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USG2025「Charisma & Princess」のセットリストに本気で向き合う

2025/1/10 @東京ガーデンシアター
セトリを見たくない人はタイトル時点で開いていないと思うが、誤タップもあり得るので一画面分の小話から。


(鳴り止まない拍手)(揚がり続ける天ぷら)

斎藤宏介さん(2024/4/9)「たくさん拍手ありがとうございます。
20周年だからそんなに優しくしてくれるんですか?
来年拍手が小さくなったら傷つくなぁ。
21年目になったら冷たくなるなら最初から優しくしないでッ❗️」


(20年目に劣らず鳴り止まない拍手)(未だ揚がり続ける天ぷら)

斎藤宏介さん(2025/1/10)「去年たくさんお祝いしてもらったので
今年は冷たくしてもらっていいですよ〜」


21年目以降も走り続けるUNISON SQUARE GARDENに、決して鳴り止まない拍手を。


前置きここまで、以下セトリ




・Charisma & Princessは第一章を終えたUNISON SQUARE GARDENが、普通のロックバンドに戻る2025年からの第二章幕開けツアー

・Charisma & Princessのセットリストは傍若のカリスマ「世界を変えるのさ」と憂鬱はプリンセス「私と世界どっちが大事なのよ」を中心のキーワードとして展開する


・表題の2曲のキーワード「世界」に呼応する最重要フレーズは3 minutes replay「世界が変わる夢を見た」

要約ここまで、以下拡大解釈。


1.サンタクロースは渋滞中

fun time tribute(2024/12/25)に向け最大限に上げられたリスナーの「この曲を聴きたい」という期待にやっと応える形に。
サンタクロースの季節はもう過ぎたのだが。いきなり知らない曲やるんかい。といった総ツッコミを想定したあまりに反抗的な一撃こそが変化球を続けるUNISON SQUARE GARDENのスタンダードだ。

クリスマス開催を大々的に銘打ちメリぱんくんを販売した20周年のプログラムの尾を引きつつ、これは伝説の延長ではないとコンセプトを一瞬でわからせる幕開け。
「あの信号が青に変われば」何かが始まる予感は、「青に染まってく/傍若のカリスマ」とも相性抜群。

昨年後半には有名な曲ばかりを演奏したオールタイムベスト、BEST MACHINEツアーもあった中、ロックバンドの本来の在り方を問い直す。

流行歌なんてなぞらないで、何気ないそれが幸せだから


2.オトノバ中間試験

シュガーソングとビターステップで売れましたけれども、果たして正解とは何でしょうか。答え合わせ。息継がてんでない歌、ギターのチョーキングにベーススラップ、そしてドラムはハイハット。バンドサウンドの楽しさを愉快に歌い、これからも変わらずにただ楽しく音を鳴らし続けるというメッセージを込めたDr.Izzyの鍵の一つ。

近年ではコロナ禍以降本当の意味での通常営業の再開として開催された、2022Patrick Vegeeツアーに入った曲でもある。
Patrick Vegeeのセットリストで何を提示したのかは田淵さんのブログでも明らかにされており、今回のCharisma & Princessを紐解く上でも有意義だ。

「なにボケッとしてんだよ。ライブやるぞ」という姿勢を示すための全国ツアーでもあったように思う。我々はすっかり通常営業

小生田淵がよく喋る2022年2月

楽しい音の場、ライブを続けていくのがUNISON SQUARE GARDENの通常営業である。


ライブについてのメッセージソングは他にもある中、オトノバ中間試験が選ばれたのはツアー表題曲との以下の共通点から。

陰鬱なプリンセス/憂鬱はプリンセス
制限タイムはあと少し/タイムリミットは提示されないから(憂鬱はプリンセス)

グッズ紹介の「ゲームを有利にも不利にも変えるジョーカーはトランプの中でも孤高のカリスマ。」からオトノバ中間試験「ハート・ダイヤ・クローバー・スペード」を連想していた人もいるかもしれない。



3.天国と地獄

より新しいツアーや2024/7/24の武道館のセットリストにも入っているが、オトノバ中間試験と同様Patrick Vegeeにて披露された点に着目する。
Patrick Vegeeツアーには前項で書いた通常営業を提示する目的と合わせ、これまでのUNISON SQUARE GARDENがどのような曲を作ってきて、何ができるかを示したバイオグラフィーの役割があった。天国と地獄は、バイオグラフィーに必殺技として記載されるはずの曲である。
普通のロックバンドに戻っていくツアーでも必殺技として、序盤にお決まりの一発をかまされた形である。

バイオグラフィーの幅広い切り取りをきちんとやった方が美しいセットリストが作れるよねという塩梅で取りかかっていった。過去のシングル曲や必殺技みたいな曲も最新アルバム曲との組み合わせ方で全く新しい輝きを放つ。

