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経口ホルモン薬(ピル)のあれこれについて

*注 この記事の内容は避妊を目的とした内容ではなく生理不順や生理痛、ホルモンバランスに主題を置いて進めます。もちろん特性として避妊のお話もします。
*注 この記事の内容は一個人お話です。かかりつけ産婦人科医や薬剤師の指示に従ってださい。又、インターネット上で販売されてるピルには偽物が多数あり、必ず産婦人科医の診察を受けた上で処方された医薬品だけを使用してください。

経口避妊薬という印象がマイナス

経口避妊薬(以下ピル)というとどういうイメージがあるだろうか?大半の人は「ナマH目的の避妊薬」「ヤりまん」「ふしだら」などというマイナスイメージがあるのではないだろうか。
もちろん正しく使えば、俗にいう「中出し」をしてもその避妊率は99.8%に到達する薬もあります。
ですが、そういうことだけでなくこの薬を使うことで女性の生活クオリティを向上させることができる薬でもある、という側面を知っていただきたくてこの記事を書いています。
さてそのQOL(クオリティオブライフ)を向上させるのは何かというと
1 生理痛の減弱
2 管理された生理周期(生理不順がない)
3 ホルモンバランスの安定化
が主になります。

ピルの種類について

さて、大まかにピルといっても3つのカテゴリに分かれています。
1 中用量ピル
2 低用量ピル
3 超低用量ピル

その他、緊急投与ピルは別名モーニングアフターピルともいい、望まぬ性行為や性行為避妊事故などが起きた際に使ういざという時の緊急避妊薬です。
低用量ピルと超低用量ピルが今回の記事の内容になります。

低用量ピルの種類

低用量ピルや超低用量ピルには世代と相性という分類が存在します
第1世代〜第4世代
1相性と3相性
世代の違いはピルに含まれる黄体ホルモンの種類。相性はホルモン量が1シートで変化するかどうか。1相は全て同じで変化がない。3相性は3段階で変化する。なお、変化してもしなくても1シートの合計ホルモン量は変わりません。

副作用について

どんな薬にもベネフィットがあればリスクがあります。
ピルにも当然リスクはあります。
代表的なのが血栓症、不正出血、妊娠中毒症のような頭痛、悪心や吐気。食欲増進などです
一番怖いのは血栓症でこれのリスクは飲んでない人が1万人で1〜5人。ピルを飲んでる人で1万人で3〜9人です。正直かなりその差はないです。
不正出血は生理でもないのにおりものに血液が混ざって出てくるような状態です。その他頭痛や吐気なども含めこれらの症状は1シートから3シート目でなくなります。逆にこれらがなくならないや、不正出血量が多いならそのピルはあなたには合っていないということになります。
個人的に思う最大の難点はここ。ピルはその人によって合う合わないの種類があるのです。そしてこれらは実際に使ってみないとわからないのです。

ピルが飲めない人(相談が必要)

まず閉経を迎えてる方。そして、一日15本以上の喫煙がある方(血栓症リスク)
重度の肥満の方。偏頭痛持ちの方(要診察相談)
家族に血栓症を起こした人がいる(要診察相談)など


ピルの解説

第1世代

ルナベルLD ルナベルULDなど
黄体ホルモンはノルエチステロン
1相性で昔からある歴史の長い医薬品です。
特徴は可もなく不可もない。
効かない人合わない人にはとことん合わない。というのが経験です。
ULDは超低用量ピルです。
子宮内膜症や生理痛に対する保険適用がある。

