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昭和生まれはステイヤー好き

天皇賞(春)はテーオーロイヤルが王者の競馬で快勝でした。踏み遅れないように強気に乗った菱田騎手は、GⅠジョッキーになるのに相応しい勝ち方で大したものです。


昭和オヤジ歓喜のレース

今回の天皇賞(春)は、特に昭和オヤジの琴線に触れているようです。
外厩仕上げで年に数戦しかしないのが当たり前の時代に、

アルゼンチン共和国杯(11月、骨折明け)

ステイヤーズS(12月、平地の日本一長距離レース)

ダイヤモンドステークス(2月、トップハンデ58.5kg)

阪神大賞典(3月、中3週)

天皇賞(春)

という、「サラブレッドはレースで鍛えて強くする」を地でいくような馬がノーザン馬を蹴散らして勝利をしたこと。
すぐフリーになる騎手が多い中で菱田が自厩舎である岡田稲男厩舎の馬とのタッグで、騎手も調教師も初の中央GⅠ勝利を手にしたこと。
先行して早めに動いてスタミナで他馬を押しつぶすというステイヤーらしい競馬で勝ったこと。

一昔以上前から競馬をしている人にとって、懐かしさを感じずにはいられない内容でした。
 

サイレンスキャットも昭和生まれ

かくいう私も昭和生まれです。
競馬のスポーツ的な面よりも博打的な面を重視するため、
「強い馬よりも的中させてくれる馬が好き」
と考えます。

しかしそれは今だからで、競馬を見始めた頃はやはりステイヤーが好きでした。ナリタブライアンとマヤノトップガンの時代より少々後、98年の阪神大賞典でメジロブライトとシルクジャスティスが一騎打ちになったのが、競馬を見始めて最初に心躍らされたレースです。

タガジョーノーブル、サンエムエックス、ホットシークレットの「長距離三羽烏」も好きでしたし、ホクトスルタンも好きでした。
ただしホクトスルタンについては、小倉記念をクソHペースにして私の本命馬エーシンジーラインを道連れにしたことだけは許しがたいです。
 

また、師弟関係など人情的な面もとても好みます。
ネーハイシーザーと塩村の話や、サニーブライアンと大西の話など、人の思いが成就する話がとても好きでした。どちらも競馬を見始める前の出来事ですが、競馬好きになってから本を読み漁ったりしたので知っていました。

90年台前半の競馬はリアルで見ていませんが、あまり真面目に競馬をしていなかった2010年前後よりも断然よく知っています。

以前競馬生活のために1人暮らしをした時は、競馬だけじゃ難しいなと感じて結局勤め人になったのですが、その職場に競馬好きな方がいました。
「シスタートウショウが好き」
と聞いたので、
「角田の馬ですね」
と言ったらとても仲良くなれました。
 

天皇賞(春)までの過ごし方

そんな私は実力的な視点からテーオーロイヤルを推していました。今回はそこに運よく人情的な話も関わってきました。
菱田がずっと岡田厩舎で頑張ってきたこと、20年前の天皇賞(春)を見て騎手を志したことも当然知っていました。ここは千載一遇のチャンスであり、勝ってほしいし絶対に勝たなければならない、できる限りの応援をしたいと考えていました。

京都競馬場に行くことも一瞬考えましたが、予想屋始めて間もないくせに(まだザコのくせに)そんなはしゃぎ方をするのはよくない気がしたので諦めました。もう少し大人しく応援することにしました。
 

追い切りはハードに

サイレンスキャットは普段暇なので、週1くらいで追い切り(ジョギング)をしています。気分や状況によって、7Fの日と10Fがあります。1F(いちハロン)を何m扱いにしているかは内緒です。
馬が頑張って走るのだから、自分も走らないと馬の気持ちがわかりません。

先週は、火曜日に10F、木曜日に7Fの追い切りをしました。1回追い切りをするとそれなりに疲労が残るので、週2回追いは珍しいです。

ラスト5F-1Fのタイムは
火曜日66.0-13.5
木曜日60.0‐12.5
くらいでした。このタイムも単位などは内緒ですが、ポリトラックくらいの時計が出るように圧縮しています。木曜日は、予定の時計で走らなければテーオーロイヤルに不利益が生じると思って頑張りました。
「横断歩道の白い部分以外を歩くと死ぬ」
と決めて遊ぶのと同様です。

