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USG2024 Revival Tour “Catcher In The Spy”まとめ

2024年1月1日0:00、UNISON SQUARE GARDEN 20周年企画の数々が投下される。
本記事は2024年1−4月を振り返った個人的な記録にあたる。
主にRevival Tour “Catcher In The Spy”(CITSR)を振り返った話にはなるが、丁寧に起きたことをお届けするライブレポではないので悪しからず。


告知直後

振り返ったら今年最初の言葉は「仕事辞めます」だった。

入れ混んでいる一枚のアルバム、そのライブツアーの再現の発表。
8都市10公演、ウン、全部行きたい。

アルバムが好きな話はこちら

映像作品としてのCITS2014をどれくらい好きかというと、話を振られたら即見どころ要約をお話しできるくらい。チケットが手に入る確証など無いのに楽しそうな1月1日時点のつぶやき↓

無理😭😭😭絵の具フェードアウト黄昏サイレン2A前コンバンハトーキョーアウトロドラム繋ぎオリオン「今日も最後まで自由にやりまっしょ〜よろしくね」流れ星ああああああああああああ😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭WINDOW開ける〜ドラム4カウントシューゲイザースピーカーあああああおしまい

このままじゃな😉んか以下略まだーーーーーーーーーーーーーーーーあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーinstant EGOISTの茶番まだ直視できるようになってないですあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー爆イケセッション腕回してシャンデリア・ワルツあーーーーーーーーーーーーー

カラクリカルカレ前の、𝒕𝒉𝒂𝒏𝒌 𝒚𝒐𝒖…💋

アチアチなライバルと殴り合うのはなかなか骨が折れそうなので、 CITSツアーのネガキャンを始めようかと思います。手始めに、to theとシャンデリア・ワルツという前作の肝を引き継いでいるところ、次に1曲目黄昏の入りと満を持して登場するシングルハモナイの終わり、斎さん1人浮かび上がる美しい光景


どうしようか?

どうやら「Catcher In The Spyといえばコリ」を思いついてくれるインターネット上の知り合いもパラパラいるらしく、「たくさん行ってね!」と謎の期待がかかっている。

8公演/10公演が平日、休日公演は地方。
本当に仕事を辞めるわけにもいかないしどうしようか?
そもそも当時2014年にも、行けなかった人がいるからと追加公演を切っていたツアー。
日程とお金がどうにかなったとしてチケットが手に入るのか?

先行抽選が始まった時点では『行けば行くほど一公演ごとの楽しみを見つけて色んなものを持ち帰ることができる人は好きにいきゃいいけど私は過密スケジュール全通してもコストに見合うだけの経験をできる自信がない(2024/1/14)』という態度だった。

しかし、結局仕事や学校の都合で行けない公演がある人を見かける中で「幸いにも4月は比較的日程の都合をつけやすく、問題になるのは資金のみ」な状態に置かれていることに気づき、正当に取れるチケットは全部取る方向にシフト。

『いよいよ本日からRevival Tour Catcher In The Spyが始まりますが私は会場にユビキタスに存在する予定です(2024/4/3)』→ツアー開始時点で手にしていたのは8都市全10公演のうち、8都市8公演。最終的にフォロワーさんにお譲りいただき9公演に参加。

「同じツアーに何度も足を運び、時に地方までライブを見に来てくれる人がいるのはいいと思う。けど、見なかったことにする」との演者意向、行きたい公演があるがチケットを取れなかった人も多いTL。
誰もが気になる情報を事細かにレポートできる訳でもないのにむやみにたくさん「行った!」を主張しても悪目立ちしそうだなという自意識過剰な被害妄想があり、ひっそりこっそり思い出を記録した。

MCはほぼ一言一句違わず呟いてくれる人が大体どの公演にもいる。(ありがたい)
特に印象的なシーン、メンバーのやり取りなんかも簡単に流れてくるし、起きたことをまとめたライブレポートも多い。
ので、そこから拾えそうなことは残さなくても大丈夫。
聴こえた音、観たもの、全て残そうとしなくても大丈夫。
とは言っても近めの海外くらい行けてしまう金額と、時間、労力を費やして回るのだ。
自分が得て、終わった後にまで残ったものは全て記録しておきたい。連日だろうと仕事があろうと全てきちんと記録することを自分に課しました。
読み返したらびっくりするくらい薄い内容しか残っていない気もするけれども、公演の帰り道に少しずつ書き足した3万5千字の記録が2024年4月を生き抜いた証だなと感じる。

