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〜最近のボカロはエロいのか〜【ボーカロイド・エロティシズム仮説】

※この文章は特定の属性やコミュニティ間の断絶を推奨する目的ではなく、また特定の属性やコミュニティを無視する目的のものではない。

 12月の初め頃、このようなツイートが軽くバズり、ボカロ界隈でちょっとした話題になった。(これに対してDECO*27の事だと言及する人も多いが、個人的には元ツイは曲のみを指しての言及ではないのではないかと感じる)

 一方で、このツイートに対して「初音ミクは昔から病んでいたしエロかった」という意見も散見される。確かに遅くて10年代前半頃までは、2chまとめスレなどで多くのボカロのR18イラストが無断転載されていたような気がするし「コミックマーケット73 初音ミク関連サークルリスト」では2007年冬に多くのボカロのエロ本があったことを確認できる。07〜10年頃くらいまでは「私は人間じゃないから。/デッドボールP」や「くるみ☆ぽんちお/まだ仔」、「オマーン湖/乙P」など直球的なボカロエロ曲なるものも人気を博していた気がする。また、真偽はともかくとしてボカロ曲は昔から「妊娠のメタファー」を取り扱っていたというような意見は常に根強い。

 もう一方で、鮎川ぱて『東京大学「ボーカロイド音楽論」講義』(文藝春秋,2022)にて提唱される、性や愛に関するものを自明の感覚として扱わない感性「アンチ・セクシュアル」がボカロには根付いてるという指摘も存在する。当記事はボカロ文化圏の大きな傾向としてこの感性が存在することを肯定するものであり、筆者はこの感性を抱えていると自認している者である。(なお、名称や定義に関しては首肯しかねる)しかし未だ言語化されることの少ない、あるいはそれが評価されることが少ないボカロ文化圏において、この言葉が持つ力と立ち位置は強すぎるのではないか。勿論、鮎川ぱて氏はボカロ文化が一枚岩ではないことを認識しているだろうが、その言葉を受け取る者がそうであるとは限らない。ボカロ文化には「アンチ・セクシュアル」という言葉から想像されるものから漏れ出すエロティックな想像力が、多分に存在することを証明するのもこの記事の目的の一つでもある。勿論「アンチ・セクシュアル」論が、外野からボカロはただのエロ消費をされているという偏見に晒され続けてきた歴史を覆すためのものであることは十分に承知だ。
 話を少し戻してボカロに関する性的なモチーフの、直球的でもあり嫌悪しているようでもある、この二極化しているような掴みどころのない状態は一体なんなのだろうか?当記事では幾つかの視点からボカロにおけるエロのあり方を詳らかにした仮説を立てたいと思う。あくまで仮説に過ぎないというのは、筆者がデータに対して恐るべき無知蒙昧さを発揮しているため、あくまで仮説としてデータとそれにまつわる考察を提示し、更なる検証はより詳しい人にやってもらいたいという気持ちもあるということだ。(自分で頑張れよという話ではあるのだが)


初音ミクのエロは増えているのか?(イラスト)

 先の「アンチ・セクシュアル」では、ボカロ文化圏は男女比率がほぼ5:5であることや、初音ミクのpixivR18イラスト率は一般的なキャラの10%を遥かに下回る3%であることも論拠とされている。体感的にも納得出来るところは多い。しかし、この本が発刊されたのは2022年であり、この言及がなされた講義自体は2016年のものだという。それでは現状が反映されているとは到底思えない。
 では、実際のところどうなのだろう。一側面として、pixivにおける初音ミクの投稿数の推移について調べてみた。すると、驚きの事実が判明した。

(pixivは近年海外ユーザーの数も増しており、厳密にドメスティックなボカロ文化圏と近しいとは言えないだろうが、それでも日本国内で最も影響力のあるイラスト投稿サイトだろう。ちなみに当記事で示すデータは、全て「イラスト・まんが・うごくイラスト」(できるだけ総合的に判断したいため)「タグ(部分一致)」(フリーライドする層の数字を獲得するため。一般的な名詞などの場合は要注意)の検索結果だ)

