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SNSとの向き合い方へのブレイクスルー -徳力基彦 著『「普通」の人のためのSNSの教科書』-

 元々、学生時代のミクシィに始まり、いろいろなSNSを細々とやってみてはいつも続かずにいた自分でしたが、この『自分の名前で仕事がひろがる 「普通」の人のためのSNSの教科書』という本を読んで、自分のなかのSNSに対する考え方が整理整頓され、前向きにとらえることができるようになりました。

 今回はそんなお話を「メモ」してみたいと思います。

 ※本の内容に関する考察については、目次見出し【Discovery / この本を読んで得られたこと】にて

【Background / この本を読むまでの経緯】

 昨年2020年から続く外出自粛の世の中で、仕事においても、プライベートにおいても、インターネットの活用を前提としたライフスタイルに移行する必要性を多くの人が感じていると思います。
 そうしたなかで、オンライン上のコミュニケーション手段であるSNSについても、これまで以上に避けては通れないものとなってきました。

 自分自身の状況としても、仕事ではこれから地域住民の方々と1年間かけて行うまちづくりプロジェクトを立ち上げる大事な年になりそうだったり、プライベートでは昨年11月に次男が産まれ、また長男は今年4月に入園式(年少さんクラス)を迎えるなど、
 自分の人生のなかにおいても、公私ともに重要な時期にさしかかっているという自覚がありました。

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 日々の仕事を通して得られた経験や、日々の子どもの成長を見て得られた感動は、時が経つとどうしても記憶が薄れていってしまうものです。
 そうした消費期限のある記憶を、多少はどこかに記録し残しておくことが必要なのではないか…。そんなことを考えていた時期に、ちょうど良いタイミングで出会ったのがこの本でした。

 著者の徳力さんのことは、2月から始めたクラブハウス上で初めて知ったのですが、日本に上陸したこの新たな音声SNSツールに急激な流行り廃りが感じられたこの約3か月の間、ひときわ冷静かつ継続的にこのSNSの可能性を探っている方という印象を受けています。

 SNSといえば「いかにフォロワーを増やすか」や「いかに発信をバズらせるか」に話題が及ぶことが多いように思いますが、それとは一線を画すスタンスで継続的な発信を続けられている徳力さんの様子をみて、そのSNSに対する考え方がひととおり見渡せそうなタイトルの近著を手に取ってみることにしました。

【Discovery / この本を読んで得られたこと】

 この本を読んで、自分のSNSに対する考え方に大きなブレイクスルーが得られました。そのきっかけとなった主なポイントは、以下の2点です。

▶︎「自分のためのメモ」として考える
 …SNSというツールが世の中に普及して以降、ユーチューバーやインフルエンサーといった発信に影響力を持つ方々は、その存在自体がひとつの職業としてみなされ、ビジネスが成立するようになりました。
 その反面、日々どこかの誰かの発信内容が炎上しては謝罪会見まで発展したりと、同時に危険なもののようにも感じられます。

 とはいえ、恐る恐る使ってみてもさほど大きな反応は得られないため、結果、発信は長続きせずに、いつの間にかSNSを使うこと自体を辞めてしまう…。
 そんなことってよくありますよね。(自分はよくありました。笑)

 そうしたよくある状況に対して、視点を優しく変えさせてくれるのがこの本で、まずはSNS上の発信を「自分のためのメモ」として考えることを提案しています。

 コミュニケーションには「プッシュ型(直接会って話しかける、電話をかける など)」と「プル型(SNSやブログに書いたものを読んでもらう など)」の2種類があります。
 SNS上で書いた自分のためのメモはプル型のコミュニケーションなので、自分の予期せぬタイミングで、意外と誰かの役に立っていたりすることもあるそうです。

 少なくとも、あくまで自分のためのメモなので、マイペースな更新をコツコツ続けてさえいければ、SNSの蓄積効果とプル型の特性とが相まって、思いもよらない繋がりが生まれる可能性がある、と。
 そうした意味でも、とにかくSNSはまず続けてみることが重要なんですね。そして、そこが最も難しいところなのですが…。汗

▶︎「リアルの延長線上」として考える
 …本のサブタイトル(=『自分の名前で仕事が広がる〜』)にもあるとおり、ビジネスパーソンこそSNSでの発信を仕事に活かすべきで、その際にはできる限り「実名」での発信が望ましいとしています。

 この実名であることの重要なポイントは、実際の仕事上(あるいは生活上)と「同じ名前・同じ人格・同じ言動」になっていること、つまりは「リアルの延長線上」として考えることが自然だという点にあります。

 この本でも触れられていますが、SNS上の名前を匿名にすることで、自然と攻撃的な発言をしてしまいやすい傾向にあります。これは発言者の責任が曖昧になることで、発言自体が乱暴になるということの現れでもありそうです。

 一方で、今後の未来のことを想像してみると、自分の子ども達も今後成長していけば、いずれはSNSという存在に出会うことになるでしょう。その頃には、もはや就職活動も紙の履歴書ではなく、自らのSNS上のプロフィールを面接官に見てもらいながら行うことが当たり前の時代になっていくかもしれません。

 その時に、父親がずっと匿名でSNSを使い続けていたとなると、子どもに大したアドバイスもできなければ、何だかカッコ悪いだろうな…と、直感的に思ってしまいました。こんな感覚も、今回SNSとの向き合い方を考え直す動機のひとつになっています。

 いずれにせよ、ネット上でのコミュニケーションによって実際の仕事や生活に好循環を生んでいくためには、どういう場面においても、礼節をもった発言や発信をしていくことが最も重要だという、ごくごく当たり前のことに気づくことができました。

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 といった感じで、まだまだ沢山の気づきが散りばめられているこの本ですが、自分のなかでは、上記2点が特にクリティカルに響く視点となりました。

 この本は読者に「SNSとの向き合い方へのブレイクスルー」を与える好著として、自分のようにこれまでSNSがうまく長続きしなかった方々や、そもそもSNSについてマイナスイメージを持っている方々にこそ読んでほしい、オススメの1冊です。

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