第2世代

トリキュラー、アンジュ、ラベルフィーユ、ジェミーナなど
黄体ホルモンはノルゲストレル。
トリキュラー、アンジュ、ラベルフィーユは3相性です。1相性よりも身体の本来のホルモン変化に似せてホルモン量を変化させるので不正出血の副作用をかなり減らすことができます。ただ、1相性と比べて長期周期での服用(最大4ヶ月)には向きません。1シートで周期が決まっているからです。ジェミーナはこの世代唯一の1相性で超低用量ピルです。連続服用に向き保険処方の最大である3ヶ月に一回の生理にできるのが利点です。又、先の通り保険適用です。
第2世代のいいところは副作用がかなり少ないことです。特に不正出血や妊娠中毒症状など。ただ、こちらも合う合わないはあります。又、血栓症リスクも一番低いと言われています。
個人的な経験から、第2世代の3相性ピルが一番副作用が少なく安定感があると思います。
一応、3相性でも周期変更はできます。黄色の錠剤が10錠あるはずです。それを変更したい日数分飲み続けます。その後28錠薬は7日間分の偽薬を、21錠薬なら1週間休薬をして生理を起こし、その後、通常通り新しいシートから飲み始めます。

第3世代

マーベロン、ファボワールなど
黄体ホルモンはデソゲステロル。
1相性で男性ホルモン抑制作用が強いです。ニキビが多発する人のホルモンバランス改善に特に効果があります。なお、勘違いしないで欲しいのは他のピルもこの作用はあります。特にこの世代にその作用が強いということです。
ただ、副作用のうち特に不正出血が多い傾向です。こちらも合う合わないがあります。

第4世代

ヤーズ、ヤーズフレックスなど
黄体ホルモンはドロスピレノン。
こちらも男性ホルモン抑制作用が比較的強く、ニキビなどのホルモンバランスに対して有効性が高いです。又、PMSに対してエビデンスが確認されています。ですが、1相性の全てのピルがホルモンバランスの改善につながるのでPMSはある程度抑えられます。
副作用としての不正出血が多く、保険適用でありながら薬剤単価が高い、他のと比較して血栓症リスクが高いと言われている。


超低用量ピルと低用量ピルの違い

超低用量ピルは保険適用で基本的にルナベルLDを除いたほぼ全ての保険適用ピルが超低用量ピルになります。
低用量ピルは自費のものが多いです。
超低用量ピルは副作用の中でも妊娠中毒症様症状が少ない反面、不正出血が多い傾向です。
又、飲み忘れに対して猶予がない。定期時間摂取が要求されます。要は飲み忘れが許されない(特に妊娠のリスク)のと毎日同じ時間の定期摂取が必要になる(妊娠リスク)
低用量ピルはもちろんNGですが一日くらいの飲み忘れならなんとか対応できます(気づいた段階で飲んで、12時間前後でまた飲む)。又、同じ時間の定期摂取が理想ですが、そこまで厳格でなくても大丈夫です。

自費診療と保険診療の違いと費用

パッと考えて自費の方が高いと思われますがこれは間違いです。場合によっては保険診療の方が高くなる場合があります。
保険診療は、子宮内膜症や月経困難症と診断された場合適用されます。つまり、定期的な検査(最大3ヶ月おき。処方限界)が必須になりその度、再診費用や検査費用の負担が必要になります。特にヤーズやヤーズフレックスの場合、再診+検査で1500〜2000円前後、投薬で1ヶ月分で約2000円前後です。
自費の場合は、初回検診(保険適用)後なら投薬(自費)のみや、長期購入(12ヶ月分とか)ができます。又、その後の検査も何事もなければ1〜3年おきということもできます。購入もオンライン購入が多くのクリニックでできます。


服用中の注意点

まず新たに服用を始めた場合は何らかの副作用が必ずあると思います。よく確認しながらひどい場合は処方された産婦人科医に相談すること。
急激な浮腫や手足の痺れなどは血栓症の可能性がありますので早急に医療機関に相談すること。それらを防ぐために脱水を起こさない様に気をつけること。
飲み合わせが悪い薬があるので他の病で受診した際にはピルを飲んでることを伝えること。又、処方箋を渡した薬局薬剤師にも相談すること(場合によっては疑義照会しないといけないので)

まとめ

・ピルには色々な種類があって飲めない人や合う合わないがある
・自費投薬と保険投薬がある
・必ずしも保険投薬が安いとは限らない
・飲み合わせが悪い薬がある

ピルは避妊だけではなく女性のQOL向上に役立つもの!!


以上。少しでもこの記事が女性のQOL向上の参考になれば幸いです。

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