モノづくり企業の必須課題「カーボンニュートラル」を実現するオープンイノベーションの挑戦、そこに携わることでビジネスパーソンとして得られるものとは?【後編】
広島県呉市に拠点を置く自動車部品メーカーのシグマは、「マツダ」「デンソー」「ダイセル」などの大手企業が顧客として名を連ね、中国・インドの自社拠点を含め、外資系メーカーともグローバルに事業を展開しています。
さらには経済産業省に「グローバルニッチトップ100選」に選ばれ、ワイパーシャフトの世界シェア20%、人の命を守るエアバッグ部品の世界シェア6.5%など、海外市場でも存在感を放っています。
そんなシグマの専務取締役である下中 慎太郎さんは、いわゆる「跡取り」として3年前に現ポストに就任した人材でありながら、アメリカでMBAを取得し、以前は大手経営コンサルティング会社、マッキンゼーに勤務していたユニークな経歴の持ち主。
そんな下中さんに、研究機関や社外のスタートアップ企業などとの共同の取り組みにより、日本のモノづくりの課題を解決する「オープンイノベーション」の取り組みについて、語っていただきます。
「カーボンニュートラル」を目的としたオープンイノベーションの取り組み、そして、シグマでオープンイノベーションに携わることで拓けるキャリアの可能性とは・・・?
(【前編】では、「オープンイノベーション」とはなにか、「部品検査の無人化」を目的としたシグマのオープンイノベーション事例について、下中さんに語っていただきました。)
シグマのオープンイノベーション事例②「Nbase」
下中:もう一つ、「カーボンニュートラル」の文脈でもオープンイノベーションに取り組んでいます。製造業向けのCO2削減支援のプラットフォームを、スタートアップ企業「Nbase (エヌベース)」様と共同で開発しました。
カーボンニュートラルは、世界的な課題ですが、中でも製造業は電力などのエネルギーを使って製造・加工するため、どうしてもCO2を多く排出してしまう。
まずはエネルギー削減の話になるわけですが、「省エネ」ならどの会社もずっと取り組んできた。一方で、CO2排出をオフセットする取り組みには、多額の費用を要するものが多い。極端な話、生産量が下がればCO2排出量も減りますが、それでは売上も下がり、営利企業として成り立たない状況になってしまう。要は「経済」と「環境」の二律背反をどう解決していくのか、という課題だと考えています。
カーボンニュートラルはもう「地球環境のために」ではなく、「達成しないと事業を継続できないもの」になっています。例えば、メルセデス・ベンツは「Ambition 2039」という戦略方針の中で、「2039年までにカーボンニュートラルを達成できないサプライヤーとは取引を停止する」と明言しています。
そこで、CO2排出量削減の目標を立て、その数値から現状を分析し、「何をしたらCO2をこれだけ減らせる」という施策を創り出し、利益面もふまえて実行すべきものを決定し、結果がでているか確認するという、「CO2排出量削減に向けたPDCAサイクル」を、「製造業の現場ですぐに回せるようになる」ためのプラットフォーム "Nbase"を開発しました。
肝心の効果ですが、2022年から2023年にかけての1年間でCO2の排出効率が15%改善。つまり、同じモノを作るときに必要となるエネルギーの量が15%も減ったんです。カーボンニュートラルだけでなく、利益の面でも大きなインパクトにもつながっています。
このケースでは、私のマッキンゼー時代の同僚の方がNbaseを起業されていて、シグマは課題を熟知する立場として、開発面や資金面で協力する形を採っていますので、自社の事業ではありません。しかし、オープンイノベーションにおいては、問題が解決されればOK。それを実現するための座組みは、解決に向かう過程で形作られていくものです。
今では、シグマのほか、複数の製造業の企業で有償で導入されています。
オープンイノベーションに携わることで得られるもの
―シグマでオープンイノベーションに関わることで、人材として得られるモノは?
下中:オープンイノベーションにおいては、それまでの発想を根本から変えるのと同時に、自分とはまったく異なるバックグラウンドの人たちとうまく連携して進める力が求められます。これは間違いなく、ビジネスパーソンとしての成長の機会。そういうことを面白がれる人には、シグマに来てほしいなと思いますね。
また、シグマは広島の会社ですが、「イノベーション」の観点で考えれば、「少子高齢化」や「地方の過疎化」など、世界でも最先端の課題が地方には沢山あります。都心で、起業家になりたい人がたくさんいて、結局みんな同じようなことを思いついて、同じようなことをやる環境より、起業家の視点で言えば、地方で働くのは全然アリだと思います。
モノづくりの課題も同じです。製造業の課題は、都心の本社にいても分からない。モノづくりにおいて、「現場」はあくまで工場だからです。
現場の課題を知る当事者として、外部の新しい技術やネットワークを持っている人たちと連携して、それを解決し、そしてそのイノベーションが、日本のみならず、世界に広がっていく。
そんなふうにして、日本の製造業をアップデートし、「新しいモノづくりのあり方」「21世紀の未来のモノづくりってこういう感じ」みたいなモデルを自分の手で作れたら、ものすごく仕事をしている意味があると思いませんか?
[取材] 岡徳之 [構成] ウルセム幸子 [撮影] 小野 慶輔
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