今回は「Catcher In The Spy」というアルバム、そして映像作品『UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2014「Catcher In The Spy」@新木場STUDIO COAST 2014.12.12』のファンとして、思い出をまとめて振り返り。



CITSR

0 絵の具


お馴染みのSE、イズミカワソラさんの絵の具。冒頭の歌詞

白い月 オレンジの花
ねぇ、君は気づいているの?

冷えきった檻の中では
暗闇が色を奪う

手のひらの絵の具は
今の君のすべて

大体のライブでは「冷えきった檻の中では」あるいは「暗闇が色を奪う」くらいまでで1曲目が始まる。
しかし、CITS2014では「手のひらの絵の具は」まで流れて、「今の君の」にかけて1曲目の同期がフェードインする。

9公演のうち、7公演は絵の具の尺が短く、よくある「色を奪う」までしか聴かなかったと思う。
初日の大阪❶、セミファイナルのNホ❶だけ絵の具を長めに聴いた記憶がある。

前二人の用意が整ったところで貴雄さんが黄昏インザスパイを流し始めるのだけど、Nホ❶は斎藤さんがギターを受け取って前に向き直るのがいつもよりちょっとゆったりで、CITS2014の映像に近いところまで絵の具を聴けてとても印象に残っている。


1 黄昏インザスパイ

止まれない なんて 焦ってる君に歌うよ
止まれないなら 車に轢かれちゃう

これまでに何度となくたくさんの人を救ってきたであろう言葉。
「どうすべき」を押し付けてくるのではなく、客観的事実をそっと置いていくこの距離感。

弾き語りの1番、タメの長さや「好きな言葉や」以降でジャカジャカ入ってくる時の勢いが公演ごとに違って、けど違っていても、どの日も素晴らしい言葉がスッと入ってくるのでずっと感極まってしまった。(極まってしまった〜)

サビの「歌う↑よ」、「3秒↑間」の音は少し出しずらそうな時もあったけれども、本当に本当にいつも美しく丁寧に歌い上げていた。

2014と比べると、冒頭の弾き語りの歌の力が凄まじく変わっていた。
特に印象に残ったのが「好きな言葉や 好きな旋律に寄り添ったっていいだろう」という一節。
「と」で押して、「や」は優しく引いていく語尾で、10年歌い続けてきたこと、歌だけに注力する場での経験も重ねてきたことがたった一文字で伝わる瞬間だった。よく顔を見ていたわけではなかったが、頬が緩めるように力を抜いた声の繊細さが、Catcher In The Spyという硬派なアルバムの根底に隠してある優しさそのもののようだった。
「いいだろう」の声は艶やかで、声で魅せる表情の多彩さを楽しめた一曲だった。

もう一つ不思議と映像として頭に焼き付いているのが2サビ終わり「君の奥の奥の方」に合わせて、ボディーをトントンと軽く叩いてリズムを取っていた斎藤さんの姿。

スーツのまま開演数分前に駆け込んだ公演、誰かとおしゃべりしてから落ち着いて席についた公演と様々あり、演者の調子だけでなく向き合った時の自身の心持ちにもよって聴こえ方が全然変わる曲でもあった。
これは、スマートフォンで音源を再生する時とも同じように思う。泣きそうになるくらい沁みる日もあれば、単にアルバムの美しい終焉として受け入れる日もある。押しが強くなく、ただ必要な時にはいつでもそこにいてくれる、そういう優しさがある曲だ。


2 サイレンインザスパイ

貴雄さんが早々にジャケットを投げ捨て、舞台の後方にアルバムのデザインが姿を現し、一気に熱が上がる。
なんといっても黄昏インザスパイの神秘的世界から一気に銃声の響く危険な世界へ導く「ヨウコソ…!」そして2サビ前の「コンバンハ[地名]!」の再現。これに尽きる。