また、追い切りはいつも決まったロードで行ないますが、今回はテーオーロイヤルが初京都だったため、私もロードを変えてロイ君(菱田はこう呼びます)の気持ちになりました。

余談ですが、追い切りでパチ屋の前を通ります。平日午前中でも開店前には長蛇の列になっています。サイレンスキャットは予想屋なので一般的に見れば同じ穴のムジナなんですけど、とりあえず自分のことは棚に上げて、
「こいつらカスだなあ」
といつも思います。笑

ともあれ、予定通りの追い切りができました。
 

神様へのお願いも忘れずに

金曜日は、穴森稲荷神社に参拝しに行きました。天皇賞馬イナリワンの神社だから、きっとご利益があるはずです。

相変わらず可愛い、駅前のコンちゃん。しかしビール缶は罰当たり。


いつも撮影スルーしていた本堂!


御井戸のそば。鎧武者も可愛い。

本堂や必勝稲荷で、
「菱田が実力を発揮できますように」
と願いました。実力を普通に発揮できれば勝てるので、
「勝てますように」「1着になれますように」
などというお祈りをする必要はありません。
 

天皇賞(春)は「準勝負レース」

これほどに楽しみにしていたレースですが、予想販売では「準勝負レース」でした。これは、土曜日の時点で単勝が2.6倍だったからです。

私の中では、2.5倍以上なら勝負してもよいという見立てでした。ただ、もっと楽な相手の阪神大賞典で3.3倍だったことを考えると、2.6倍では機を逸している感があります。

その後オッズが上がり、パドック時くらいは3.0倍つきました。3倍近くなら勝負する価値は十分なので、前回の記事にあるように単勝10万円は買いました。最終的には2.8倍と少し渋くなりましたが、結果はご存じの通りです。
 

ゾーン解除への気遣い

しかし、これだけ思い入れを持っていたレースなら、そのことをレース前にもっと記事にした方が読んでいる方も楽しめたはずです。なぜレース後まで黙っていたのでしょうか?
その答えは決して「思い通りにいかなかった時のダメージを小さくしたいから」ではありません。そういった気持ちも数%は持っていますけど、最も大きな理由は「流れを乱さないため」です。
 

「ゾーンに入る」
という言葉は誰しもが知っているでしょう。集中力が研ぎ澄まされた状態のことで、ゾーンに入ったスポーツ選手は信じられない力を発揮します。

ゾーンに入っている人間はおそらく、
「あっ、今ゾーンに入っている」
「あっ、このままいけば大記録だ」
などの気持ちを一定以上持った瞬間にゾーンから抜け出してしまいます。ゾーンに入った対象への集中が削がれるからです。だから周りの選手も、
「あと2回抑えればノーヒットノーランだぞ」
「お前今3ポイント6本連続で入れてるぞ」
みたいな声掛けは慎むものです。

菱田も、レース当週の会見で20年前の天皇賞の話を振られた時に、「今回だけはどうしても勝ちたい」という思いに飲まれないよう、気を付けて答えていました。菱田はよく「わかって」いました。

だから私も静かにしていました。私が騒いだところで関係者の耳には絶対に入りませんが、競馬の神様は見ています。浮ついている人間が応援する対象にご加護は与えてくださいません。
 

よいレースになってよかった!

ディープボンドがスタミナ勝負に持ち込むために早めに競馬をし、それにテーオーロイヤルも付き合ったことで長距離らしいレースになりました。
長距離を圧倒的なスタミナで押し切る馬を「すごいなあ」「強いなあ」と感じるのは、昭和生まれだけではないと思います。この天皇賞(春)をきっかけに、長距離の面白さに目覚める競馬ファンが増えるとよいなと思います。
 

単勝は、勝ったジョッキーと喜びを分かち合える点がよいですよね。菱田も岡田先生も栗原助手も、サイレンスキャットも嬉しい日になりました。

土曜日は中山競馬場で、単勝と単複がんばれ馬券を買いました。
京都競馬場ではないので将来的に価値が出るものではないですが、こちらは換金せずに仕舞っておこうと思っています。

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サイレンスキャット
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