小生田淵がよく喋る2022年2月

ブラ拾うMVでお馴染み天国と地獄はただの必殺技というだけでなく、ギャンブラー気質の傍若のカリスマとももちろんピッタリ

不要な血流れるのはno thank youです/どうして無駄な血が流れる?(傍若のカリスマ)


4.kaleido proud fiesta

かくしてまたストーリーは始まる

2024/7/24に結実した第一章に続くUNISON SQUARE GARDEN第二章の幕開けを宣言する。

そしてこれは最初のブロックに置かれた、このライブ自体の開始宣言でもある。

史上最重要なドラマが控えてる

次のブロックの幕開けにドラマ(3 minutes replay)があること、そしてそのドラマが最重要であることを明言する。

ドラマとは3 minutes replayの歌詞には出てこない単語であるが、今回のセットリストには入っていないサンポサキマイライフ「あったとてせいぜい3分間のドラマ」にて説明する。


5.3 minutes replay

斎藤さん「色んな曲をやります。知らない人は口をポカンと開けて聞いてください」
「3 minutes replay」の曲名コールから

Charisma & Princessのセットリストでの最大の争点は、去年20周年の武道館前に「いよいよ前回の武道館ぶりに来るか」とホットだった3 minutes replayを回収するか否かだった。

友達や親に勧めるとか、ロクなことにならないと思うので期待しないでほしい。僕が保証します。
でも、君の好きなロックバンドは誰がなんと言おうと絶対にカッコいいから。自信持っていいよ。これも僕が保証します

田淵さんMC(2015/7/24)

田淵さんのMCから演奏されたのが、この台詞を歌詞にまとめた曲、3 minutes replayである。

後悔や忘れ物は 全部いいよ、僕が持って行くから

対して2024/7/24のMC

世界は変わらなかったけど、後ろを向いたら君がいた

田淵さんMC(2024/7/24)

世界が変わる夢を見たよ だけど今日もひとりぼっち

そぐわない。
昨年3 minutes replayをやらなかったことは納得だし、話の流れからするとこの曲を演奏する機会は二度とないとまで思われたが果たしてどうか。
蔵に入ることなく再び日の目を見た。
2015年の武道館以来ある種の呪いを背負っていたこの曲を普通のアルバム曲の一角としてツアーのセットリストに載せたのもまた、通常運転再開の印かもしれない。


世界が変わる夢を見た


6.kid, I like quartet

3 minutes replay〜kid, I like quartetはUNISON SQUARE GARDENの全アルバム内でも屈指の名繋ぎ、切っても切り離せない2曲。

あるわけないのにばかり見て

この繋ぎはライブでも再現されており、Populus Populusツアー、2015年の武道館がいずれも映像化して2024年に発売されたデカ箱(BEST MACHINE, SUB MACHINE 2万箱)に収録されている。
よってつい最近UNISON SQUARE GARDENを好きになったファンであっても、3 minutes replayの次は必ずkid, I like quartetが来ると頭に刷り込まれているのではないか。

そして、kid I like quartetは3 minutes replayと繋がるだけではなく表題曲と繋がるため、傍若のカリスマのリリース発表以降楽しみにしていたファンも多い。

お姫様助ける様/憂鬱なんだプリンセス(憂鬱はプリンセス)


7.アトラクションがはじまる(they call it “NO.6”)

きっと何か絶妙なアトラクションfor us(3 minutes replay)

が布石となり、2曲セットのkid I like quartetを挟むが3 minutes replayの直後に配置。

世界が終わったって来世で存分にかき回そう

君が満足そうに抱えた常識を徹底的に壊して/
常識のその向こうまで(傍若のカリスマ)/
常識はかたや非常識(憂鬱はプリンセス)

更に、今回のセットリストが迎える結末もこの時点で予期させる。

台風が来たって飛ばされない様な心臓の音/の中濡れるくらい構わないからバスタオルは任せた(君の瞳に恋してない)


8.Silent Libre Mirage

位置についたままで用意はまだ八分目
純粋さを保たなくちゃ派手にやるフェーズになってノイズが邪魔になる/
目下のノイズをぶっ飛ばせる準備の途中(憂鬱はプリンセス)

「五臓がロックして無敵モード」も普通のロックバンドっぽくていいし、何より不憫な扱いを受けがちなデジタルシングルとしてBEST MACHINEツアーからセトリ落ちしていたため、今回は救済の意図もある。

曲の流れとしては普通のロックバンドとしてロックについて言及する2曲が並んだ形。

五臓がロックして無敵モード/ロックンロールの方がゴツゴツして美味しそうだな(世界はファンシー)


