
歌ってみたのボーカル調整の話
先日、歌ってみたのボーカルエディットを担当しました。
桐谷ルイト様(https://twitter.com/Kiritani_lewitt)
今回はその時に行ったボーカル調整についてまとめたいと思います。
私の歌ってみたのボーカルエディットは、以下の順番で基本行っています。
プラグインを挿して音作りの方向性を決める

<メインボーカル>
①RX7 Mouse de-click→リップノイズの除去 強めに入っている場合はスタンドアロンで確認しながら取る
本来ここにノイズ処理も入るのですが、今回のボーカルさんはほとんどノイズが無い状態で送っていただいたのでノイズ処理はしていません。
②Vocal Rider →ボーカルの音の大きさを平均化する。+4.0~-4.0でかけています。
③T-De-Esser2→第一のディエッサー。がっつりかけます。
④AI-Clarity→音をクリアにする魔法のプラグイン。100%でかけます。
⑤UAD LA-2A Tube Compressor→第一のコンプ。いつもは-5~-7にふれるくらいがっつりかけますが、今回ボーカルさんのほうでコンプをかけ録りしていたので-1にふれるくらい微妙にかけています。音の質感作り
⑥Q8 →第一のイコライザー。音の質感作り
⑦RDeEsser→第二のディエッサー。3300Hz前後を浅く削ります。
⑧C4→第二のコンプ。帯域ごとに分けてしっかりコンプをかけて輪郭を出します。
⑨UAD Sound City Studio→ルームシミュレータープラグインですが、今回はEQとコンプ目的で使用。EQ→第二のイコライザー。低音を少し削り、中音と高音を少し持ち上げる。コンプ→第三のコンプ。CRUSHに設定して-1にふれるようにかける。いい感じに音がふくよかになる。
⑩Chorus→Cubase付属プラグイン(お気に入りでいつも使ってる!)3%かける。音の質感作り。
⑪Replika XT→ディレイ。けっこうお気に入り。フィードバックは0%。1/8でかかるように設定。
⑫リバーブ(センドトラック)
リバーブはセンドトラックで作ってメインボーカルのみにかけます。
①TR5 CSR Plate
②Valhalla Super Massive
③Q8→150Hz以下をカット。リバーブをかけた時の低音のこもりを無くす。
Valhalla Super Massiveめちゃくちゃいいからみんな使いなよ。無料だよ。
<カラオケ音源>
①Q8→スペクトラムアナライザーを用いて、メインボーカルで強く出ている周波数をQを絞って削る。今回は610Hzと3700Hzを少し削っています。②Ozone9 imager→音源のステレオ感を調整。低音が真ん中に来るように調整し、高音は広がるように調整します。
Ozoneは本来マスタリングプラグインですが、ステレオイメージャーがめちゃくちゃ優秀です。
<ハモリ>
メインボーカルとかけているプラグインは似ていますが、設定が違います。
①~⑤までは一緒。
⑥C1 comp→レシオ4:1、アタック30ms(遅めにかけて音を引っ込める)、リリース10ms(早めにかけてしっかり抑揚をつける)
⑦Chorus→音の質感作り。20%でかける。
今回、ハモリは位相を反転させています。
聴かせ方によってダブリングさせる箇所を作ったり、3度上、3度下などがある場合はどちらか一方をステレオイメージャーで広げで音場作りをします。ディレイ、リバーブはかけていません。
ピッチ、タイミング補正
私も同行する。メロダ院。

メインボーカルのピッチ補正にはMelodyne 5 assistantを使っています。CubaseにはVariAudioというピッチ補正機能があるのですが、フェードがかけなかったり、モジュレーションの効きが甘かったりするので、聞かせどころのトラックのピッチ補正はMelodyneを使います。
私は絶対音感があるので基本、耳で聞いて一つずつ音を合わせていきます。
ピッチの真ん中に合わせることが多いですが、音の揺らぎを出したい部分などはその限りではなく、微妙にピッチを上に下にずらしたりします。
Melodyneには一括補正の機能もありますが基本使いません。
このボーカルさんはビブラートが綺麗にかかっていたので、その良さも潰さないように直していきます。
ピッチ補正の際にタイミングがずれている箇所を見つけたら、その都度直していきます。
・早口の部分や、キレのあるフレーズは、フェードツールで一音一音フェードアウトを書いて母音を強め、キレのある雰囲気を作ります。(これが地味に大変)
・オケと合わせた時にVocal Riderで処理しきれなかった音の大小もメロダインで直していきます。
・個人的に「ここかっこいいな~」と思ったとこや、「ふーんえっちじゃん」と個人的に感じたとこ等は自分の好みに編集します(笑)

基本的なピッチ調整はEssentialでもできるので、ぜひMelodyne使ってみてください。
タイミングの最終調整は、Cubaseの機能のオーディオワープで最終的に直していきます。
オーディオワープでタイミング補正をすると、気持ちメロダインより自然に修正できる気がしているので、最終のタイミング調整はオーディオワープで行っています。
ハモリのピッチ補正はCubaseのVariAudioを使っています。
私はメインボーカルのボーカルを完璧に真ん中に合わせないので、ハモリのピッチ補正も耳で聞きながらメインボーカルとぴったり合うところに調整します(大変)
2024/9/6現在 旧Melodyneからのアプデセールがきてました。
センドトラックで最終調整
ここまでくるとだいたい完成ですが、いざカラオケ音源とボーカルを合わせてみると、なんかボーカルが音源に引っ込んでいる感じがすると思います。
ここでボーカルがきちんと前に出るように最終調整をしていきます。
最後、ボーカルをグループに全部まとめます。
そして、カラオケ音源にコンプレッサーを挿し、サイドチェイン機能をオンにします。


そして、ボーカルが入ったときだけカラオケ音源が減衰されるように設定しています。今回はボーカルが入ったらだいたい-1.5dbされるように設定しています。
これをやるとボーカルがぐっと前に出ます。
あとはOzone9で最終マスタリングして完成です。
Ozoneは本来AIでその曲に合わせたマスタリングを自動で行ってくれるソフトになっていますが、私は最終的に定位も調整したいため、imagerとダイナミクスを手動で調整しています。
こんな感じで普段ミックスしています。ほとんど有料のプラグインを使っていますが、ほとんどがDAWに付属されているプラグインで代用できます。
歌ってみたをやっている方はMelodyneは買ったほうがいいかなと思います。
歌ってみたのミックス(有償)も承れますので、「自分で調整できないよ~(´;ω;`)」といった方はぜひお気軽にご連絡くださいね~!
▼Contact▼
Sayuri_41zaka☆outlook.com
それでは、良いミュージックライフを。