”評価”とは一体なんなのか(後編その15・完結)
プロ雑用です!
前回その14は、これまでの後編1〜13の総集編ダイジェストをまとめました。
今回はこの”評価”とは一体なんなのか(後編)の完結編として、これからの時代において評価を続けるリスクについて解説していきたいと思います。
人を相対評価することが、これからはリスクになる
人というのものは単一の機能を有した道具ではありません。それぞれが様々な特性を持っています。それを踏まえて人を人らしく扱おうというのが、ダイバーシティ&インクルージョンという考え方です。
ダイバーシティとインクルージョン
まず、ダイバーシティ=多様性は、見た目などのわかりやすい表層的な違いだけでなく、その本質はその人自身の特性、および文化的(宗教的)背景への理解、つまり「違うことを理解する」です。これには、もちろんライフスタイル、例えば、妊娠出産や育児、介護、体力の変化、障害、病気なども含みます。
次に、インクルージョンですが、これの直訳は「統合」で、その意味は「二つ以上のものを合併して一つにまとめること」。ここで多くの人が多様性の逆の意味として捉えてしまうことがありますが、実際の意味は「多様性を活かし、それぞれが最大限に自己の能力を発揮できる状態」を指します。
ダイバーシティと相対評価はコンフリクトする
間を組織運営の道具であると宣言しているようばブラック企業であれば、ダイバーシティなど無用です。しかし、今の時代、多くの組織は、ダイバーシティが大切だと表向きは発信しています。
日本の人事部 人事白書2020 によると、調査に協力した4,620社のうち約半数が、ダイバーシティに取り組んでいるようです。
しかし、ダイバーシティと言いながらも、ようやく男女の区別をつけ始めたらしい、というのがの現実です。
これは日本の組織においてアンコンシャス・バイアスは未だ強く働いているという証拠でもあります。その中で行われている基準のない相対評価(そしてそれは恣意的な相対評価でもある)は、多様性を阻害する要因になっているのではないでしょうか。
そもそも女性のほうが男性よりはるかに多様なのだから
男性は判を押したように男性ですが(当の男性はそう思ってないけど、それこそがアンコンシャス・バイアス)、女性は実に多様です。個性とかそういう話だけではなく、それはライフスタイルやライフイベントの多様さからもわかります。
男性優位の組織のなかでの相対評価は、そういう意味でも多様性とは真逆の性質を有します。育休(そもそも育児は休みじゃない戦場だ)の男性が低評価になったり、育児中の女性が閑職に回されたりだとかの話は未だによく聞く話題です。女性比率の話にしても、パートやアルバイト、派遣社員の女性が多かったりして組織の構造としては著しく偏りが出ていたり、評価され出世した女性も男性的な働き方だったり…。
「大将首を上げたものは恩賞は思いのままだ!」な戦国時代じゃないのですから、わかりやすい評価制度なんて、どだい無理な話なんじゃないですかね。むしろダイバーシティなんてフクザツなことは考えるのやめて、ブラックな方向にしたらいいんじゃないかな!シンプルになりますよきっと。
評価より人間関係をどうするか考えたほうがいい
印象論でしかない評価制度をどうやって公平にするかは考えても多分答えは出ません。評価についてあれこれ考えるよりも、もっと重要なことが組織の人間関係だということは、後編その11で解説しました。
上下に挟まれてねじれ、破綻してしまうのが人間関係なのであれば、逆に考えればそこを抑えることがまずは必要とわかります。心理的安全性についてアレコレとここでは論じませんが、日本の組織においては心理的安全性は特に隣人(同僚)との関係がより需要だということが研究からは示唆されます。タテ以上にヨコが重要ということです。
組織としては、この人間関係を破壊しかねない制度・システムや、エゴの強い人材やテイカーな人材(特にナチュラルなテイカー)は採用しない仕組みを作ることが優先と考えられます。
評価はどこまで言っても印象論。そんなことより人間関係を考えましょう、というのが長きにわたって解説してきたシリーズの結論となります。極めて当たり前の結論ですが、当たり前のことができてないことこそが問題なのですね。そして何か制度を考えるとき、人間は都合のいいことばかり考えがちでリスクを過小に扱うか、あるいは忘れます。評価制度の場合は、人間関係に関するリスクですが、それをもし考えられないというのであれば、そもそも評価なんかやめたほうがいいのではないでしょうかね。
ということで、長く15回に渡って解説してきた「評価とは一体なんなのか後編」は今回で終わりです。
実はシリーズで介してきたことを踏まえて、弊社MOVEDで実行している組織づくりや評価のアイデアがあるのですが、そちらについてはまた別の機会で解説いたします。
また、報酬についても別のnoteを書く予定ですし、それも含めて派生の話題を今後も取り上げていく予定です。
シリーズすべてのnoteは以下のリンクにまとまっておりますので未読の方はぜひどうぞ。
全15回、前編も含めると16回に渡るシリーズ、すべてお読みいただいた方がいらっしゃいましたらぜひ感想をお聞かせくださいw
それでは、また別の話題で👋
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