9.世界はファンシー

タイトルからしてキーワード世界の曲であること、

どうせ一聴じゃ読み解けないから/わかんないままでいいさ(傍若のカリスマ)

また

奴の王国は終わった/陰鬱なプリンセス”怠惰”気取るだけじゃ王国は本日もピンチのまま(オトノバ中間試験)

を経て世界はファンシー自体にはお姫様は登場しないが表題のPrincessとも通じる箇所がある。


10.like coffeeのおまじない

ボーイ・ミーツ・ガールの第一章
その最初で僕の世界に君が現れたこと
理由は無いけどきっとそれが一番大事なことって気づいたんだよ

UNISON SQUARE GARDENにおける第一章は既に結実した20周年のこと。それを踏まえるとこの「君」は20th MC「世界は変わらなかったけど、後ろを向いたら君がいた」と同じく君=ファンへの告白であると読み解ける。我々は21年目からも大事にされている。

The rabbit says 「次の世界へ」


黄昏カフェテラス/路地テラスの良さげな椅子(City peel)

で繋がり次へ


11.City peel

あれは異世界のエントランス

最新のオリジナルアルバムNinth Peelで唯一2024年に披露されていないためCharisma & Princessへの温存を予期していた方も多いこの曲。(参照↓)

20周年をやり抜いたその先として意味がある曲である。

物語はスロースローペース そんな時があってもいいよね
だからこそ今日も歌が生まれたし
人生の意味がちょっとだけ変わった感じもちゃんと僕は受け止められるよ

ここまでと一転、俯瞰的な歌詞を交える。
セットリスト中で繰り広げてきた世界を変える夢、ドラマ、回想のシーンはそろそろ終わることを予感させる。
そしてCharisma & Princessの表題曲の一つへ。


12.憂鬱はプリンセス

そしてもう一回ゼロから 今を再構築してくれないか

お祝いムードは一旦終えて普通のロックバンドとしてゼロから。
Charisma & Princessの物語としても、「世界が変わる夢を見た」から始まった回想シーンを終えてゼロから。
という転機として置かれたこの位置である。


13.WINDOW開ける

WINDOW開ける以降終わりに関連する言葉が続いていく。

おしまい おしまい さよならよ/
さよなら さよなら ここからまた始まってく(harmonized finale)/
一つ物語が終わる、さよならを口癖にしちゃったら(Simple Simple Anecdote)

一方でharmonized finale「ここからまた始まってく」とSimple Simple Anecdote「僕の言葉がまた生まれる」は終わりのその先まで描いていることを考慮すると、
憂鬱はプリンセスで提示した「ゼロ」にあたる点を一つだけ打つとすればWINDOW開けるになるのだろう。


WINDOW開けるは物好きが喜ぶ曲であると敏感にキャッチし、昨年はイレギュラーなツアーもやったが今年からはまた”こういうの”やるぞと主張する意図も大きい。
USG2023 Ninth Peel、USG2024 Catcher In The Spy、USG2025 Charisma & Princessと立て続けにセトリしているあたり、彼らもこの曲が大好きとしか思えない

今日は有名な曲ばかりやるので初心者にはおすすめ

“WINDOW開ける“とか聴きたいかもしれないんですけど
今日はWINDOWは開けないです

20th BEST MACHINE 斎藤さんMC(2024/9/22)


14.harmonized finale

ここからまた始まってく

2024/7/24に結実した第一章に続くUNISON SQUARE GARDEN第二章の幕開けを宣言する。

そしてこれは連関する話題を続けてきたブロックの最後に置かれた、このセットリスト自体が次の章へ移り変わっていくことの宣言でもある。
一度締めて次のブロックドラムソロから始まったCatcher In The Spyツアー(2014, RT2024)と同じ使い方である。Catcher In The Spyはいいセットリスト。


harmonized finaleはCharisma & Princessと直接の関連もある。

速すぎる時間時計の中でずっと続けばいいなけど終わりが近づいてるのもわかるよ/タイムリミットは提示されないから(憂鬱はプリンセス)


15.傍若のカリスマ

fake town babyやPhantom Jokeを彷彿とさせるセッションから。
harmonized finaleでここからまた始まってくと言ったからには、第二章の始まりには主役が来るのが美味しいところ。


さて、一旦終わりの宣言を挟み、3 minutes replayで見ていた「世界が変わる夢」は終わったのではなかったか。

世界を変えるのさこれが最終定理だ

まだ「世界を変える」と言っているのかと指摘が来そうな部分であるが

誰もが見落としていたドラマの穴鮮やかに

に着目するとドラマ=世界が変わる夢の穴を抜いていったことになる。
変える対象である「世界」の示す範囲が以前と異なると解釈したい。

もはやJ–POPの偉い人土下座しに来いとは言わないであろう彼らが変えていく「世界」とはワールドワイドな全世界を指すのではない。
より局所的な「僕の世界」や「君の世界」になるだろう。


