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ひろゆきのファイナルファンタジーXV~「いや、そもそもこの車、燃費悪くないですか?」



ひろゆきのファイナルファンタジーXV

~「いや、そもそもこの車、燃費悪くないですか?」編

プロローグ

「え、ちょっと待ってくださいよ。ファンタジー世界なのに、車で旅するんですか? しかもやたらハイオクっぽい燃料使いません? コスパ悪いですよね……」
 僕――ヒロユキ・ニシムラは、いつの間にか“イオス”と呼ばれる世界に迷い込んでいた。王子やら兄貴分やら、黒服でおそろいの若者集団と出会い、流れで一緒に行動することになってしまったのだ。

第一幕 ノクト一行と合流

 ひょんなことから、王子・ノクティス(ノクト)とその仲間たち――イグニス、グラディオラス、プロンプト――に出会う。彼らは車“レガリア”で旅をしていて、王都奪還を目指しているらしい。
「そもそも、なんでそんなに車にこだわるんですか? この世界ってモンスターも多いし、徒歩で行くの危ないかもしれないけど……整備代とか燃料代とか、バカにならなくないですか?」
 僕がボヤくと、運転席のイグニスが静かに微笑む。
「車での移動は我々にとって、じつに効率的なんです。ノクト殿下のお休み時間を確保できますし、荷物の量も段違い。長距離移動の疲れも軽減できますからね」
「いや、隣で王子寝てますけど? なんかもうコスパとかそういう次元じゃない気が……」
「ふぁ……。うるせぇな……」
 後部座席でうとうとしていたノクトが寝ぼけ眼をこすりながら反応する。王子とはいえ、ずいぶんと気だるげだ。

第二幕 ドライブと給油の憂うつ

 荒野と美しい海岸線を抜けるレガリアの旅。ワイワイ楽しそうではあるけれど、給油のたびに僕は頭を抱える。
「やっぱり燃費悪いですよね、この車。イオスのガソリンスタンド、価格設定どうなってるんです? フランスのガソリンよりも割高な気がするんですけど」
 プロンプトがカメラを片手に笑う。
「まぁまぁ、旅ってのは浪費も含めて思い出だよ! ほら、写真撮ろうよ!」
「いや、僕の財布じゃなくて、みんなのお財布ですし……写真撮ったところで、“帝国”とかいう物騒な連中も追いかけてくるんですよね?」
「追いかけてくるっていうか、こっちもいずれ帝国の連中と戦わなくちゃいけないからな」
 グラディオラスが腕を組みながら言う。体格が良く筋肉ムキムキの彼を前に、僕はなんとなく反論しづらい。
「そもそも、帝国と戦って勝ち目あるんですか? 向こうってなんか超巨大な兵器とか、メチャクチャ強い将軍とかいるって聞いたんですけど」
「気合いでぶっ飛ばすしかないだろ!」
「いや、気合いより戦略のほうが大事じゃ……」

第三幕 キャンプとイグニスの料理

 時には宿代を節約するために野宿をすることも。イグニスの作る料理は驚くほど美味しく、思わず感激してしまった。
「いや、これはマジでうまいですね……。フランス料理と張り合うレベルかも。どうやってこんな食材揃えたんです?」
「フィールドで採取した野菜やモンスターの肉を活用しています。工夫次第で、十分な美味を生み出せるものですよ」
「なるほど、確かにこれはコスパ悪くないかもしれないですね。お店で食べたら高いメニュー、ここならほぼタダみたいな感じですし」
 ただし、食材を集めるにはモンスターと戦わないといけない。僕は当然ながら戦闘能力ゼロなので、ノクトたちが必死に戦っているのを後ろから眺めるしかない。
「いや、敵の数多すぎません? しかも夜になるとデーモンまで出るとか……危険すぎるでしょ! そもそもなんでこんな世界で夜中にドライブしようと思ったんです?」
「王子がめんどくさがって昼間寝てるから、夜中に移動するしか……」
「いや、ノクトさん……それはマジで効率悪いですよ」

第四幕 帝国との衝突とアーデンの影

 旅の途中、たびたび帝国の兵士や謎めいた男・アーデンが現れては、こちらを挑発してくる。
「ねえ、あのアーデンって人、めちゃくちゃ胡散臭いじゃないですか? あからさまにトラップに誘導してくる感じがしますけど」
 僕が警戒してみせると、ノクトが面倒くさそうに頭をかく。
「うん、わかってるけど、追い払うのも大変だし、あいつの情報は必要なときもあって……」
「でも明らかに裏があるでしょ!? そもそも論として、敵か味方かもわからない人にホイホイついていくなんて、危ないですよ。ネットで炎上しますよ」
「ネットって何だよ……」
「……いや、説明がめんどくさいので割愛しますけど、“騙されたら自己責任”ってことですよ!」

 帝国の基地に潜入するミッションが発生し、ノクトたちはわざわざ車を降りて徒歩で潜入を試みる。僕は後方で待機。
「いや、最初から車で突っ込んだほうがいいのか、あるいはもっと別の手段があるのか……。どちらにせよ命懸けですね。やっぱりコスパを考えるなら、王都奪還は難易度が高すぎると思うんですよね」

第五幕 終幕と帰還

 多くの激戦を経て、ついにノクトは王の力を継承し、帝国の脅威と対峙する。僕はひたすら足手まといだったが、口だけは出し続けていた。
「ほんと、無茶苦茶でしたね。デカい敵やら神話級の召喚獣やら……めちゃくちゃ規模がデカいです。この世界はもっと、インフラ整備とかに力を入れたほうがいいと思うんですよ。道路とか、ガソリンスタンドとか」
 すると、勝利を収めてボロボロになったノクトが、少しだけ微笑む。
「まぁ、俺たちはこれでやるしかなかったからさ。車の燃費? 安全? 全部あと回しだったけど……友達と国を取り戻すために頑張るのって、案外悪くなかったよ」
「いや、その“悪くない”って感情論で死にかけるんですよ……まぁ、いいですけど。ノクトさんが納得してるなら、僕はそれで……」

 そして、王都の混乱が落ち着いた頃、僕はいつの間にか時空の歪みに巻き込まれ、フッと姿を消したらしい。

エピローグ:パリのカフェ

 気づけばパリの街角。いつものカフェにて、カプチーノを飲みながらスマホをチェック。見知らぬ世界で撮ったはずの写真はカメラロールに残っていない。
「なんだろう……全部幻覚だったのか? でも、車で荒野を旅した記憶がリアルすぎる。王子とその仲間たち、ちゃんと平和を取り戻せたのかな」
 街ゆく車を見ても、やけに地味に感じてしまう。あの“レガリア”の洗練されたデザインや、夜の闇を切り裂くヘッドライトの眩しさが蘇るのだ。
「燃費は悪かったけど……まあ、男たちのロードムービーって感じで、それはそれで悪くなかったのかもしれませんね。結局、コスパだけじゃ割り切れない旅ってことなんでしょう」
 夕焼けに染まるパリの街を見ながら、僕はそう呟いて笑みをこぼす。彼らは今も広い世界を駆け抜けているに違いない。
「さてと……一応ネットで“ファイナルファンタジーXV レガリア 燃費”って検索してみますかね。……まあ、何も出てこないと思います

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