま実装するわけではありませんが、書いていきます。
STELLAによってらしさを考える
MOVEDでは、バリューとしてSTELLAを掲げています。MOVEDらしい人とはこういう人であってほしい、という願いを込めて行動指針を言語化したものがSTELLAです。自己評価はまずこのSTELLAに沿って行われます。
この時、重要なのは「自分がどう思うか、感じるか」という定量的ではない感覚値。★10個をマックスとして、自分はどこかな?を他人ではなく自らが考えてもらいます。自分で考える、といっても人は無意識に他者との差異を捉えようとします。あの人と比較したらどうか、という考えをするのはごく当たり前ですが、まずは自分で考えるということが重要だと思っています。
これを実行してもらうと、ほとんどの人がオドオドと居心地が悪そうです。それはこちらとしては想定の範囲です。控えめで出る杭にならないことを教育された人々は、他者との同調で安心します。まず、これを壊すというのが自己評価してもらう狙いの一つでもあります。
一番最初のSTELLAチェックは、自己評価のみです。それに関して他者がとやかくいうことは有りません。そしてその次が重要で、このチェックは半年毎に行いますが、二回目以降は「過去自分のステラチェックに対して、今はどうなったか」を自己評価してもらいます。この時、上下の基準はありません。マイナス100でも、+300でも良いのです。重要なのは、過去に比べて今はどうか、という点。競うべきは他人ではなく、過去の自分、ということです。
また、二回目以降のステラチェックでは、自己評価の後、他者評価を加えます。この時の他者評価は、あくまで「その自己評価が他人からみてふさわしい評価になっているか」というチェック。他人が勝手にステラをスコアリングするわけではない、というのが重要です。これはこれから実行することなのでわかりませんが、おそらくほとんどの他者評価が「いや自己評価低すぎるでしょ」になると思います。それくらい、現代日本人は自己評価が低いのです。まずは自分を正しく捉える機会として、ステラの自己チェックが機能すると考えています。
役割を正しく全うしたか
第三回で詳しく解説しますが、MOVEDでは役割を明文化したユニットを用いてチームを作っています。その役割がどういう機能を司るのかは、可能な限り細分化して言語化しています(もちろんまだ完全ではありません)。
メンバーは各々担当するユニットがあり、複数のユニットを担当する人も多いです。このユニットが定義する役割を、きちんと実行したか、与えられている権限(権利と責任の範囲)を適切に用いて、成果を得たか/得ているかを評価しますが、これもまた自己と他者の双方からチェックしますが、同様に他者は、自己の評価の妥当性を評価します。
ステラチェックもそうですが、この場合の他者は複数人を想定しています(2人以上5人以下)。全く交流の無いメンバー同士では評価のしようがありませんから、日常的に関連するユニットのメンバーがチェックすることが望ましいと考えています。
逆に言うと、日常的に5人くらいのメンバーとの交流を持ってもらうようにこちらが仕掛けねばならないと考えていますが、フルリモートの弊社はそこがなかなか難しいのは事実です。しかし、知恵を振り絞って方法を考えていきます。
どのように自己評価するかはまだ設計中ですが、ポイントは4つかなと考えています。
プランニング(業務設計/計画性、柔軟性)
エクスキューション(実行力/担当数、行動数など)
サジェスチョン(関係構築/提案、問いかけ、働きかけ)
アチーブメント(成果/達成、成果、助力)
これらをどの程度まで定量化するかは、まだ設計段階ですが担当しているユニットとしてどうだったか?を問う場合はこの4つを見るのが妥当だと考えています。こちらに関しては可能な限り定量的に把握できるようにして、感覚はなるべく排除したいと考えていますが、さてどこまでできるかな。また、基本的にこれらは加点式で考えています。
定量的なら他者評価は必要ないのでは?と思うでしょうが、弊社の業務は一人で完結することはほぼありません。誰かと協力しないと完結しないわけです。定量的な数値はわかりやすいですが、それが誰と協力したかもとても重要です。たとえば、中には「たしかに案件には関わっていたが、その場にいただけで別に何かをしていたわけではない」ということも、ありうるでしょう。その場合、そのユニットの責任を果たせていたのか?これは一緒に仕事をした人でないとわからない。それを他者評価とします。数字は盛れてしまうのです。
自己と他者の感覚が一致している評価が最も正しい
「自己実現とは何か?」と考えた時、私の中では「自己と他者からの評価が一致していること」という要素が含まれていると考えます。自己満足しているだけでも、他者満足に依存していることも、どちらも良くない。
MOVEDの最終的なビジョンは「だれもが自己実現できる世界/社会」。そのためには外部への働きかけも重要ですが、そのためにはそれをする自分たちが自己実現に向かっていくことが必要です。
また、そのためにもこの評価制度は、報酬には結びつけません。
自己実現の手段としての評価制度なのだから、報酬に結びついてはダメなのです。では、報酬はどうやって決めているのか?それについてはまた次回。
自己評価は難しい。そのために必要なこと
ここまで自己評価を主軸に制度設計しているということを強調していますが、しかし、一方でそれは簡単にできるものでないということも理解しています。なぜなら、自己は他者との比較によって成り立っているからです。
マズローの欲求5段階の第四段目・承認欲求は、高位と下位にさらに分割できるといわれ、高位は自己承認、下位は他者承認となります。つまり、自己承認は、他者承認が満たされて初めてできるということです。
そのために、この評価制度を設計すると同時に、教育制度(自己育成制度)も充実させようとしています。まず、ジョイン3ヶ月後には、コーチングを受けてもらっています。このコーチングによって「自分が本当は何を望んでいるか」を知ってもらう。ここで改めて自己を認知してもらいます。
加えて自己評価に対する他者の評価を加えることで、自己を正しく認識できるように促します。他人は自分を写す鏡、とはよく言ったもので、人間は自分の姿を自分以外を通して理解します。それによってまずは自分のありのままを自分自身が認めるということから、自己実現の一歩目は始まると考えています。
これは更に先の話ですが、コーチング以外の社内のアンラーニング制度を整えていくことで、正しい自己認識から自己成長へとつなげていくことができれば、さらに自己実現に手が届くようになるでしょう。
ただし、この仕組みには欠点がある。それは他者評価が「馴れ合い」になりかねないということです。その部分は、今はまだ考える必要はなさそうですが、将来、組織の人数が多くなれば憂慮すべき事案となることは予想できますから、これの対策も考えておく必要はあるでしょう。
いずれにせよ、まずは自分自身を正しく認識することが、いま作っている評価制度の狙いです。
さて、長くなりましたが、今回はここまでです。
第3回もどうぞご期待ください。
それじゃ、また👋