これまでに何度も映像を見て、何回コンバンハしてもらったかわからないし、東京に住んでてよかったなと思ってきた。
ツアーの最後についに「コンバンハ トーキョー」を聴いたときにはもう失神寸前だった。最後まで見届ける義務があるからギリ耐えたけど。

冒頭の「5枚目!」は元気な若者の声で宣言していた10年前と変わって低く短く置きにくるのが多かった。

サビごとに繰り返す「笑えないので」の言葉。音源みたく「でゃっ!」て聴こえたり、「でッ!」と鋭く切ったり。どれもパワフルで、どこまで気分でコントロールで無意識なのだろう?と思いながら聴くのが楽しい。

演奏面では2番「ああ 改名は拒みたい」→「水晶とか乗っけて楽しそうですけど」の裏でテレッテッテッ…と繰り返すところ、2回目のテレッに入るのが1回目の一番低い音から瞬時にハイフレットに移動させるので音にとっかかりがある。あそこが本当にたまらない。

ユニゾンには「歌と演奏にどこまでダサい言葉を重ねてもかっこいいを保てるかチャレンジ」をやっているなぁ、と思う曲がいくつかあり、サイレンインザスパイはその筆頭格だ。しかし、今ツアーではレーザーバキバキの演出も加わって意味不明な歌詞もいつもより輝いていた。悔しい…!!!
赤く染まるステージの上方で青いレーザーが水平に、放射状に広がっていく。上階から見るのと、レーザーの起点より下の1階で見た時には違うカッコよさがあった。

映像作品CITS2014ではサイレンインザスパイ1サビ「目とハートにチカチカしちゃう」のカメラワークが3本の指に入るくらい好きで、ちょうどそこみたくキリッと踏み込んでいた姿を一度だけ見た。(福岡)


3 オリオンをなぞる

数多ある「?→オリオンをなぞる」の繋ぎでベスト、留保なしの優勝を獲得しているのがCITSツアーのセットリスト。私はドラムを叩けないが、口サイレンインザスパイ→オリオンをなぞる繋ぎならばできる。
これもしっかり再現していて、瞬時にテンションマックスに。
しかし、2014ツアーと違ってこの繋ぎのドラムに重ねて勢いよくベースの音を被せてきていた。最後の方はギターも入っていたかも。
前のめりなエネルギーの発散を感じて、すげ〜なー、と圧倒された。
もちろんイントロがはじまった後もその印象は変わらず。

直近のツアーUNICITY Vol.2でも演奏されて、これまでに何度となく聴いてきたこの曲だけれども、改めて曲の力を感じたし、ツアーで最新版を聴いて、アルバム音源を聴いて、の繰り返しで節々の魅力に気づけた。

CITSのオリオンといえば、YouTubeの映像でも確認できる「つまり半信半疑あっちこっち」で目を泳がせながらニコニコ首を振っているギターボーカルの姿をどうしても探してしまう。その姿は2024にはもうそこにはなかった。ただ当時から思いは変わらず、より力強く奏でられるオリオンをなぞるに身を任せていた。


MC

長すぎる拍手を、後ろ手を組んでどっしり構えて受け止めたり(名古屋)、ゆらゆらしながら見守ったり(仙台)、ギネス申請しようとしたり(岡山)。ステージからの熱を受けてお客さん側も迸っていた、その場に存在できて幸せだった。

2014/12/12「最後まで自由にやりまっしょ〜よろしくね」
2024/4/14岡山まで「自由に楽しんでいってくださいよろしくお願いします!」
2024/4/17の大宮公演から「よろしくッ!」
途中からタメで勢いよく流れ星を撃ち落とせに入るようになった!