 全体(合計)の%だけ見ると気づけないが、なんと初音ミクのR18イラストの総数約3万件の内、3分の1である1万件は(ギリギリ本年である)2024年に投稿されているのだ。
いや普通に増えてるやんけ!
もちろん初期のイラストが削除されていたり、そもそもpixivには投稿されていない可能性や、検索避けされている可能性もあるだろう。しかし、それを踏まえてもこの数字は圧倒的だ。しかも「アンチ・セクシュアル」論にて「一般的なキャラ」のR18率として提示された10%を上回っている。
初音ミクのエロ(イラスト)は明らかに増えている。
そして本年投稿された内、その6割がAIによる生成であることも非常に重要だ。

初音ミクのエロは増えているのか?(曲)

 次に、曲の面から初音ミクの「エロ」は増えているのか?について考える。曲に関しては「ラビットホール/DECO*27」や「シコシコ/ルル」、「みむかゥわナイストライ/ぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ」は最近のボカロ曲で大小あれどエロに関して扱った楽曲である。ここに関して厳密な検証は難しいので個人的な体感にはなるが、一昔前よりオープンなエロを扱った有名曲は増えてきた気もする。それはもっと言うと今が増えているというよりは、確かに“昔”は存在したが、そこから時間が経つと共に姿を消したように思え、その状態と比して増えたように見えるという所感である。単純に懐古されるとはそういうものなのかもしれないが、Xなどで「初音ミク エロ(R18) 昔」などと調べると同じような感想を抱くものが少なくないことが分かるだろう。
 そしてここで主張したいのは、昔は存在したが最近は消えたように見えるという、その不確かな「体感」そのものであり、エロや下ネタと一概に言っても、曖昧だが確かに「セーフ」と「アウト」の間に一線があるように見えることである。最初の引用ツイートのように、これを抱える人が少なからず存在し、その線を越えてしまったように見られるものに対して、違和感を覚えている者が増えているのが件のツイートがバズった理由の一つではないだろうか。これを説明するためのワードが「アンチ・セクシュアル」だ。

アンチ・セクシュアル

 「アンチ・セクシュアル」とは先程も説明した通り、鮎川ぱて氏がボカロ文化を解説するにあたって提唱した、性や愛に関する感覚を自明のものとして扱わない感性のことである。『東京大学「ボーカロイド音楽論」講義』では「裏表ラバーズ/wowaka」の歌詞を引用し、「ラブという得体の知れないもの」という言葉の扱い方を「アンチ・セクシュアル」的であると指摘している。お察しの方も多いかもしれないが、「アンチ・セクシュアル」の射程は広い。例えばアセクシュアル的に薄らとセクシュアルな表現を忌避するような全体の雰囲気と共に、批判や皮肉を扱う対象としてセクシュアルな表現を扱うものまで「アンチ・セクシュアル」の対象である。そこには同時に、ネタとして扱うことで戯画化されたようなセクシュアルな表現や、チキンレース的に「おい、お前それはヤバいってw」的な事を楽しむセクシュアルな表現もある。お気づきだろうか?「アンチ・セクシュアル」とは言いようによってはいくらでも言えてしまうのである。しかし筆者の体験からしても、やはりボカロ文化は全体の傾向としては「アンチ・セクシュアル」的だと感じる。つまり明文化こそされないものの、ネタとして扱ったり戯画化することで「アンチ・セクシュアル」の枠に収まるセクシュアルな表現と、そこからはみ出すセクシュアルな表現がある。その枠からはみ出す表現が忌避感を持って受容されることも多い中で、あくまでその枠に収まるセクシュアルな表現は「エロ」として認識されていないのではないだろうか?
 そもそもの話、ボーカロイドの多くは歌モノでありながら既存の歌手を必要とする音楽表現からはみ出したものであり、普通の人間ではやりづらいことをしようという冒険心の先にあるものとして、高音歌唱や早口歌唱と同じ立ち位置にセクシュアルな表現があるのは当然とも言える。「え?あぁ、そう/蝶々P」や「ルカルカナイトフィーバー/samfree」、「威風堂々/梅とら」や「よっこらせっくす/アゴアニキP」、「ロミオとシンデレラ/doriko」や「magnet/みなと(流星P)」、「聖槍爆裂ボーイ/れるりり」など、有名ボカロ曲って普通にエロい曲多いやんけという感覚と、あれこの曲よく見たら歌詞ちょっとエロかったんだという感覚は、このような曖昧な線引きの元「アンチ・セクシュアル」の感覚と共にあるのではないだろうか。そして最近違和感を覚える人が多いというのは、この曖昧な境界線を越えてしまったような曲が散見されるということなのだろう。

他ジャンルのエロは増えているのか?

