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香料作物ミモザの見学に行ってきましたー!
こんちわこんちわ、蒸留作業やらに追われて記事投稿遅れましたが、本州よりは一足先にミモザの開花を見学にいってきましたー!
岩見沢のバラ園近くにある、温室植物園にあるんですよー。10月になるとキンモクセイの開花も楽しめるところっす!
”ミモザ”の見学。
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「ミモザという花」はよく母の日プレゼントとかでそのまばゆい色彩美しさからブーケとして売られているのは知っていた。ほかは香水のミモザテーマとかね!
けど南国植物らしいことも知ってはいたので、北海道では白一色の時期(真冬)ではまず実物をお目にかかることはなかったのです。
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初めてみた!滝のようなミモザの開花!!!
これほどまでの量の花を付けるのかミモザは!
さすが栄養系(窒素栄養の調達には定評のあるマメ科植物という意味で)には強いとされるマメ科植物なだけはある!!と素直に感心してしまいました。
農業系の学部にいた人なら絶対聞いたことある、「根粒菌」というのは確かマメ科の根っこと共生関係を築いている菌類のはずでしたよね。
で、ラベンダーはじめ芳香作物農家として一番気になるところ。
香水や香料にもなってるミモザは香るのか?という部分。
香りませんでしたw
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匂いはほぼ無い、感じられない。
どんなに頑張って匂い嗅いでも、温室の湿気った、ちょいカビっぽい香りがミモザ周囲でのせいぜいの香りといったところで、恐らくは香料種と園芸種とではガッツリ別種同士なんだろうな…って事が想像できましたね。
ミモザの植物学。
さてさて、この目の前に盛大開花しているミモザをつまみに、「ミモザの植物学」についてちとアカデミックに切り込んでいってみましょう〜!
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ナウシカの腐海の森の植物を思わせる風貌…
まず、目の前に生えている"いわゆる園芸用ミモザ"は、和名「ギンヨウアカシア」や「ミモザアカシア」と呼ばれる、学名:Acacia baileyanaというマメ科樹木です。オーストラリア大陸が原産地。
小さくポワポワしたまばゆい黄色のお花を咲かせます。
ミモザアカシアという俗名…分類学者からしたらどっちだよ!!って唸りそうなネーミングですねf^^;
そしてフランスのグラース市などで香水原料用に栽培されている"いわゆるの香料用ミモザ"は、和名「フサアカシア」と呼ばれる、学名:Acacia dealbataというマメ科樹木です。こちらもオーストラリア大陸原産。
これもぱっと見、上記の園芸用ミモザにソックリなのだそう!(書籍曰く)
そして、園芸店の鉢植えでよく売られている和名「オジギソウ」は学名:Mimosa pudicaというマメ科低木植物です。ちなみに情報ですけどね。
アカデミーの世界ではオジギソウが真正ミモザという扱いになっているようです。オジギソウは南米大陸が原産地。
北海道や東北などでアカシア!アカシア!と呼ばれるニセアカシア(ハリエンジュ)は、Robinia pseudoacasiaなので、ロビニア属の種小名ニセアカシアという、まんま偽のアカシアという学名からニセアカシア呼びが定着しているようです。こちらは北米大陸にメインで生えるRobinia属の樹木。
アカシアハニーの蜜源植物として世界各国で重宝されています!
開花期になるととてつもなく甘くてフローラルな香りが地域を包み込むんですけどね♪
ミモザの近縁種植物たち。
さて!お気づきでしょうか!
ミモザの近縁植物には、「アカシア属」「ハリエンジュ属」「ミモザ属」がそれぞれ存在しています!
アカシア属(Genus Acacia)には、園芸用の黄色いミモザや香料用ミモザが配置されており、、、
ハリエンジュ属(Genus Robinia)には、蜜源植物としてたくさん植えられてて白い花を咲かせるニセアカシア/ハリエンジュが(イヌエンジュはまだ別属)。
ミモザ属(Genus Mimosa)には、ピンク色のアザミのような花を咲かせるネムノキやオジギソウが配置されているのですね!
ミモザ属には園芸ミモザは居ないのです…
ざっくりと、日本人がよく知ってるマメ科の園芸植物たちはこんな3属構成の植物分類になっていますbb
いわゆるの「正統なアカシア」とは、園芸の世界でいう黄色い花を咲かせるミモザのことを言うのです。北海道で有名な外来樹種の白い花を咲かせるニセアカシアはロビニア属のニセアカシア。
で、「正統なミモザ」というと、ネムノキやオジギソウを指すのですね。
アフリカのタンザニア・ケニア側にもミモザの仲間っぽいマメ科植物がいる。
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北海道はニセアカシア、本州では真正アカシアのミモザ!
友人がアフリカに行った時もミモザの仲間(Vachellia drepanolobium)っぽいのをみっけてた!
トゲットゲなのにキリンがバリバリ食ってたそうだ。
彼が聞いた言葉によると「ムルジルージ」というそうだ。
キリンが道草食うがてら食べてるほど、そのへんにわんさか生えててトゲトゲしてるのでウゼェ!そうだ。
油断するとトゲトゲの枝をサンダルで踏み抜いてケガするくらい凶悪らしい。
調べてみると、ヴァカキア・ドレパノロビウムは2000年代まで真正アカシア属に含められていた子なので、分類法が改められるまではちゃんとミモザと同じアカシア属にいたようだ。仲間じゃん!!
