[禍話リライト]モナリザの娘
ある小学校での話です。その学校の美術室にあるモナリザにまつわる話です。
美術室のモナリザといえば、学校の怖い話でも有名で「夜に見たらモナリザが動いた」だとか「指を指したら怪我をした」、「ある時間に見たら手の位置が違う」みたいな話があり今回の話はこれとはちょっと違うテイストの話です。
小学6年生の鈴木君は、同じクラスの佐藤さんに呼ばれて
「うちの学校の美術室にあるモナリザを午後6時に見ると顔が変わってるんだって。ちょっと興味あるから一緒に見てくれない?」
と言われました。鈴木君は佐藤さんに呼ばれた時に佐藤さんが可愛く人気もあった女の子だった事もあり、もしかして告白されるのでは?と期待していた事もあり気落ちしながら、
「少し考えさせて」
と保留にしました。
家に帰り中学生の姉にこのことを話すと
「え?でも2人きりじゃん。何がダメなの?」
「確かに…」
佐藤さんと2人きりになれるならいいか、と次の日に大丈夫だと伝えるとその日に行ってみようという事になりました。佐藤さんは最近ずっとマスクをしていたのですが、風邪なら別の日でもと言うと花粉症だから大丈夫だよ、と言いました。
佐藤さんは、委員会があったため待ち合わせをする事にしました。
ただ、最後の授業が終わってから夕方の6時までは時間があり暇なので教室で本でも読んで待っていることにしました。
5時半頃に佐藤さんが入ってきて、
「さあ行こう!」
と手を握り急ぎ足で美術室に向かいました。
やけにテンション高いな、と思いましたが頼み込んで行くのだから楽しみなのだろうと納得して美術室に行きました。中に入るとモナリザの絵に布が掛かっていました。中途半端に掛かっていたので、モナリザの手が布の隙間から見えていましたが、顔までは見えませんでした。
美術室に2人だけとはいえ、やる事がないのでお互い親への連絡用で渡されていた携帯電話を弄り始めました。
そこで鈴木君がチラッと佐藤さんの方を見ると、佐藤さんも携帯電話を弄っていたのですがここで違和感を感じました。それは、ストラップが朝見たのと今使ってる携帯電話に付いているので異なっている気がする、のです。一度気になり出したら、不信感のようなものが募るばかりで佐藤さんの髪型は他の人に似たような髪型の人が多く特殊だと言うわけではなかった事、服装は私立だった事もありみんな同じ制服……あの子は佐藤さん…だよな??今更違ってたら怖いんだけど…と考えていると5時59分になっていて、佐藤さんがバッと立ち上がり嬉しそうにマスクとモナリザにかかっている布に手をかけて
「じゃあこれを6時になったら一緒に取るね!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
もう、嬉しそうに言った佐藤さんとそのシチュエーションが怖くて美術室から急いで逃げ出しました。
その間も美術室にいる佐藤さんは、美術室から大声で笑っていました。走って逃げている最中に6時になり、マスクとモナリザにかかっていた布を取ったのか分かりませんが笑い声がより一層大きくなりました。
急いで逃げて佐藤さんと待ち合わせしていた玄関に行くと、佐藤さんは玄関で待っていました。
「もう…遅いよ…6時になっちゃったじゃん」
「変な人が居たから行かない方がいい!!」
その小学校では、警備員さんがいて放課後に残っている児童の人数を把握していて全員居なくなったところで学校を締めて警備を行っているのですが、聞くところによるとその時に残っている児童は鈴木君と佐藤さんの2人だけだったそうです。
この話が先生たちの間でも誇張されて広がった結果、次の日には美術室にあるモナリザは撤去されていたそうです。
そして、そのモナリザの絵画について…
この事があってから数年後、鈴木君は怖かったけども気になって当時の担任の先生を訪ねてどんな絵だったのかを聞いたそうです。やはりただのコピーを飾っていたのではなく、当時いた美術の先生が模写をして寄贈したもので、寄贈してからすぐに辞めてしまったそうです。
「そういえば、何の前触れもなく急に模写したからって寄贈してきたな…その後にすぐ辞めちゃうし。何だったんだろうな?」
[終]
この話は怖い話のツイキャス"禍話"[禍ちゃんねる パワプロスペシャル 2019年3月14日 27分〜]で話されていた"モナリザの娘"を文章化したものです。
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