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ひろゆきの反サロ〜それってあなたの感想ですよね?

以下はあくまでフィクションとして描かれた討論のストーリーであり、実在の人物や団体の実際の発言・思想を正確に反映するものではありません。また、本作中のアナロジー(旧日本軍との比較など)はディベートを盛り上げる演出として描かれたもので、特定の業界や個人を侮蔑したり否定したりする意図はありません。あくまで架空のディベートとしてお楽しみください。

登場人物
• ひろゆき
ネット界隈でおなじみの言論人。医療・福祉の“暴走”や財政問題について独自の切り口でツッコむ。
• 小山田 明子(仮名)
老人福祉施設の運営者。高齢者ケアを守ろうと必死に訴える。
• 医療・福祉団体の代表・A氏
業界を代表する立場として、ひろゆきの言説に感情的に反発するキャラクター。

シーン:ウェブ討論番組「高齢化と財政破綻の危機?」

薄暗いスタジオに設置されたテーブルを囲む三人。すでに議論は白熱しており、空気は張りつめている。

ひろゆき、旧日本軍との類似点を指摘

ひろゆき
「僕が思うに、今の医療・福祉業界って、当時の旧日本軍と構造的にそっくりなんですよ。そもそも旧日本軍って“国家防衛”という大義名分があって、誰も逆らえなかった。結果として歯止めが利かず、どんどん拡大して国を疲弊させていったじゃないですか。医療・福祉業界も“高齢者のため”“人命を守るため”っていう正論があるせいで、どんなに予算を食いつぶそうが、誰も大きく批判しにくい状況にあると思うんですよね。」

テーブルを挟んだ小山田とA氏の顔が引きつる。会場にも微妙な空気が走る。

医療・福祉団体代表の激烈な反論

A氏(医療・福祉団体代表)
「ちょっと待ってください! 旧日本軍のように“侵略”とか“軍拡”とか、そういう危険な行為を医療・福祉に当てはめるなんて、あまりに乱暴じゃないですか。私たちは困っている人のために頑張っているだけで、暴走だの財政を食いつぶすだのと侮蔑するのは失礼極まりない!」

小山田
「医療・福祉は、人の命を支える最前線なんです。高齢化で要介護者や慢性疾患を抱える人が増えているのに、人手不足や予算不足はまだまだ解決していない。実際には“余裕がある”どころか、常に限界ギリギリで働いているんですよ! それを“軍部”だなんて……現場の苦労をまったく分かっていないんじゃないですか?」

テーブルの上で小山田の拳が震える。A氏も興奮して身を乗り出す。

ひろゆき、いつもの決め台詞で返す

ひろゆき
「いや、その“現場が苦労してる”って話は、ぶっちゃけ僕からすると“それってあなたの感想ですよね?”って話だと思うんですよ。苦労してるかもしれないけど、実際に医療・福祉の総コストは右肩上がりなわけで、しかも誰も縮小しようとは言い出さない。結果的に財政が圧迫されて、若い世代へのツケは増える一方ですよね。
で、“お年寄りのためだから”って名目があると、批判を封じやすい。旧日本軍の“国防のためだ”って大義名分とそっくりじゃないですか?」

医療・福祉側、さらに感情的に応戦

A氏
「あなたね、“お年寄りを助けること”と“軍拡”を同列に語ること自体、悪意があると思いませんか! もし医療や介護が不十分になったら、弱い立場の人たちがどれだけ苦しむか考えているんですか?」

小山田
「私たちは“予算を取ろう”なんて考えていません。現場が必要とする分を国が出してくれないと、介護離職や看取り難民が増える一方です! それがわからないなんて、あまりに想像力が欠けていると思います!」

強い口調で糾弾する二人。だが、ひろゆきはどこ吹く風という表情だ。

ひろゆき、再度ツッコミ

ひろゆき
「もちろん、弱い立場の人を放っていいなんて思っていないですよ。でも、今の日本の医療・福祉って既に国家予算のかなりの部分を占めてるし、まだまだこれから膨らむ見込みでしょ? しかもその使い道がどこまで合理的かはっきりしない。医療機関がリハビリや検査をやればやるほど報酬が増える仕組みで、実際の健康寿命がどれだけ伸びているのかよくわからない。
それで“どんどん国の金を使おう、足りないなら増税で若い世代から取ろう”って流れが続くなら、正直“崩壊”が見えているんじゃないかと思うんですよね。」