アカシアをはじめミモザ近縁のマメ科植物は環境都合により防御形態としてトゲを発生させることが容易いよう。ちなみに園芸ミモザにはトゲはない。
香料種ミモザと園芸種ミモザ。
さて!当方エフゲニーマエダはラベンダー栽培研究家なので、ちゃんと香料についてのお話をしておく。
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早い話、ご覧の通り香料辞典にしっかり香料作物「ミモザ」としての記載がある。(しかし目の前の園芸種とは別種!)
記載されている香料素材であるミモザ花の写真と目の前の園芸用ミモザを見比べてもまぁ瓜二つだ。
上記にも書いたとおり、厳密に述べると、目の前の園芸種ミモザはAcacia baileyanaというあまり香らない子で、香水原料に活用されている香料種ミモザは香料辞典にも書かれているようにAcacia dealbataという学名だ。
厳密な生育エリアについては調べてないが、どちらともオーストラリア大陸でのアカシア属の仲間同士であることがわかっている。ようこそ北半球の日本へ!
ミモザ香料が存在する。
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香料種ミモザの花は、ラベンダーのように蒸留釜に突っ込んだだけでは「精油」は採れない。
花材料を溶剤に漬けて香り成分を溶剤に浸出させ、溶剤成分だけを揮発させて残った香りの強い液体物を「ミモザ・アブソリュート」として香料原料にしている。(一応ラベンダーもこの方法でアブソリュートが作れるそうだ)
いわゆるジャスミンやバラ,イリス,チュベローズ,オスマンサスなど香水に使用される花系かつ高級な香料に共通している抽出方法になる。
なので、ミモザ香料は高級香料の部類に入ります。
ラベンダーなんかに用いられる水蒸気蒸留より時間と手間のかかる溶剤抽出法である上に、ゲットできる香料の物量が少ないんすね。
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安価なミモザアブソリュートを持ってるのですが、実際の香りはかーなり清潔感ある蜂蜜を思わせる香り。
しかしフローラル感がとても強いので、全体的に軽やかイメージ。パウダリー。そりゃ香水に活用されるよな〜と。笑
おまけにスミレ香料(バイオレットリーフ)と似た香りがする。
スミレ香料の方はグリーン感がすこぶる強いのだけれどミモザはそのフローラル性が強いイメージ。
色は超黄色。花の色が出てるんだろうね!
おまけにおまけに蜂の巣香料とも似た香り。
こちらはかなり濃厚でもったりした甘さ。おそらくミツバチが花蜜を採った植物花粉の香りが反映されてるのだろうと思う。
P.S. 岩見沢市〜室内公園色彩館
いわみざわ公園のバラ園に隣接する「温室植物園」こそが、北海道の外気環境ではまず育たないキンモクセイ(10月開花)やミモザ(2月開花)、クスノキなどが観察できる施設となっているんですね。
正式名称は室内公園-色彩館というらしいです。知りませんでした。笑
ラベンダーに携わるようになってからは、その花の美しい香りを味わいに毎年キンモクセイ生花の香りを確かめにきています。
この温室では、10月初旬〜が金木犀の開花期になるようです。
ここでは、本記事で紹介した園芸用ミモザ(Acacia baileyana)の他にも、
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オレンジの苗木??デッカい柑橘がわんさか実った柑橘の鉢植えや、、、
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精油が採れるほうのゼラニウム鉢植えが5品種分くらい鉢植えで並んでたりします。おもろいです。
ちなみに右のシバシバした葉っぱのゼラニウム品種は癒されるレモン、シトラス系の香りが葉っぱから香るゼラニウムなんですが。。。
左のゼニアオイみたいな葉っぱのゼラニウム品種は、正直カメムシの放つ香りに似ていて俺はオエっとくる香りに感じます。まじか…ってなる香りがするゼラニウムでした。まぁ嗅覚は人それぞれらしいので。。。
〜関連記事リンク〜
ミモザ見学に持参していた、香水に主に用いられる芳香作物の香料辞典。
少々お高いが、購入を決めた動機は「コモンラベンダーとラバンジンをちゃんと分けて書いていたから」。
お手軽に入手できるミモザ香料①。
アブソリュート様なのでかなり濃いです。アルコールに解いて希釈するとミモザの手作り香水やらが作れます。
お手軽に入手できるミモザ香料②。
こちらもミモザのアブソリュート香料。"花系香料の香り良さには"定評のあるマンデイムーンさんのミモザ香料なので、手作り香水なんかを作りたいのであればコチラをオススメ。
お手軽に入手できるミモザ香料③。
香料原産地での取材記事が実に興味深くおもしろいパフューマーハウスさんのミモザアブソリュート。
こちらは上記とはまた別種のミモザ(Acacia decurrens)のアブソリュート香料。珍しいです。1mLから買えるみたいです。
景気付けに何かミモザテーマの香水1本でもオススメしておこうか〜と思ったけどミモザ香水も世の中かなり多くて決まらない。
なので地元企業さんの作品という応援要素も兼ねて、プロゲーマーたぬかなさんも賞賛していたshiroのオードパルファン「ミモザ」をオススメしておく。多分、時期限定。
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