欅坂46最高傑作は「二人セゾン」でも「不協和音」でもなく、「世界には愛しかない」

「世界には愛しかない」なんて、どう考えてもギャグでしか成立しないフレーズだ。そんなド直球すぎるタイトルを付け、どストレートに青臭い完璧なPVを作り上げて、メジャーで展開する初期の欅坂46は本当に素晴らしかった。

今野義雄氏はかつて雑誌のインタビューで乃木坂の運営に当たって「メジャー感は絶対に忘れちゃいけない」と語っていたが、これは欅坂の運営においても同じだろう。

日本では政治性を帯びた曲はとかく敬遠されがちだけど、秋元康が手がけるプロテストソング的な「サイレントマジョリティー」も「不協和音」も自転車乗りながらフンフン鼻歌で歌える普遍性があり、ヒットチャートの上位に食い込むキャッチーさを兼ね備えている。

この辺は、反政権カラーをより鮮明に打ち出している制服向上委員会が、メジャーとはほど遠いポジションにとどまっているのと大きな違いだ(良い・悪いの価値判断はさておき)。

「メジャー感を忘れない」とは、変に斜にかまえず物事に真正面からぶつかるということであり、言い訳をしないということ。欅坂46のクリエイティブには「私たち、全力でアイドルやってま~す!テヘ♪」的な言い訳がましい“なんちゃって感”が一切ない。

未熟であること、青臭いことをオブラートに包まず、全力でアイドルをする欅坂46の代表曲として「世界には愛しかない」を推したい。

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