 では、初音ミクのエロが増えているのは事実として、それは他のジャンルと比べてどうなのか。約40ジャンル(キャラ含む)の2007〜2024年までのpixiv投稿率を調べてみた。

 そしてそこから見やすいように20程のジャンルをピックアップし、折れ線グラフにしてみた。既に2018年頃から全体的にエロ絵は増えており、生成AIの台頭もあって完全に増加どころではない伸びを見せている。「初音ミクのR18率は3%」という数字と共に、「一般キャラの平均R18率は10%」というぱてゼミの情報は古いことがわかるだろう。しかし同時に、確かに初音ミク/VOCALOIDはジャンル内だけで見れば古今未曾有のR18イラストの急増を見せているが、それは他のジャンルと比べれば控えめなことが分かる。

 そして今度は対象を調査した全ジャンルに戻し、2024年のデータから「R18(%)」、「AI(%)」、「AI(R18)(%)」を抽出し、「R18(%)」でソートしてグラフを作ってみた。ここでいくつかのジャンルをピックアップし初音ミクとの類似性を指摘する。

海外需要

 「NARUTO」や「SPY×FAMILY」「僕のヒーローアカデミア」など、海外需要が高まっている(ついでに言うならば、その中でより多くの人が性的な魅力を感じやすい女性キャラが存在する)ジャンルはR18の比率が伸びやすいと言えるだろう。ボカロ文化圏を見ても、「メズマライザー/サツキ」などの二次創作群からは多くの海外需要が見られ、中でも「みむかゥわナイストライ」や「ラビットホール」など最近のボカロのセクシュアリティな楽曲は海外でもヒットしている。それぞれMVや翻訳に、公式に英訳が用意されているのも重要かもしれない。

公式の動き

次に見るのは圧倒的にR18イラストが少ない「ウマ娘 プリティーダービー」だ。このジャンルは実在する競馬を元ネタにしているため、馬主を怒らせないよう公式に強くR18を禁じている。そしてユーザーたちは検索避けも含め、それを強く重んじている。初音ミクはここまでとは言えないまでも、初期にデッドボールPの「初音ミクのちょっとHなオリジナル曲」シリーズが削除されたり、初音ミクの抱き枕の頒布が中止にされたりと、公式がキャラクターを守る活動をしていたのも重要だ。ユーザー側のリテラシーに関しても、ウマ娘程とは言わずとも、卑猥な歌詞を歌わせることに躊躇がある様子が初期のいくつかの楽曲とそれが伸びている背景から汲み取れる。

こんな卑猥な歌詞を歌わせないで
ちゃんとあなたの「言葉」と「想い」を
伝えさせて

あなたの歌姫/azuma

ちょっと 何するの そんな卑猥なk(らめぇええええええええええええ)

初音ミクの暴走/cosMo@暴走P

でも・・・・・・
えっちなコトバは やめてほしいの・・・・・・
だって わたしは
みんなのアイドル
初音ミクよ☆

おしえて!だぁりん/ソレナンテP

 この様に公式側からのクリーンなイメージを守る活動がかつて存在し、実際に十二分にその様に育った(からこそ、今ではエロも多様性の一つとして黙認されているのかもしれない)というのはボカロの側面の一つだろう。