4 流れ星を撃ち落せ

MCからの挨拶から息をつく暇もなく貴雄さんの4カウント、轟音を振り下ろしてくるような重いイントロ。身体を前傾し大きなモーションで掻き鳴らされたベースの轟音に悩殺された者も多いのではないか。

CITS2014の好きなところ。Aメロで繰り出される「坊やは↓ロックに↓ご執心↑」の手振り、そしてそれに合わせた勢いの良い歌声。余談だが、2022年に「音楽と行こう」の配信ライブで流し目しながらこの箇所を歌っていた姿は衝撃だった。
そして2024。手をヒラヒラさせながら余裕綽々に乗りこなしている姿はまた、ユニゾンのライブだけでなく様々な場面で歌ってきた経験を感じさせるものだった。
改めて2014の映像を振り返ると、歌詞とも重ねて若さと勢いがあった昔の姿がやはりカッコいいかもなどと少し思ってしまう。

2B「また余計な事言っちゃってゴメンだよね、あーあ」について。2014に「あーあ」がサビに備えてパッと終わっていたのが、「あーあ?」と感情の乗った歌い方になっていて貫禄を感じた。
歌も演奏もみちみちに詰まったこの一節、1音でもここまでこだわることができるようになったのか〜と10年の月日に思いを馳せる。

CITS2014好きなところ❷。やばいx4の前の「まにまに繰り広げ恭しい」→「ヒカル星」の間の「あー」を「アッ」て切るところ。
音源は促音ではないので当然「あー」と歌う時が多いのだけど、唯一仙台で2014みたく歌っていた。細々したポイントが何度となく見てきた映像と重なったのは、夢が叶ったかのように本当に嬉しい瞬間だった。


5 箱庭ロック・ショー

箱庭ロック・ショーは、ギターソロで毎度必ずステージの前方に出てきてくれるところが一番いい。
私は「ロックバンドとは何か」というのをほとんどUNISON SQUARE GARDENから学んだので、そりゃそう、ではあるのだけれども「ギターロックってこれだよな!」としか言いようのない逸品だ。

1サビ終わりの「そこに見たいくらい(イェイイェイ)」で人差し指を立てて左右に振る田淵さんはいるか?同じところでピックを握った手をビシッと前に出す斎藤さんはいるか?が一つ目のチェックポイント。目が足りなかった。

アウトロは日によって異なり大きく分けて2パターン。
❶センター付近で斎藤さんと田淵さんが正面衝突し、貴雄さんが見守る。
❷斎藤さんが観客に背を向け貴雄さんの方を向いて構える。田淵さんは下手から視線だけを二人に向ける。
どちらのパターンでも細かいキメを合わせにいく阿吽の呼吸、緊張感がたまらない一幕。


6 to the CIDER ROAD

一曲一曲が名曲なのでそれを言っても仕方がないのだけれども、CITSRにおけるto the CIDER ROADはあまりに名曲性を発揮しすぎていた。歌詞がいい。コーラスがいい。演奏も最高だ。会場いっぱいに広がる照明から、爽やかな夏の予感。(サイダロの物知りの雑誌は夏のものだと考える派閥)

カポタスト使用曲がいくつか登場した今回のツアー。サイレンインザスパイは気づいたら装着済み、harmonized finaleでは前のMC中に弄んだり、喋りながらつけたりしていた中、to the CIDER ROADはカポ装着シーンが映像として頭に残っている。
会場ではフェードインするように始まるイントロの同期部分に合わせて、爽やかなサイダーをイメージしたような水色の光がステージから天井へ流れ出す。その間、ギター本体を水平に倒すようにして、丁寧にカポタストをつける。そして満を持して、ジャーン、とバンド3人の音が始まるのだ。

Nホ❷ファイナルでは、箱庭ロック・ショー1Aでベースにトラブルが発生し曲中でサブのベースに切り替えていた。この曲でいつもの虹のストラップのベースに戻ってきた時の無敵感よ。

毎度毎度、1音目から「待ってました!」と胸がいっぱいになって、いい曲だな〜と涙した記憶がある。結局、途中から曲の強さに引き上げられて笑顔になるのだけど。

2014年のto the CIDER ROADといえば、サビ「次はどこへどこへ行こう」のあとに観客を煽るように元気な「ヘイッ!」の声が飛び出すのも名シーン。そのようなわかりやすい煽りはなかったが、Bメロで右手をクルッと回すのを見る度に心が跳ねた。

