ひろゆき in FF10 後編
ひろゆき in FF10
―後編―
前中編あらすじ
突如スピラに飛ばされた論破王・ひろゆき。ザナルカンドから始まり、ビサイド島、ルカ、マカラーニャなどを巡るうちに、召喚士ユウナやティーダたちと行動を共にし、少しずつ“シン”の正体や世界の仕組みに触れる。
もともと「時給換算でコスパ悪いから関わりたくない」と言っていたひろゆきだが、スピラの無限ループを断ち切るには“シンを論破する”しかないと確信に至り、ついに最終決戦へ——。
1. 飛空艇で突入! シンの体内へ
「えー、どうも、ひろゆきです。えーっと、いよいよ突入しますか?」
召喚士ユウナ、そしてティーダ、アーロンら一行は、アルベド族の飛空艇に乗り込んでシンの外殻を攻撃し、侵入口をこじ開けようとしている。
外では巨大なシンの身体が海上を漂い、その周囲から魔物が襲いかかるが、ワッカとルールーが魔法や必殺技で迎撃。ティーダが錬度を見せ、ブリッツボール投げで撃退する(?)。
• ひろゆき: 「これ、ゲーム的にはラストダンジョンですよね? 中に入ったら雑魚戦とかボスラッシュあるんじゃないすか? 時給換算で考えると、かなり面倒ですよね……」
• ティーダ(苦笑): 「今さら面倒も何も、シンを倒さなきゃいけないんだってば! 覚悟決めろよ!」
• ユウナ(決意の表情): 「皆さん、私が召喚獣でサポートします。ひろゆきさん、どうかシン=ジェクトさんを説得してあげて…!」
こうして飛空艇がシンの身体に大きな穴をこじ開け、一行はビームのような光に包まれながら内部空間へ突入する。どろりと歪んだ世界が広がり、宙に浮かぶ奇妙な道が続いている。
2. シーモアとの最終妨害
シンの内側を進む途中、シーモアが再度姿を現す。彼自身もシンに取り込まれつつ、究極の力を得ようとしているようだ。
「ユウナ、私と共に死し、永遠のスピラを作り上げるのだ……!」
バケモノじみた姿へ変貌しかけたシーモアが一行を攻撃する。ティーダ、アーロン、ワッカらが総出で迎え撃つが、強力な魔法に手こずる。
そこでユウナが召喚獣を呼び出し、ひろゆきはなぜか遠巻きに口を挟む。
• ひろゆき: 「シーモアさん、あなたすぐ死の世界に誘おうとするじゃないですか。時給換算で見ても全然メリットなくないですか? それで何が得られるんです? データあります?」
• シーモア: 「貴様…まだ口を開くか! 我が悲願のために邪魔を——」
• ひろゆき: 「悲願って誰もが迷惑してますよね。シンの力を使って世界を死の国にするって、結局あなたも救われないじゃないっすか。」
シーモアが一瞬反応に詰まり、ティーダたちが畳みかけるように攻撃を繰り出す。魔法の乱舞でシーモアは崩れ落ち、「この私が……!」と断末魔を上げながら、幻光となって消滅していく。
ユウナはすかさず“異界送り”を施し、シーモアの魂を浄化。こうして妨害は終わり、一行は奥へと進む。
3. ジェクトの意志との邂逅
ついに、シンの最深部に到達すると、そこにはティーダの父親であるジェクトの思念が具現化した姿が漂っていた。巨大な鎧のような形を取りつつも、その内面は人間の魂が宿っている。
周囲の世界が歪み、ティーダは叫ぶ。「親父! いい加減に目を覚ませよ!」
ジェクトの声が響く。「……すまない、ティーダ。オレはシンになって、ずっと破壊を繰り返してた。でももう……」
• ひろゆき: 「えー、ジェクトさんですよね? ちょっとデータ見たら、あなたがこうして破壊続けるメリットほんとにゼロですよ。むしろ、ティーダもユウナも悲しむし、スピラが荒廃するだけ。コスパが極端に悪い。」
ジェクトが苦しそうにうめき、周囲に血のような光が散る。
「オレだって、好きでやってるわけじゃ……だけど、止まらないんだ。シンは死の螺旋だ……オレの思いも絡まって……」
言葉が途切れるが、ティーダは拳を握って叫ぶ。「それでも止めたいんだろ!? なら、やめろよ! 親父、オレはお前を止める…いや、一緒に止める!」
4. 決着:シンを論破し、輪廻を砕く
ここでユウナが両手を合わせ、アーロンが剣を構える。ワッカ、ルールー、キマリが護衛する形でティーダとひろゆきがジェクトへ近づく。
最後の瞬間、ジェクトが怪物めいた外殻を捨て、半透明の人間の姿で立っている。背後には圧倒的な力が渦巻いているが、その苦悩は伝わってくる。
• ひろゆき: 「ジェクトさん、もうやめましょう。あなたが諦めればシンは存在意義なくなるんでしょ? 時給換算で論破完了ですよ。あと、死者の思念とか負の感情とか、さっきから言ってますけど……そういうのはユウナが異界送りして整理してくれるんじゃないですか?」