再掲

男女間の需要差

 その次に見るのは男女間の需要差である。圧倒的に分かるのは、女性向けジャンルの生成AI率とR18イラスト率の低さだ。同人文化の習いとして検索避けやpixivに投稿していない人もいるだろうが、それを踏まえた上でも男性向けジャンルとはかなり数字に乖離が見れる。中でも「おそ松さん」は全盛期の10万件にものぼる投稿の内、R18イラストが占める割合は非常に低く、脅威の2%以下だ。これはpixivに上げていない(コミケなどを主体とする)活動や、検索避け、削除済み、腐向け夢向けを考慮しても男性向けジャンルと比べると圧倒的に少ない。そもそものR18イラストの需要量(あるいはベクトル)が男性向けジャンルと女性向けジャンルでは大きく違うと言えるだろう。女性向けジャンルは男性向けジャンルと比較して自ら絵を描くことが多くR18タグ(追記:R18タグと腐夢タグは別なようである。その場合自浄作用に大きな差があると言えるだろう)は少ない傾向にある、くらいは言えるんじゃないだろうか。そして初音ミクやVOCALOIDは男女の中間あたりに位置している。(追記:投稿後に指摘されたが、女性向けジャンルはイラストではなく小説媒体での文化が盛んであるということも考えなくてはならないだろう。例えばおそ松さんなどはR18率10%近くある。なのであくまでボカロと密接である、イラスト文化におけるエロの割合の話だと考えて頂きたい。pixivの検索オプション(トップ)にて総合的に検索できなかったのと、ボカロ文化とは密接ではないとの判断から今回は調査していない)

ファンの男女比率

 このグラフ自体はR18率順にソートしたものだが、中でもポツポツと初音ミクやVOCALOIDと同じ様に、「ラブライブ」や「推しの子」といったR18(%)を大きく超えるAI(%)(エロくないAIイラスト)──グラフで言えば青点より大きく上にある赤点──が目立つジャンルもある。これらは日経エンタの推し活最前線のデータを見ると、男女どちらかに偏っていないジャンルである。

日経エンタ! 11月号は“推し活”最前線 “推し”ブランドTOP300をマップ化

元記事のデータが画質粗いのでちゃんと見たい人は買ってください。

 同じく男女のバランスがいい「鬼滅の刃」だが、R18イラスト率のデータ的に見ると、かつては女性向けジャンルの姿をしていたものが男性向けジャンルの形に姿を変えたように見られる。同じような推移は「イナズマイレブン」や「初音ミク」、「VOCALOID」にも見られる。この比率はまるでAIの登場を待つかのようにスイッチしている。女性向けジャンルの多くが今もAIに靡かない様子を見ると、「胡蝶しのぶ」や「雷門夏未」など、男性キャラの魅力に隠れていた「女性キャラに向けられていた男性的な視線」が、AIによって解き放たれたとみる事もできるだろう。「鬼滅の刃」や「イナズマイレブン」が男女共に有名なキャラクターを抱えているのに対して、ボカロ文化圏は常に女性キャラの活躍が圧倒的優位である。よく話題にされることの多い「ボカロPの多くが男性では」問題も含めて、果たして本当にボーカロイド文化圏は男女比率が半々なのだろうか。実際に、少なくとも2014年のVOCALOIDタグのpixivの投稿数は約7割が女性によるものという調査もある。

VOCALOIDはいつから女性人気が高まったのか?

 そうして改めて見てみると、男女バランスが良い方に見られる「ラブライブ」「推しの子」「プリキュア」に代表される、女性が推せる二次元の女性コンテンツは貴重であることが伺える。その様な需要が集まっているとすると、大雑把に分けると女性向けの想像力が多く集まっている文化と、男性向けの想像力が多く集まっている文化が混じり合い、トータルとして男女比率がほぼ半々になっている…というのがボカロ文化圏の実態なのではないだろうか。前者にはイラストやコスプレに手芸、後者にはボカロP、MMDなどが入る気がする。
そのように見てみると、cosMo@暴走Pやぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬは自作のイラスト、デッドボールPは公式立ち絵、まだ仔は既存絵の使用(に伺える。数ヶ月ほど前にコミケの新刊で出されたイラストの様だが、詳細は不明)やMMDなど、イラストを頼まないのはエロ曲の主流のように見える。「ボカロ曲」が音楽単体ではなくイラスト、動画とセットで扱われることが暗黙の了解と化しているボカロ文化圏では、ボカロPと絵師の間に深まる溝としてセクシュアルな表現が存在するだろう。そういった意味では、最早プロダクトと化しているDECO*27はかえってエロ曲を出しやすく、AIを用いたルルの作風はボカロエロ曲にとって新たな扉を開いたと言えるのかもしれない。