アウトロでギターがメロディーを奏でてゴキゲンな日は当たりだな、と思って聴いていた。


7 君が大人になってしまう前に

「UNICITY Vol.2のメインボーカルを経て二人のコーラスが上手くなってて嫌だった」とどこかで斎藤さんがこぼしていたセリフを思い出した一曲。

「大丈夫、大丈夫の魔法をかけてあげよう」でコーラスも重なり、これを聴ける限り私は大丈夫だと思わされた。

「たくさんの未来写真」の「しゃ」はアルバム音源を通して斎藤さんの個性的な棘のある声が特に際立つフレーズ。ここにアクセントを置く日、置かない日があって色々考えたり。

ドラムの電子タンバリンというのですか?あまり他で聞かないシャーンという音が強く出ていた。そして、バラードながら全体的に引きすぎない歌い方だったなと思う。(これはナインピネクストのもう君に会えないとかと同じ印象)柔らかいが芯がある、曲のメッセージ性を反映してのことかななどと思った。


8 メカトル時空探検隊

君が大人になってしまう前にのアウトロからドラムで繋いでメカトルへ。この間、斎藤さんは手で押さえて音色が変わらないようにしながら4フレットにつけられたカポタストを外す職人技を発揮。

メカトル時空探検隊は掴みどころのなさが度々話題になる問題曲であるが、最近のライブで見た曲の中では、放課後マリアージュみたいなポップさを感じた。ギターにぽやぽやのエフェクトをかけたり、田淵さんはダンサブルでキュートだったり(!)

公演ごとの楽しみになっていたのが、蜂の巣みたいな模様が舞台の床をくるくると照らす間奏後半から。音源では九字護身法を唱えるところである。
テーレーレッ・テーレーレーレッと繰り返すところで短音→高音重ねに変化するが、たまに最後の2回だけ高速で弾いていたり。当日の気分なのかはわからないが、毎度同じではない演奏に目が釘付けだった。
そして、続くラスサビ前の「タイムマシーンで」の歌い方、スタッカートで「タイム、マ、シーンで…」と歌う姿は10年前にはなかったものだなと思う。新木場以外を見ていないのでなんとも言えないのだけれども。


9 何かが変わりそう

初日の大阪❶、この曲のイントロで会場がどよめいたと記録している。何かが変わりそうでのどよめきは、以降多くの会場で観測した。
リバイバルツアーの特質上、恐らく大半のお客さんがこの曲を知った状態に足を運んだのではなかろうか。この曲が始まった時に感じる、「数瞬後に約束された幸せ」が観客の隅から隅まで行き渡っていたのだなと思う。

これだけ華やかな曲なのに、いや、だからこそ。記録を見返すとこの曲について書いた情報がとても少なかった。その場で見届けたものが全てであり、いつ、どこで演奏された何かが変わりそうも100点満点でブレがなかったのだろう。

音として記憶しているのは「忘れていく 忘れていくよ」から始まるCメロ。丁寧に弾き語るようにギターを鳴らす、一度ずつに込められた力、響かせ方が違っていた。「出会った夜」の最後にキーンと鳴らされた音が力強く、決意のようなものを感じ取った。


10 シャンデリア・ワルツ

2024年8月に考える「セッション付きのシャンデリア・ワルツ」といえばそれは当然「武道館のシャンデリア・ワルツ」であろう。斎藤さんが駆け出してギターソロを爽やかに炸裂させるアレンジ、からの「ドコドコドコドッ」と畳み掛けるドラムが響けばそれは世界が始まる音。

フロントマン・斎藤宏介さんが主役となった武道館と異なり、CITSRではドラム→ベース→ギターの順に登場する3人とも輝くセッション。こうやって書いてみると、まるでドラムに重ねていく「ベース&ギター、おまけに僕が歌えば四重奏」みたいだ。
このツアーのメインに当たるドラムソロ〜セッションは後で別の曲で出てくるのだけれども、ライブ前半の締めとして、単なる過去のアルバム曲(CITS時点でDUGOUT ACCIDENTはまだ出ていない)ながら主役格の曲として欠かせない。

