「目立ちたがり」の撮影ガチ勢が一条百鬼夜行に行ったら、めっちゃ楽しかった話
こんにちは。Sigmaです。
さっそくですが、みなさんは「一条百鬼夜行」というイベントをご存じでしょうか?
「一条百鬼夜行」とは、京都の一条通にある「大将軍商店街」で行われる仮装行列のことです。妖怪芸術団体「百妖箱」が中心となり、町おこしとして2005年から開催されています。
当日は仮装行列の他に、妖怪グッズを販売する「モノノケ市」も開催され、国内外から多くの観光客が訪れる人気イベントです。
そんな「妖怪好き」たちがあつまるイベントに、生粋の「目立ちたがり」である撮影ガチ勢のコスプレイヤーが参加した結果……
・現地でめっちゃちやほやしてもらったり
・プロのカメラマンに撮影してもらったり
・Twitter(X)でたくさん褒めてもらったりしました
いや~~~~~~楽しかった。
楽しかったし、SNSでも人気者になれて正直めっちゃうれしかった。happy
どうせ参加するなら絶対に目立ちたいと思っていた強欲な妖怪です。
自分の欲には正直にいこうや。だって妖怪だもんね。
とっても良い体験をしたので、ぜひ他の「目立ちたがり」妖怪さんにも今回の「楽しかった!」の素をシェアしたく、記事にまとめました。
ニンゲンたちにキャーキャー言われたい
たくさん写真を撮ってもらい、SNSにアップしてほしい
あわよくばプチバズりたい
そんな欲望まみれの妖怪、妖怪志望者たちに!
とどけこの思い!
妖怪仮装の戦略的こだわり
1.ほかの妖怪とは違うことをしよう
妖怪仮装をやろうと思ったとき、まず私は「ほかの人がやってない仮装をしよう」と思いました。
仮装に限らず、創作活動全般で心掛けていることなのですが
「自分の土俵で戦う」
が私の活動信念です。
人と違うことをやる。
同じことをやるなら違うやり方でやる。
人を羨んで真似したり、追いかけたりするのは、私は好きじゃない。
自分らしく活動したいし、人と自分を比べたくないんです。
ナンバーワンよりオンリーワンとかよく言いますが、その通りだと思います。
唯一ってめっちゃかっこよくて好きなんです。
……と、いう理念のもと、私らしい妖怪仮装は何か?と考えました。
結果、自分の場合は
「蛾」
「メイクのクオリティ」
「白塗りのキレイ系な妖怪仮装」
この三点を見つけました。
人と違うことをやる時は、自分の得意な分野や好きなものにすると良いです。
(私はこれを「尖れ」とよく言います)
自分の好きなもの「蛾」「キラキラ」
自分の得意なもの「メイク」「白塗り」
これらを集めて、自分がハッピーになれる自分だけの妖怪仮装をしよう!と思ったのです。
2.わかりやすさは何よりも大事
パレードに参加するなら、やっぱりニンゲンの皆さんにしっかり見てもらいたいし、注目されたい。
そう思った私は、次いで「分かりやすい」妖怪仮装を心掛けてコーディネートを考えました。
百鬼夜行は基本的に立ち止まることなく、ずっと歩いて進んでいきます。
つまり沿道の人たちはじっくり妖怪を見る時間がありません。
よって、第一印象で何の妖怪なのか。あるいは、どんな妖怪なのか分かるようにすることが大事だと考えました。
わかりやすさを演出するために、私は二つの要素を重視しました。
①シルエット
全体のシルエットが奇抜であること。
人間のシルエットからかけ離れると良いと思いますし、なるべく大きいシルエットになると目立ち度が爆上がりします。
ファッションの祭典メットガラでも超巨大なドレスなんか見ると「おお~」となりますよね。笑
私の場合は蛾のマントで大きさを、触覚を模した角で人間離れしたシルエットを演出しております。
②パフォーマンス
ただ歩いているだけでなく、「普通でない歩き方」をすることも心掛けました。
また、人間は揺れているものに注意を引かれる傾向があります。
さらに、蛾の目玉模様も、注意を引き付ける効果があります。
