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【レポート】② -“演劇”という視点で考えるウクライナとパレスチナ-

芸術や文学を通して、様々な国・地域の歴史や現在の問題に触れてみる朗読会。2024年8月から月1回程度の頻度で実施しています。
詳しい企画趣旨などは、こちら。> https://note.com/silclub/n/nf69d078e8482


9月は、この「朗読会」を始める直接のキッカケになった、現在も虐殺が続くパレスチナと、戦禍に合うウクライナについて、そこで書かれたテキストをもとにお喋りしました。その時の様子を簡単にご紹介します。(文責:植村)

開催日:2024年9月24日(火)19:00〜21:00
会場:シルハウス
トークマスター:植村純子

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会の前半は、ウクライナやパレスチナに関連するテキストのご紹介から始めました。
この朗読会の企画を始める最初のきっかけになってるとはいえ、ウクライナとパレスチナのことは、不勉強であり、また一番 直接的な体験を伴わない(行ったことのある国ではない)話なので、わからないことが多すぎます。
 
それでも、過酷な状況の中にあって、そこに「演劇」があるということには、私たち日本で演劇に携わる立場から心を寄せずにいられませんでした。そういった視点で、これらの地域のことを考えてみることはできないだろうか・・と感じていました。


・「停戦のためのパレスチナ朗読プロジェクト」

2023年10月7日からイスラエル軍のガザ地区への攻撃が苛烈を極めていった中、停戦に向けた行動の一つとして、「停戦のためのパレスチナ朗読」プロジェクトが始まりました。
「#停戦のためのパレスチナ朗読 というハッシュタグで、あなたの朗読をSNSに投稿してください!」という呼びかけは、演劇の仕事をしている私たちにとって、その職能を活かして参加できる活動として、身近に感じられました。


・「ガザ・モノローグ」

“The Gaza Mono-Logues”(ガザ・モノローグ)は、パレスチナ・ヨルダン川西岸地区に拠点を置く ASHTAR Theatre(アシュタール劇場)の企画です。2023年11月、ガザで悲惨な殺戮が起きていることを受け、アシュタール劇場は世界中の友人と演劇人に連帯を呼びかけ、「ガザ・モノローグ」の朗読と、その動画をSNSに投稿することを緊急要請しました。
 
The Gaza Mono-Logues – ASHTAR Theatre
https://www.gazamonologues.com/
 
日本でもーー京都や大阪でも、俳優や劇場などの有志の手で企画され上演されました。


・「ガザ・モノローグ」を読んでみる

今回は「ガザ・モノローグ」のうち、中でも、”演劇”に直接関係している「わが書斎へ」「ガザから親愛なる友人シェイクスピアへ」の二篇を、参加者とともに読みました。

アシュタール劇場のウェブサイトは、今も公開されています。
https://www.ashtar-theatre.org/
これを覗くと、普通に劇場のウェブサイトが見れました。彼らは私たちと同じ「演劇をしてる」人たちだ・・ということを改めて感じます。今、彼らがどうあってるのかわからないですが・・。


・「戦争語彙集」

ウクライナの詩人 オスタップ・スリヴィンスキーさんが、戦争の脅威を体験した人々の証言をもとに、その「語彙」を一冊の本にまとめられました。ロバート キャンベルさんが日本語に翻訳され、またご自身がウクライナ現地へ訪れた記録とともに紹介されました。

その中で特に印象に残ったエピソードをいくつか取り上げて触れてみました。

出版社に勤めて文芸編集者をやっていたボフダナさんは、「戦争が始まると文化活動は無価値なものになる」「全面戦争というこの状況で、それが必要な人はどこにいるのか?」と感じて、リヴィウ駅でボランティア活動をされていました。

ウリャーニャさんが芸術総監督を務める「リヴィブ劇場」という人形劇場では、多くの避難してきた人たちを受け入れました。ある時点で「演劇を作り」、それは、劇場の職員も避難している人たちにも「癒し」になりました。
「芸術は存在しないものを創り出すことも、未来のビジョンを作ることもできます。また、安心感も与えてくれます。」とウリャーニャさんは言います。


・"演劇"という視点で考える

前回同様、会の後半は、参加者の皆さんと様々な話を交わしました。
「ガザモノローグ」や「戦争語彙集」に出てくる、パレスチナやウクライナの人たちの言葉に触れて、お互い感じたことを話したり、演劇の持つ力について考えたり、ダンス談義になったり、しました。

パレスチナから、世界への同業者へ連帯を求められたということの意味を重く受け止めます。
創作することやそれを観ることが「癒し」になることもあるだろうし、また、演劇の「伝える力」に寄せられる期待ということも思います。8月の回で話していたように、実際、沖縄のことも、演劇や映画、物語でそれに触れることでより感じることができたという声がありました。


正直、私は、こんな企画を立ち上げてるのに、最近の情報も全然得れていません。きちんと情報を得ていたり訴える活動をしてる人たちに比べて、私の考えていることは、生ぬるいのだろうと思いますが、それでも、普段は仲間ともこのような話をする機会もあまりないので、月に一回くらい、こういう時間を持つのもいいだろうと、もう少し続けていきたいと思います。

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『平和を求める朗読会』
主催・企画:シルクラブ
京都府文化力チャレンジ補助事業

次回は、11月5日(火)19:00〜。参加お待ちしてます。




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