このセッションでの思い出は、始めベースのみで奏でられた「ジャジャーン!」という音に重ねてギターが入ってくるところ。全体の5公演目に当たる福岡から、このフレーズの前に遊びが入っているのを観測した。一番ノリノリだったのは仙台公演だった記憶で、ツアーを通したベスト・シャンデリア・ワルツだと思っている。円盤化公演でも見られるはずなので私はこれがとても楽しみです。

そんなセッションから「ドコドコドコドッ」とドラムが鳴るのに合わせて、斎藤さんは時に武道館と同じく昇竜拳(←公式の表現)、時にピックを握った右手を前に突き出し、いよいよ観客のボルテージも最大に近づく。2014には腕をぶん回していたのも可愛かったけどそこは29歳と38歳では違ったらしい。

Aメロでは田淵さんがステージ上をてくてく歩き回り、一番端の席まで、そして一番上の席まで、ニコニコと観客を見て回っていた。2B「レンガ造りのウォールロードが重なった希望に見える」ではマイクスタンドの前に戻ってなお、目の上に手を当てて観客に目を凝らす。「世界が始まる音がする」に合わせて拳で胸を打った姿は間違いなく前作CIDER ROADの最高到達点であり、本ツアーでも屈指の名シーンの一つだ。

箱庭ロック・ショーと同じく間奏・アウトロではとにかくステージにいるメンバーがこの会場で一番楽しそう!と思ってしまう、メンバー同士が顔を合わせて演奏するシーンも多かった。


11 蒙昧termination

シャンデリア・ワルツでどこかに行き着いたのか、行き着いていないのか。暗転からの後半戦幕開けを担うのはCatcher In The Spyの中でも特に前作CIDER ROADとは距離がありそうな蒙昧termination。
小休憩からドリンクを置いた斎藤さんがマイクスタンドの前に戻り、足元のスイッチを踏んだ途端、ギターの歪んだぎゅーーーーんという音が再び観客の集中を誘う。事件の再会だ。仄暗いステージが徐々に明るくなり、鋭いギターリフが切り込めば見えてくるのは赤と緑の原色が眩しい世界。

キャラ的に(キャラ的に?)ウインクではないと思うのだけれども、「このままじゃなんか以下略」で偶々目を閉じたところが捉えられた2014のツアー映像がカワイイ〜!(カワイイなのか?)と何度も再生してきたのは私だけではないと思っているのだが。
一方で今回のツアーでは囁くような「以下略」。これも10年前には持っていなかった技のように思う。
また、この「なんか以下略」で着目すべきは歌だけでない。裏でスティックを4カウント鳴らすアレンジが入り、続く「まだ微動だにしない」で囁きから戻ってくるボーカルに加速力を与える。貴雄さんの日々成長、進化の姿勢を垣間見るワンシーンであった。

「like aビショップでもっとやれ」のあとのギターソロ宣言は音源、そして2014と異なる「ギタ↑ア↑」と英語の発音に謎のアップデートを果たしていた。

見どころたくさんの蒙昧terminationであるが、やはり一番は曲の終わりにかけての「蒙昧terminationの連呼」という、テキストにすると剽軽な、しかしその場に立ち会っていれば納得しかないであろう展開だ。徐々に加速し最後はギターの弦をキュッと握り込んで急停止。「順を追って錆びるのならご勝手に」と言い捨て、最後は貴雄さんが静かに曲の終わりを告げる。


12 WINDOW開ける

暗転、直後に控えめな白い光が差し込みゆっくりと始まるWINDOW開ける。私はここで「静かな」と「荘厳な」は同時に成立し得る言葉であったのかと初めて知る。

前の蒙昧terminationが終わりに向けて速度を増していって、最後に落とし込んだ流れを受け、普通バラード調の曲でしかやらないのではないかというくらいゆったりした音の流れが、会場全体に独特の緊張感を走らせる。