A氏
「あなたは数字だけ見て適当なことを言ってるんですよ! 現場を知らない人にああだこうだと比喩されるなんて、怒りしか覚えません!」

ひろゆき
「ええと……それも結局“それってあなたの感想ですよね?”って話で、僕はむしろ“日本の財政がどこまで持つか”って事実ベースで言ってるんですよ。高齢化と少子化が進むなかで、医療・福祉への支出が今後さらに増えるのは確実。介護・リハビリ・終末期医療……どこに線を引くかを決めないまま拡大してるのは、歴史的に見てもかなり危うい構造じゃないですか?」

司会者が一旦仕切り直し

司会者
「お時間も残り少なくなってきました。ひろゆきさんが医療・福祉を旧日本軍の軍部に例えたことで議論が過熱しましたが、今後、どんな道筋で解決策を探るべきだとお考えですか?」

短い総括
• A氏:「医療・福祉は軍拡などではなく、人命を守るために必要不可欠な社会基盤。財政の問題も国全体で議論すべきで、業界ばかりを敵視するのはおかしい。」
• 小山田:「現場は苦労している。不要な拡大があるなら精査は必要だが、支援の切り捨てで弱者が苦しむことのないようにしてほしい。」
• ひろゆき:「過剰な美化や正論を錦の御旗にして、誰も止められなくなる状況は危険。どこに線を引くかを社会全体で決めないと、今後さらに大きなツケを若い世代や将来世代に回すだけになる。」

エピローグ:消えない火種

司会者が「本日はありがとうございました」と締めくくると、拍手はまばらに響く。医療・福祉側の二人はまだ納得していない様子で、ひろゆきに険しい視線を向けたままだ。ひろゆきはいつもの淡々とした表情を崩さず、機材がオフになるのを待っている。

「旧日本軍の軍部みたいに暴走している」との過激なアナロジーは、業界関係者の感情を大いに逆なでしながらも、社会保障費や高齢者ケアの肥大化に対する問題提起として強いインパクトを残した――そんな後味の濃い討論会の幕が、ゆっくりと下りていくのであった。


エピローグ

討論番組が終了した翌日、ひろゆきはパリの街角にある小さなカフェのテラス席に腰を下ろしていた。薄曇りの空の下、カフェ・オ・レの柔らかな香りが鼻をくすぐる。石畳を行き交う人々の喧騒をBGMに、スマートフォンの画面を見つめながら、先日の議論を思い返しているようだった。

「旧日本軍の軍部と同じ構造の暴走だ……」

自分が投げかけた、その過激な例え。それに対する医療福祉側の激烈な反発。そして、いつもの「それってあなたの感想ですよね?」で押し返した結末。まるで肩越しに、あのスタジオの熱気と張り詰めた空気が蘇るようだ。

少子高齢化、膨張する社会保障費、危うい労働力のバランス――日本の未来は暗い雲に覆われているようにも思える。番組を観た人々はどう感じただろう。怒り、不安、諦念、あるいは何かを変えなくてはという衝動。ひろゆき自身も、一方的に説教を垂れるつもりはなかった。今の日本が向かっている道筋に、警告の旗を立てただけのこと。

「……さて、どうなるのかね、日本は」

口元にぼそりと漏れた言葉は、誰に問いかけているでもない。それに答えるように、風がちいさくカップの表面を揺らした。遠くでは警笛が鳴り、通りを横切る人々の足音がくぐもったリズムを刻む。

深く息を吐いてスマートフォンをポケットに仕舞い込むと、ひろゆきは残り半分のカフェ・オ・レを一気に飲み干した。舌先に残る苦味が、彼の胸にしこりを落とす。薄曇りの空は、まるで何かを含んだまま押し黙るかのように灰色を帯びている。その下を行く人々は、未来への期待と不安を抱えながら、それぞれの物語を紡いでいるのだろう。

「まあ、まだどうとでもなるかもしれないけど……」

一瞬だけ軽く笑って、ひろゆきは勘定を済ませ、立ち上がる。
その背中を追うように、どこからか風が吹き抜けた。

日本の行く末は、確かに暗雲の予感。
けれど、その雲を晴らすかどうかは、まだ誰の手にも託されている。
そんな余韻だけを残したまま、パリのカフェの扉が、彼の後ろで静かに閉じた。

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