つまり……おわかりでしょうが……。
「マントをたくさんひらひらさせる」だけで、人間の注目を集めることはできるだろう……と思いました。
パフォーマンスについては、さらにこだわりがあります。
次項で語ります。
3.妖怪の極意は「動き」にあり
妖怪仮装は着るだけで終わりではありません。
百鬼夜行で「観客に印象を残す」ためにはかならずパフォーマンスが必須です。
奇抜な格好の人間が歩いているだけでは印象に残りません。
「妖怪として歩く」必要があるわけです。
「妖怪的な動き」というのはひとくちには言えない部分があります。
それぞれのキャラクター性によって、はげしかったり、静かだったり、笑ったり、笑わなかったり……
沢山の表現方法があると思います。
ですので、ここでは私が「妖怪」的なパフォーマンスとして心がけていた例を挙げます。
①観客にちかづく
最も簡単なパフォーマンスの例です。
観客に近づくだけでも喜んでもらえますし、近くで見ることで、観客の中で妖怪が「印象」から「記憶」に残ります。
私はいろいろな近づき方を実験しながら歩いていましたが、特に喜んでいただけるのは次の二つの方法でした。
目があったら絶対に離さず、見つめたまま接近する
こちらを見ていない観客の不意をつく
……ニンゲンを驚かせすぎて怪我をさせないよう注意してくださいね。
②手を振る
こちらも簡単なパフォーマンスですが、手の振り方にキャラクター性を持たせることも可能です。
笑顔で手を振るか、両手なのか片手なのか。おしとやかに。元気に。
また、手を振るときは「あなたに手を振っているんだよ」と分かるように、一人ずつ目線の高さを合わせると良いです。
お子様が相手なら屈んであげると、周囲から「妖怪さんやさしいなあ」と言っていただけたりします。
③踊る
「踊る」といいますと難しそうに思われるかもしれませんが、ようはちょっと変わった動きをすると良いよ、ということです。
動作は一種類だけで良いです。口元を袖で隠すとか、手に持ったお花を振るとか。
この際、妖怪のキャラクターに即した動きだとなおよしです。
「妖怪ならではの動き」
ひとくちにいってもいろいろ思いつくと思いますが、コツがひとつあります。
それは、「動きは緩急をつけると良い」ということ。
相手と目があったらじっと見つめ
その後早足に真っ直ぐ相手の目の前まで近寄る。
じっくり溜める
ゆっくり相手の頬すれすれを触れるか触れないかでなぞる
相手のリアクションを見たらスッと去る
こんな感じでニンゲンの若い女の子にキャーキャーいわれました。
嬉しかったです……。
私の当日のパフォーマンスのイメージキャラクターは、ゲーム『BloodBone』の「時計塔のマリア」でした。
大変美しいキャラクターなのでぜひググってください。
4.妖しさは「ディティール」に宿る
次に、仮装の細部についてのお話です。
まず、ぶっちゃけたお話しですが。
正直、衣装のディテールは後回しで良いです。
なぜなら、百鬼夜行のような夕方~夜のイベントを想定したとき、暗闇の中で動く物を人間の目は正確に捉えていないからです。
こまやかなアクセサリーや耳につけたピアス、細部にこだわった髪飾り……
とても素敵です。
しかし、観客の8割にはそのディティールが見えていません。
悲しいですね……。
※明るいうちはむしろ細かい部分も見てもらえるチャンスかも!
しかし、逆に言えば「暗い中でも目を引くように工夫する」のは非常に有効。
光る
揺れる
音が鳴る
この三点。
覚えがありませんか?
そうです。
「小さいころに見た魔法少女グッヅ」
「幼いころにあこがれた戦隊ヒーローグッヅ」です。
そうです。人間はいつまでも子供なのです。
ましてや、「妖怪」というフィクション存在を楽しみにきた人間たちです。
こころがピュアで、楽しいものが好きで、ワクワクすることが大好きな、素敵なひとたちです。
そんな彼ら愉快なニンゲンたちを魅了するには?
