｟ はじめに ｠かけがえのない物語を生きる

はじめまして。

私たち兄弟は、京都府の舞鶴市に住んでいます。

若く、大切なとき、「生きる」ということに向き合い、悩むなかで、

詩ということばの世界、

自然から与えられる、透明なことばの世界に、出会いました。

色あせることのない　

夏のおおきな青空

空をめぐりゆく

白い鳥たち

やわらかな風が
　
草原のうえを吹きわたってゆく

草木の　かおり

遠い日の　ゆめ

一面にひろがる　澄みわたった青色が

私たちをつつみ

耳をすませば

軽やかにはずんだ「うた」が

どこからか　聞こえてくる・・・

今もずっと、私たちのなかには、

そんなしずかな光景が広がっています。

詩という、透明なことばの世界にふれることで、

そして、

人を愛することで、

私たちが手にしたのは、

知識や技術ではなく、

私たちにとっての、かけがえのない物語・夢をふくんだ、

私たち自身の、大切な光景でした。

それは、成長し、いろいろなものごとを通過していくなかで、

知らず知らず、失われ、損なわれてしまっていたものでした。

心のふかみに眠っていた、かけがえのない光景・思い。

かけがえのない、温かみの記憶。

それを、しずかに思いおこし、

しずかに温め、

そして、しずかに思い浮かべること・・・

祈ること・・・

そうすることの意味・意義を、

詩ということばを通して学びました。

私たち一人ひとりの、「かけがえのなさ」。

一人ひとりが、

心のふかみで、温めつづけてきた、

かけがえのない物語・かけがえのない青空。

その温かみを、

まだお会いしたことのない、未知の人々と、

共有し、深くつながりあうことができればと、

心から、つよく願っています。