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”評価”とは一体なんなのか(後編その11)

プロ雑用です!
いよいよ、評価制度と報酬制度を組み合わせることによる不具合の正体が見えてきました。今回は、前回に続き、とどめのエラーを解説していきます。

前回の最後、評価のお題目(目的)と、報酬の相性は最悪だと書きました。マズローとハーズバーグの理論双方を組み合わせると、それが如実に浮き出てきます。今回は、さらにそこに一撃を加える重大な要素を解説します。


それは関係を悪くする

前々回(その9)にて、給与は人間関係と強い関係があると解説しました。そしてその人間関係は、欲求階層の第三層、つまり真ん中に分類されることが図を見るとわかります。

これは、高位欲求のための評価制度と、低位欲求のための報酬制度の間に、人間関係が挟っている、ということを示します。そして、その人間関係は給与に重大な影響があり、また給与も人間関係に重大な影響があるのは、後編その9で解説したとおりです。

後編その9に掲載した図。(クリックすると後編その9に飛びます)

評価制度と報酬制度をタオルの両端だとして、タオルの中心には人間関係があるとイメージしてみてください。両端を持ってタオルを絞ると中の人間関係はどうなるでしょうか。

両方をもって絞ると真ん中は当然力が加わってねじれる。
力が大ききくなれば、ねじれも大きくなり、最悪タオルはちぎれてしまう。

つまり、評価制度と報酬制度の組み合わせは、組織の人間関係を悪化させる恐れがある、ということを示しています。

それでも我々は比較したがる

評価と報酬を紐付ける、それは表現を変えれば「人に値札をつける」ということです。値札に従って、限られた資金を効率的に無駄なく分配しようというのが、評価制度と報酬が結びつけられる根幹の理由です。

評価する理由はいろいろあるでしょう。
たとえば、「評価を通して、社員一人一人が現状を把握し、育成に活かしたい」「評価の結果をもとにマネジメントに活用する」「がんばっている社員を評価したい」「組織に貢献した人に多く分配したい」「逆に貢献しなかった人には危機感をもってほしい」などなど。

しかし、これまで示したとおり、人間の認知バイアスによって評価は最初からゆがんでいます。どれだけ公平性を目指して設計しても、認知バイアスから逃れることはできません。

1.脳は、最初に”好き嫌い”で判断している。
2.脳は、連想して”好き嫌い”を強化する。
3.脳は、好き嫌いを、良し悪しに変える。

わたしたちはものごとをなんでも比べたがるが、それだけではなく、比べやすいものだけを一生懸命に比べて、比べにくいものは無視する傾向がある

予想どおりに不合理 より

評価はどこまでも理不尽なものなのです。そして理不尽なものが報酬という生活の源泉に極めて強い影響を与えてしまう。ここまでの解説からは、控えめに考えても、評価と報酬を結びつけるのは、メリット以上にデメリットも多いのではないでしょうか。

次回は、これまでの話を踏まえて、今度は組織の構造が評価にどのような影響を与えているかについてを解説していきます。

それじゃ、また👋

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