見出し画像

kintoneモンスター図鑑1

プロ雑用です。
今回からは、kintoneAWARD登壇資料に登場した
数々のモンスターについて解説したいと思います。

記念すべき(?)一回目の登場モンスターはこちら!

カスタマイズが生んだ悲しき合成獣・アプリキマイラ

画像1

私がkintoneをふれ、最初に襲いかかったきた記念すべきモンスターです。
当時のアソビューのkintoneアプリのうち、ほとんどの主要のアプリは、
さまざまなカスタマイズを施されていました。
特に、情報の受け渡しや参照情報が複雑に結合、
なおかつ、各々のレコード番号を別々に受け渡していたため、
主要なアプリ群が、複雑に結合しているにも関わらず、
「共通の値」つまりは「ユニーク値」が存在していない状態でした。

攻撃技:キマイラブレス

画像5

 効果:レコード同士の関連性を破壊する

なぜ、共通するユニーク値が無いことがそれほど恐怖なのか。
データベースなどの知識が無い人向けに簡単に解説したいと思います。

受け渡す情報を、手紙と仮定します。手紙には差出人名が記されています。
最初にヤギの村から、差出人:ヤギ男が自分の名前で手紙を出します。
それぞれ、ライオン村と、ヘビ村に届けられます。
このうち、ライオン村に届けられた手紙には、
「この手紙をコウモリ村に届けてほしい」と伝言が添えられていました。
ライオン村のライ太郎は、
この時、手紙の差出人名を自分の名前にしてコウモリ村に届けます。

画像2

するとどうなるでしょうか。手紙を受け取ったコウモリ村では、
その手紙は「ライ太郎からの手紙」として処理されます。
本当はヤギ男が出した手紙だというのに!

しかし、ライ太郎が「ライオン村に居る」ときには、
それほど問題にはなりません。
ライ太郎に確認すれば、ヤギ男までたどり着くことは可能でしょう。

では、ライ太郎が何らかの事情で、ライオン村から居なくなったら?

そうです、その手紙は、差出人不明の手紙となりライ太郎どころか、もともとの差出人である、ヤギ男との関連性も失うのです。

村をアプリ、動物をレコード、差出人をレコード番号と置き換えてもう一度考えてみましょう。レコードは確実に残されている運用なら問題ないかもしれませんが、顧客データとて、クリーニングなどの理由で「削除」ないし「削除に準ずる処理」される場合も十分ありえます。

また、このカスタマイズの内容を把握してないものが、レコードを悪意なく消してしまうことも十分ありうるのです。

状態異常技:いてつくいき

画像6

 効果:状態異常。味方全員の体が動かなくなる。

画像3

キマイラブレスの効果は一方通行でした。
プロセスの途中レコードの欠如により関連性を失う効果だったので、
最悪人力で関係性をつなげなことも、不可能ではありません。
では、これが上図のような三者が関連している状態ではどうでしょう?

通常、リレーショナルデータベースのシステムでは、このような関係性は構築できないようになっています。ところがkintoneは厳密にはデータベースではないため、この一見おかしな関係性を成立させることができます。

3つなら、まだなんとか人力で追いかけられないことものありませんが、
4つ5つと広がっていくと、目も当てられない状態となりますし、
運用変更によってアプリごと変わってしまったら・・・?

それぞれのアプリが自分のレコード値を受け渡していくという恐怖。

画像4

さらにこんなのはどうでしょう?
先程の問題を解決するため、ヤギ男からコウモリ村にも直接手紙を届けるようにし、さらに届いた手紙をライオン村とも関係させるために自動的にヤギ男からライ太郎に届いた手紙を参照する。
もう、わけがわかりませんね。

これはアプリキマイラのバリエーションの、ほんの一例です。
もともと利便性や不便の解消のため、善意のカスタマイズが、
時と共に目的を見失い「手段が目的」となった瞬間に、
モンスター・キマイラアプリへと変貌してしまうのです。

カスタマイズは計画的に。

モンスター図鑑1は、
カスタマイズが生んだ悲しき合成獣・アプリキマイラでした。

それじゃまた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?