そうです。
こちらも「女児心」あるいは「男児心」をむきだしにするのです。
光る
揺れる
音が鳴る
ぜひ取り入れてみてください。
また、顔出しの妖怪は、「ただのコスプレ」と思われがちです。
実際コスプレではあるのですが、せっかく妖怪の一味にいれてもらいますので、「コスプレっぽくない」メイクを心掛けることにしました。
私の場合は、舞妓さんのお化粧を参考にしました。
白塗りと朱のみのカラーリング
黒いまつ毛をやめ、髪色にあわせた白のマスカラを使用
おちょぼ口で伝統的な和メイクを踏襲
盛れるけど、どこか厳か。ポップではないけど、奇抜。
そんな白塗りメイクが得意なんです。
5.記録を残してもらうコツ
百鬼夜行が終わったら、次はツイッターで百鬼夜行だ!
と言わんばかりに、いまやSNSでイベントの報告をする方は多いです。
妖怪仮装をしていると、自撮りをする余裕がないこともしばしば。
観客目線の動画や写真があがると大変うれしいものです。
「SNSで覚えてもらう」には、
写真や動画を「うまく」撮ってもらう
SNSに投稿していただく
この2点を満たす必要があります。
ところで、こういったイベントでは動画と写真、どちらが記録に残しやすいと思いますか?
答えは「動画」です。
なぜなら、①暗い場所で、②動く被写体を、③スマホで撮影するのは、とっても難しいのです。
観客のみなさんも、動画は案外撮っていただいています。
動画をSNSにアップロードするかどうかは、
・他観客の映り込みがどの程度か
・撮影者の声が入っているかどうか
・動画系につよいSNS(インスタ・TikTok・Youtubeなど)を好むか
などなど、いろいろな要素が絡むので「運」と言えるかもしれません。
では、写真を残してもらうにはどうしたらよいでしょうか?
①暗い場所で、②動く被写体を、③スマホで撮影するのが難しいなら、その逆をすればいいんです。
つまり、①明るい場所で、②止まっている被写体を、③暗所に強いカメラで撮影してもらうのです。
私がイベント当日に気を付けていたポイントを上げておきます。
カメラを見つけたら少しゆっくり歩く(一眼レフは暗所に強いため成功率高)
決めポーズで1秒止まる
ポーズからまた歩き出す(緩急にもつながる)
ライトの当たる明るい場所では決めポーズ多めに、暗い場所では動きやファンサ多めに
衣装の色は、明るい方が映りやすい。※暗い方が闇に紛れて雰囲気が出るのでお好みでコーディネートしてください
「コスプレ妖怪はいらない」なんて言わせない
最後に、一介の妖怪仮装好き・コスプレ好きの思いを語ります。
百鬼夜行に参加するにあたり、以前に開催された際の動画をたくさん拝見しました。
妖怪も人間もみなさん楽しそうで、本当に雰囲気の良いイベントだと心から感じました。
ただ、ひとつ心に留まったことがありました。
youtubeのコメントで見た「自己顕示欲満載の女がやる、キラキラのコスプレ妖怪はいらない」「お面の妖怪だけでいい」というこころない言葉です。
心から悔しいと思いました。
お面や被り物だけが妖怪仮装じゃない。
人間の顔をした妖怪なんてごまんといます。
それを、赤の他人が茶化して「いらない」と言い捨てることが不愉快で、絶対に見返してやる!と思ったのです。
絶対に「コスプレ妖怪」なんて言わせない。
誰よりも美しい妖怪を、「お面なし」「メイクだけで仮装」をやってやろ
う、と思ったのです。
「伝統」と「美にひそむ怖さ」にこだわり
「蛾」というキャラクター性から、当日は声を一切出さず、
表情を動かさないで舞うことのみに注力しました。
白塗りメイクも、イベント前に夜な夜な練習し、よりよいデザインを研究しました。
今回、SNSをはじめ報道など、さまざまな媒体に取り上げていただきました。
本当にありがたいことです。
性懲りもなくコメントなども眺めておりましたが、
「自己顕示欲満載のキラキラコスプレ妖怪」とは言われていませんでした。(私の見る範囲では)
やったぜ。
私は相当な負けず嫌いでして、勝手にいろんなものに張り合ってしまうくせがあります。
負けず嫌いだけどかっこつけなので、誰にもこの思いは言わずにいました。
今回は結果が芳しかったので、この負けず嫌いマインドも晒しちゃいます。笑
さいごに
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
さて、次は皆さんが輝く番です。
この記事を読んでいるそこの君、いっしょに妖怪にならないか?
一条橋の下でお待ちしております。
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