奥武蔵クリムゾンライン
「奥武蔵クリムゾンライン」という林道をご存じだろうか?
おそらく、そんな林道があることを知らない人が100%だろう。なぜなら、こないだ僕が勝手に命名した林道だからだ…
めちゃくちゃな問いかけをしてしまってすみません。
なぜ「クリムゾン」なのか
飯能には「奥武蔵グリーンライン」というさわやかな名称を持っている林道がある。これは、正式名称なのでご存じの方は多いだろう。
下の地図が示しているように、奥武蔵グリーンラインとは「埼玉県入間郡毛呂山町の埼玉県道186号(毛呂停車場鎌北湖線)終点の鎌北湖から、秩父市の埼玉県道11号(熊谷小川秩父線)の定峰峠に至る30kmほどの林道の総称」「林道権現堂線、林道奥武蔵2号線、林道奥武蔵1号線(刈場坂峠〜白石峠)、林道奈田良線(定峰峠〜白石峠)などの総称」である(ニッポン旅マガジンwebサイト)。
そこそこ有名な林道なので、ロードバイクで走る人、オートバイやクルマで走る人、自分の脚で走ったり歩いたりする人は多く、路面は相応にクリーンである。
「グリーンライン」を名乗っても何ら違和感はない。
このグリーンラインの南側には、高麗川に沿って国道299号が走っており、飯能⇔秩父をつないでいるのだが、この299号を挟んで反対側の山の中にも林道が存在する。
これが、(繰り返すが僕が勝手に命名した)「クリムゾンライン」だ。
上記「ニッポン旅マガジン」からの引用箇所のように表現すると、「東吾野駅近くの『吾野原木センター』あたりから、飯能市中藤上郷自治会館あたりをつなぐ林道」であり、正式名称は「平坂飛村線」というらしい(Googleストリートビューで標識を確認した)。
東吾野あたりは、別名「平坂」で、中藤上郷あたりは別名「飛村」なのか…? とネットで調べてみたけど判然とせず…。
飯能市市制施行70周年記念事業「原市場村秘史」で作成された小冊子があったはずなので、今度調べてみようと思う。
それはともかくとして、僕がなぜ、この林道を「クリムゾンライン」と命名したのかというと、299号を挟んで向こう側に位置する「グリーンライン」とは対極にあると感じられるからだ。
グリーンの反対って何だろう→グリーンシグナルの反対はレッドシグナルだな…→じゃあレッドラインか?→レッドより陰鬱な雰囲気な色がいいな…→昔、クリムゾン・タイドっていう映画があって何か暗い赤っていうイメージあるな…→では、クリムゾンラインにしよう!
という思考回路である。
改めて、なぜ「クリムゾン」なのか
グリーンラインと対極にあるからクリムゾンライン。
どんなところが対極なのかというと…
何と言っても存在感の薄さ。僕の経験上、クルマともロードバイクとも、ランナーともすれ違ったことはなく、追い抜かれたこともない。グリーンラインとは大違いだ。
ナゾなのは、「どっから歩いてきたんですか?」という中高年の人々を、まま見かけること。軽装なので近隣住民と思われるが、林道沿いに家は皆無であり…ゲームでいうところのNPC? みたいに湧いて出てきたんじゃないかと思っちゃうくらい。
あとは路面。
グリーンラインはクリーンだが、クリムゾンラインは「酷道」である。通行量が極端に少ないからなのだろう、数年前から蓄積されているような杉の落ち葉が道を覆っているところが多い。大雨時に山から流れ出てきた土砂が堆積されたままになっていたり、未舗装のまま放置されているようなところもある。
そして…全体的に暗い。不気味さがある。
何となく、「クリムゾンライン」と名付けたくなる気持ちをご理解いただけたのではないだろうか?
※ちなみに、上記のような陰鬱な林道が続くのは、起点となる東吾野から、吾野方面への分岐点に至るまで(林道吾野飛村線との合流地点まで)である。この分岐点から中藤上郷に至るルート、また、吾野方面へ降りるルートはかなりクリーン。つまりクリムゾンラインと呼ばれるに値するのは、東吾野からこの分岐点までのエリアであることは申し添えておく。
クリムゾンラインを楽しむには
これを読んで走りたくなった人がどれほどいるかは不明だが、この林道を味わうためのオススメルートを2つ紹介したい(ロードバイク向け)。
①東峠経由
東峠は、飯能市小瀬戸あたりと東吾野をつなぐ峠だ。小瀬戸から東峠を越えて東吾野に向かい、原木センターを過ぎてすぐに左に曲がったところがクリムゾンラインの入口となる。
吾野飛村線との合流地点で左に進むと、大高山を越えて中藤上郷に降りていくことになる。中藤からは、2019年の台風被害がなければ、沢に沿って竹寺方面に向かい、仁田山峠を越えて名栗に降りていくルートが楽しいのだが、残念ながら仁田山峠は未だに(僕が最後に確認したのは23年夏)通行止めとなっている。なので、中藤からは原市場方面に戻り山王峠を越えて飯能に戻るとか、名栗まで行って小沢峠を味わうとかが考えられる。
ちなみにクリムゾンライン起点から大高山あたりまで登った場合のSTRAVAプロフィールは次のとおり。
一方、吾野飛村線との合流地点を右に進んでいくと、旧299号経由(高麗川に沿って遡上)で吾野トンネル秩父側出口に出られる。そこから299号を横断して林道を右に進めば顔振峠、左に進めば八徳経由で傘杉峠近くに出る。いずれもグリーンラインに接続するので、クリムゾンラインとの対比もできて楽しいかもしれない。
②グリーンライン経由
奥武蔵グリーンラインの一本杉峠と顔振峠の中間地点に阿寺というところがあり、そこから東吾野の「雑貨&カフェkinoca」あたりに降りていくことができる。東吾野からは①で紹介したルートとなる。
阿寺から東吾野に降りず、①後段で記したルートを逆走するというのもいいが、吾野飛村線の序盤はかなりの激坂であるのでココロの準備が必要だ。合流地点では左折するということを念頭においておけば、クリムゾンライン経由で東吾野に到達する。その先は①で記した東峠を越えれば飯能に向かえる。
都幾川方面から走ってきた人であれば、東吾野から阿寺経由で再度グリーンラインまで戻るのがよいだろう。
使われてなさげな作業道が…
「放課後はんのうみらい塾」マガジンに投稿する記事なので林業と関連付けると、いくつかの林業作業道がクリムゾンラインから伸びていることが確認できる。ただ、いずれも苔むした感じであり、使われなくなって久しい印象を受ける。
先入観かもしれないが、このエリアの林業が活発でないのなら、林道を往来する林業事業者も少ないはず。
その結果が「クリムゾン」化なのだとしたら、この道の将来は林業の活性化にかかっている。往来が乏しいままなら、もし、ゲリラ豪雨とかで大規模崩落が起きたら永遠に通行止めになってしまうかも。
そんなことにならず、林業活性化→往来回復→道も復活、みたいな正のスパイラルが起きて、多くのロードバイク乗りとかが気持ちよく走れるようになる日が来ることを願う。