まとめ

・初音ミクのエロ絵は明らかに増えている。
・ボカロにおいて曖昧な境界線の元「エロくないエロ」「エロいエロ」が存在し、最近は後者が増えてきているのではないか。また、かつては「エロいエロ」の想像力が多分に存在したのではないか。(ジャンルの初期にはいわゆる「同人ゴロ」的な人間が多く存在するのも関係するだろう)
・ボカロ以外のエロも増えてきており、それと比較するとボカロは控えめな動きをしている。
・海外需要が高いジャンル(かつ女性的な魅力が豊富なキャラを抱えるジャンル)はエロが多くなる可能性。
・公式がキャラクターイメージをクリーンに守ろうとする動きと、それに答えようとするユーザー層の動きがある。
・女性向けジャンルのイラストはAIとR18率が低く、男性向けジャンルでは高い。初音ミクやVOCALOIDはその中間だ。小説はその限りではない。小説はボカロ文化とは密接ではないとの判断から調査を省く)
・果たして本当にボカロ文化圏は男女比率が半々であるのか。2014年の調査ではpixivの女性率が7割を占めており、厳密なデータはないがよく言われる事としてボカロPは男性が多い問題も含め、そのような勾配が存在し、その上で混ざり合うことでトータルとして比率が半々になっているのではないか。
・曲とイラストがセットであることが暗黙の了解としてまかり通っているボカロ文化圏では、ボカロPと絵師の間に深まる溝としてセクシュアルな表現が存在しているのではないか。そしてそれを解決できるような手段(一人で完結など)がボカロエロ曲の主流ではないだろうか。
AIイラストによるセクシュアルな表現は、そのような溝で深まる問題を解決する一つの手段ではないだろうか。

 以上をもって、ボーカロイド・エロティシズム仮説とする。今後このような表現は増えていくのではないかというのが筆者の見解だ。ボカロのエロの話はまだまだ言語化されていない部分が多く、余地を広く残しているのが現状だろう。しかし、本来ソフトウェアであり機械的であるVOCALOIDにそのような想像力を働かせることは、ボカロリスナーにとっても卑近な「初音ミク生きている?生きていない?論」の立脚点にも近しいことであり、タナトス(死)の彼岸としてエロス(生)が存在するということは、高らかに宣言しておきたい。
 ちなみに本記事を執筆するにあたって、代表作としてサムネホイホイ(褒め言葉)な楽曲Convenient Singerを持つワカバ氏に、昔の話などをいくつか聞かせてもらった。この楽曲は鮎川ぱて氏の表現を借りるなら、「徹底的に対他的」であり、「鏡像的」である初音ミクのエロ曲として完璧である。あるいはVOCALOIDを「声の民主化」的に、様々な表現を受け入れる便利な歌手として認識する視点も非常に優れており、筆者イチオシのボカロ曲である。是非お目通しを。


 また、宣伝となるがこの記事を執筆するにあたって色々と話を聞いてもらったhighlandさんが主宰する「ボーカロイド文化の現在地2」にて「ボカロという「惑星」を支える引力とはなにか——キャラクターとシーンの接続について」という記事を寄稿させて頂いた。通販が開始したので興味があれば是非。重音テトや足立レイなどに見られる現在のボカロシーンの急激なキャラクター性の復興について、複数の楽曲の新たな視点を交えながら筆者なりの観点で語らせてもらった。

 最後に、重ねて宣伝となるが当記事はボカロリスナーアドベントカレンダー企画の、恐れ多くもクリスマスイブ担当である。おー怖い。だからこそ、一年で最も性的な日として当記事を執筆しているわけである。様々なボカロリスナーが様々な視点から記事を上げており、草の根的な表現として非常に興味深いだろう。もし少しでも気になれば、是非気軽に足を踏み入れて見てほしい。
それでは皆様、ボカロに豊かな想像力を発揮してください。ご機嫌よう。

p.s.告知

近日(一月)中ラビットホール~サッドガール・セックス──ヒバナ~の考察記事投稿予定 投稿するする詐欺に要注意

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