16.Simple Simple Anecdote

僕の言葉が死んだ時
アスファルトは気がつきやしないだろう

と世界から見放されたような状況下の歌い出しから

今日はなんとかなるぜモードでいいや
僕の言葉がまた生まれる

となるのは、やはり傍若のカリスマで述べたような発想の転換を経て、これからも言葉が生まれていくのだなと予感させる。ロックバンドは終わらない。

繋がり

誰にもわかんないことを解き明かしても誰にもわかんないまんまでいいのかも/わかんないままでいいさ(傍若のカリスマ)

僕の言葉がまた生まれる/だからこそ今日も歌が生まれたし(City peel)


17.シャンデリア・ワルツ

夢見てる僕らは気づかない 世界が始まってないことも

世界が変わる夢がどうのとキーワードを共にする曲であるが、兎にも角にも世界一の大名曲シャンデリア・ワルツが21年目も続いていくことを喜びたい。乾杯!

そしてこのセットリストもいよいよ大詰め

譲れないものもある/この一分一秒は誰にも譲れないんだから(放課後マリアージュ)

だからこそ今大事な約束をしよう/宿題終わらなくても
約束が宝石みたいに輝いてたら平気だよ(放課後マリアージュ)

大名曲・シャンデリア・ワルツに免じて徐々にスピード上げる季節に追いつけなかった1月以降のサンタクロースのことも許してあげましょう。


18.放課後マリアージュ

後述するが君の瞳に恋してない以降はあまりUNISON SQUARE GARDENを深く知らない客も知っていそうなキラーチューンかつ3曲セットで一つのメッセージを提示すると考えると、放課後マリアージュは物好きしか見えないエリアの最後の曲である。

「カオスが極まると傍若のカリスマだけ好きですCD持ってます」という客層があると想定すれば、この曲が最後に来るのはギリギリ親切と言えるだろうか。

しかし「誰も知らないカップリングをライブでやっちゃうのウケる」とはkaleido proud fiestaリリースあたりより様々な媒体で発言しているので
Charisma & Princessでは表題の憂鬱はプリンセスに加えて最初と最後にカップリング曲を置いて、このセトリめちゃくちゃウケる〜とほくそ笑んでいるのだと思う。私もこれが通常運転か〜と笑った。良い歌詞〜〜〜

余談ですが田淵さんへ
リリース時何度も言っていましたから、早くこの曲フェスでもやってください。
欲を言えば「レイテンシーを埋めっていっます」からお願いします。


19.君の瞳に恋してない

アトラクションがはじまるから決定づけられていた結び。

代表曲。あまりにキャラの濃い楽曲が続くため目が霞んでしまうが、
君の瞳に恋してない、カオスが極まる、シュガーソングとビターステップのキラーチューン並べはROCK BAND is fun(2024/7/24)の本編最後と同じ流れである。
ならば伝えるメッセージはただ一つ。


21年目からも、ロックバンドは、楽しい。


そしてUNICITYのブログにも基づき、like coffeeのおまじないと合わせて君=ファンの読み替え作業を適用すると更に嬉しいこの言葉。

金色に揺れる太陽照らす世界でもうちょっと
生きてみようと思ったのは君のせいかも

20周年をやり終えた田淵さんは「自分の音楽人生には満足してしまっている。やりたいことは成し遂げたためモチベーションの維持が難しいが、これからは皆を喜ばせたい」旨発言されていた。
ライブ楽しいし、待っているファンがいるからやむなし続けるか…と思い続けていて欲しい


20.カオスが極まる

タイアップ先を同じくする傍若のカリスマとの共通点は割愛。
最後の3曲の流れは先に説明の通りであるし、21年目も引き続きカオスを極めるセットリストの締めとしてこれ以上ない相応しい選曲。

極まってしまった〜!!!


最後に貴雄さんが舞台袖に姿を消してから、給水のための暗転時間より短い退場時間を経て田淵さんから順に登場しアンコール。多分貴雄さんとハイタッチか何かでリレーを交わして出てきているのだと思う。袖で共存している時間は皆無。


21.シュガーソングとビターステップ

こんな日常を平和と見間違う/peaceful worldなんて望んでない(憂鬱はプリンセス)

世界中を驚かせてしまう夜になる



以上です。
それでは、セットリストのカリスマこと田淵智也さん
21年目もよろしくお願いいたします!!!

(1/17追記)
放課後マリアージュ「これが大人になる手順だから」に至るまでの物語を拾っていくのも文脈繋がっていそう〜!と言っている方を見かけてなるほど〜!と思ったのでおすすめです(?)

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