緊急事態宣言は意味が無かった可能性(宣言を延長した理由も不明)
5月1日に発表された専門家会議の資料に、東京都で陽性となった人が発症した日を示すグラフがある。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000627254.pdf
これを見た瞬間にあれ?と思う。緊急事態宣言が出る前に既にピークを越えているのだ。そんなことがあるだろうか?しかも、新型コロナの潜伏期間は平均5、6日と言われているので、感染した日はさらにこれよりも5、6日ほど前ということになる。グラフをずらすと、こうなる。
感染は3月26日、27日あたりにピークを向かえており、緊急事態宣言が出た4月7日ごろには既にかなり収束している。緊急事態宣言は、その収束のスピードさえ変化させているように見えない。これについて専門家会議の資料では何も触れていない。専門家会議ではどういう解釈をしているのだろうか?
さかのぼって4月22日の資料に専門家会議が接触を8割削減すべしとした根拠を示したグラフがある。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000624048.pdf
このグラフでは、接触を減らした場合に、感染の報告がどう推移するかを予測している。接触が80%削減できれば感染報告のグラフは黄色になり、65%削減できればオレンジになるとのこと。これに東京都と大阪府のリンク不明の感染者の報告グラフを日付を揃えて重ねてみた。(意味がないので縦軸は合わせていない。東京と大阪の比は正確。)
https://covid19-osaka.info/
https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/
緑が東京都のリンク不明の感染者で、黄緑が大阪府のリンク不明の感染者だ。いずれも報告日のグラフで前後7日の平均値である。黄色やオレンジで予測されていたもののはずだが、全く合っていない。このずれもまた専門家会議の資料では触れられていない。緊急事態宣言の必要性のために示された予想グラフと実際のグラフが合わなかったのだから、それについて専門家会議や政府は何かしら説明すべきではないか。緊急事態宣言を伸ばしたとき、専門家は「思いのほか感染者が減らない」と言っていたが、これを見ると専門家会議の予測より断然早く収束に向かっている。一体何と比較していたのであろうか?
まとめる。
1.緊急事態宣言が出たころには感染流行はほぼ収まっていた。
2.緊急事態宣言を出しても効果が見られなかった。
3.5月1日の専門家会議の資料から1と2のことが分かるのに、なぜか緊急事態宣言は延長された。
これほどの社会的影響の大きな出来事が無意味であったとは衝撃的でにわかには信じられない。しかし、調べてみると以下のような記事があり、同様の疑問を呈する専門家もいるようだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/508645a5a0004b4b35a36e5f71ff0a5463502a28
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/05/post-93360.php
論文の方はヨーロッパのデータなので、日本に限らないのかもしれない。疫学や公衆衛生学などの専門家たちが総出で間違えていたのか、あるいは理論は正しいのに運用する人たちがその方法を間違えたのか、もう少し調べてみたい。
今の自分の感触では、感染状況の把握にタイムラグがあるのでまだ拡大期であるとして外出規制をするのは致し方なかったのではないかと思う。少ない情報から拡大期か収束期かを判断するのは専門家でも出来ないのだろう。ただ、それを説明して欲しかった。どこまで把握していて何が把握できていないか、把握はできていないが〇〇の可能性を否定できないからリスク回避のため〇〇の行動をすべき、などと説明して欲しかった。それとも専門家が拡大期だと思う兆候があったのだろうか?だとしたらそれは外れた。まだまだ発展途上の学問なのかもしれない。だとすると、拡大期なら今回のような外出規制を行って本当に効果があったのだろうか?ということまで気になってくる。今後に備えて、今回の規制レベルで足りるのかどうかの検証は可能なのだろうか?
いずれにしても、政府と専門家会議は、予想が外れて結果的には緊急事態宣言はあまり意味をなさなかったことと、それが分かってもなお延期したことについて、理由を説明すべきではないだろうか?