まっすぐに生きる
医療ジャーナリストのリン・マクタガート女史は、「意図は物理量だ」と言った。彼女は、「意図にも量があり、計算できる」ということを言っている。たとえば、壁に百キロの鉄球と、二キロの鉄球を打ち付けた場合、重い鉄球のほうが、その衝撃は強く、大きな痕跡が残るはずだ。つまり、現象が強く残るのである。
だから、意図が大きく強ければ強いほど、その意図の現象の度合いも大きく強く残り現れる、ということである。
彼女の「意図は物理量だ」という言葉は、「継続は力なり」に通じるものがあるのではないだろうか。他に「信じるものは救われる」「願えば叶う」という長年言い伝えられてきた先人たちの言葉にも通じるものがある。
最近、効率的に短期間に成果を出すことが志向されているが、イチロー選手や大谷翔平選手の姿を見てわかるように、近道など存在しない。
その意図を常に継続し、その意図が描く情景を常に感受し続け、練習で行為に結び付け、実践に挑んでいく。その毎日の積み重ねである。
ただそれだけだ、とも言える。自分が望んでいることをクリアにし、その情景を臨場感たっぷりに感受して、その感覚のまま行為していくこと。目の前の現実に一喜一憂して囚われることなく、その意図の方向へ歩き続け、歩き続けながら、より良い歩き方を身につけていくこと。その歩行の毎日が、「意図の物理量」である。
もし、それが、何かに迷うことなく、囚われることもなく、継続していくのなら、それは大きく力強く、自分自身の日々に現れて来るに違いない。
この彼女の「意図は物理量だ」という言葉は、そういった意味で、しごく「励まし」に満ちた言葉のように思える。