• ティーダ: 「親父、オレとユウナでお前を解放してやる。だから、暴走すんな!」
• ジェクト(微かな笑み): 「……ああ、ありがとう……オレはもう、終わりにしたい。お前たちの時代に、これ以上災厄を振り撒きたくない……」
ジェクトが同意するかのようにうなずき、周囲を包む烈しいオーラが一気に崩れはじめる。ユウナが祈りを捧げ、召喚獣の力で**“魂を救済”**する。
スピラ中に響き渡るかのような衝撃と光が炸裂し、シンの体を覆っていた漆黒の殻が粉砕。ジェクトの魂が“シンの意志”から離脱し、無数の幻光が天へ昇っていく。
5. エピローグ:スピラに訪れる平穏と、ひろゆきの帰還
シンが消滅し、スピラは深い静寂に包まれた。空が晴れ、海が青々と輝く。人々が「シンが……いない!」と歓喜の声を上げる。ユウナは涙ぐみ、「やっと…みんなが救われるんだね」と呟く。ティーダは力が抜けたように地面にへたり込む。「親父…ありがとうな…」
一方、ひろゆきはポツリとつぶやく。「いやー、時給換算でここまで来るの大変でしたけど、最終的に論破で終わったんで、まあコスパ悪くはなかったのかな。帰れるんですかね、僕」
その直後、ひろゆきの身体が透け始める。どうやら、この世界を救ったことで「異界召喚」が完了し、元の世界に戻るタイミングらしい。
ティーダやユウナが駆け寄る。「え、もう行っちゃうの?」「ありがとう、ひろゆきさん。あなたのおかげで…」
が、ひろゆきはいつも通りクールな調子で「僕は時給換算が大事なだけで、みんなが幸せなら何よりです」とか言ってる。
「じゃ、皆さんお元気で。データ見てもシン消えたならもう大丈夫でしょう。……フランス帰ったら配信再開しますかね。お疲れさまー」
そう言い残し、光の粒となって彼は消えていった。
数日後
スピラは完全なる平和の時代を迎える。シーモアも倒され、教団の不正も暴かれ、ユウナたちは新しい未来を築きはじめる。
ふと誰かが言った。「あの論破さん(?)、一体何者だったんだろうね?」
ティーダは笑う。「さあな。でも、すげえ理屈っぽかったけど、結局シンに言葉が届いたからな。……オレは感謝してるよ。」
こうして、スピラの長き苦しみは幕を下ろし、ひろゆきの名は一部で「論破王」として語り継がれたとか、語り継がれなかったとか――。
エピローグ:現在のフランス
「えー、どうも、ひろゆきです。いやー、帰ってきましたね、フランス。スピラの旅から戻ったら、なんか全部夢だったような感覚ですけど…いや、僕の配信ルームちゃんと残ってますし、時給換算で考えるとお得だったんでしょうかね?」
フランスのとあるアパートメント。いつものように薄暗い部屋でPCを前に座るひろゆきの姿がある。
窓の外は曇り空、パリの街並みが遠くに広がっている。ごく普通の日常の風景だが、本人は先日まで「スピラ」と呼ばれる異世界にいたはず――とはいえ、それを証明するすべもなく、まるで夢のように思える。
「データがないんですよね。僕があっちでシンを論破したとか。あ、でもなんか手元に見慣れない“スフィア”みたいなやつがあるんですけど。これ、あっちの世界から持ってきたやつなのかな。
まぁ時給換算でどう役立つか分からないし、ネットオークションとか出せば売れますかね?」
思わず苦笑しながら独り言を言う彼の目に、PC画面に移るSNSコメントが飛び込んでくる。「ひろゆきさん、何日か行方不明だったけど何してたんですか?」とか「異世界スピラに行ってたって本当?」なんてふざけたコメントがリスナーから寄せられている。
「いやいや、そんなことあるわけないじゃないっすか。データないですし。ま、仮にスピラでシンを倒してきたっていう仮説があったとしても、あっちはあっち、こっちはこっちですよね。はい、論破。」
画面越しに「スピラ最高!」なんてコメントも流れるが、ひろゆきは飄々とスルーする。
やがていつもの配信が始まる。時事ネタや視聴者の質問に小気味よく答えていく――これまでと変わらない日常だ。しかし彼の机上に何故か置かれたままの“不思議なスフィア”だけが、微かに輝いている。
まるでスピラの余韻を感じさせるように、ほんのり淡い光を放ちながら。
「えー、そんな感じで今日は終わりにしますね。お疲れさまでしたー。」
フランスの静かな午後。
論破王ひろゆきの配信部屋には、もうスピラの喧騒はない。だが、かすかな記憶だけが「時給換算で言えば悪くはなかった冒険」として胸に残っているのだった。
――Fin
【完】