間奏では黒と白のモノクロームから一転し、真っ赤に染まった舞台の上で何か神への奉納なのか、と思ってしまうくらい凄まじい音が飛び出す。「狂気的な」、「怪音」と様々な言葉で伝説的に語られるこの曲だが、結局はどんな言葉も足りないのだよな、と見るたびに思わされる。
私の周りに多くいるライブに行くのが好きな人たちというのはイントロも間奏も飛ばさない人だ。だから「間奏スキップ界隈」は誰かが考えた途方もない嘘という可能性もまだあるのだけれども、もしそれが本当にあるのならば、一度WINDOW開けるの間奏を眼前にすればいい。物事の「本質」が見えるはずだから。打ちひしがれても、やがてくる「さっきまでのなんだったんだよ」と言ってしまいそうなくらい静かなベースソロからまた生まれ直せば大丈夫だよ。何も大丈夫ではないよ。この文章はなんですか。

さて、WINDOW開けるといえばギターソロ、そしてWINDOW開けるといえばドラムアレンジ。
音源と異なり「周りに合わせることなど!」から先も打ち続け、サビ前のカウントが轟音を導くところや、ベースソロの裏の繊細なフレーズに向ける意識も残しておきたいところだった。

筆舌に尽くし難いと言っている以上言葉を重ねても嘘を重ねるだけかもしれないので、実際に何が起きていたのかは以下の通り補完するのが一番良い。

昨年のツアー映像/音源を見てその上位互換を想像していただき、更にその想像し得ない上位に該当するのがCITSR2024のWINDOW開けるだ。


13 シューゲイザースピーカー

2014との最たる違いは「デリケート」から4カウント挟まないこと。どんな準備をして望んでも「君だってまだまだ」と言い捨てて去っていくWINDOW開けるからノーカウントで始まる「速い」「強い」つまり「最高!」なシューゲイザースピーカー。「最高!」と思っている間に終わっているので、書くことがない。9回も見たのに?

とりあえず、『「シューゲイザースピーカー」で獣になろう!』

最後の方にやっと先の曲で紹介したナインスピールの「WINDOW開ける〜シューゲイザースピーカー〜アンチ・トレンディ・クラブ」の呪いが解けた。2014にアンチ・トレンディ・クラブは存在しません。


MC

ここまでの13曲の消耗がいかに激しかったか、この先にまだ大変な曲の数々が控えている事実を思い出したカオスが極まる「頭が痛えよな」みたいな話を挟む。(いいえ)
CITSの時期に足腰・フィジカルがついてきたと言っていたのが、実は裏でとても体育会系バンドなUNISON SQUARE GARDENらしいなと思う。

10年前の会場等、地域ネタも挟んだこのMCの間に次の曲に向けたカポタストが装着される。

「もう少しこのCatcher In The Spyの世界を楽しんでいってください」の言葉で既にセットリストが折り返しを迎えていた事実に寂しくなる。


14 harmonized finale

「立派に綺麗に見えるように飾ったら立派に綺麗な答えが出るけれど」という歌詞がとても好き。
この曲は比較的「立派に綺麗に見えるように」工夫されていると思うのだけど、そこも好き。枠だけでなくて、中身を伴う美しさだから。

上手の上方から下手の壁に照明が差し込み、その下から届けられる落ちサビ。オリオンをなぞると同じく今年に入って2ツアー目ということもあり、大切に演奏され続けてきたことがよくわかる安定感と細かな音の美しさが本当にいいなと思う。


ドラムソロ〜セッション

最初に見た時は、ドラムソロは完全リバイバルではなく別のフレーズを叩いていると思った。見る回数を重ねるうちに、10年前のツアーと同じフレーズをきちんと元にして、しかし足せるものは全て足して10年前を遥かに超越したドラムソロに変貌していたことにやっと気づいた。とにかく熱量に圧倒された。

セッションも忠実に、2014年のツアーをなぞっていく。かっこいい〜早く音源が欲しい〜〜〜。

ドラムソロ、セッションで上がりきった熱を一度冷ますかのように、セッション後半で一度落ち着きを見せる


15 天国と地獄

のも束の間、お馴染みのライブ版イントロ、斎藤さんはギターのネック上で素早く滑らせ、「天国と地獄」コールをかます。

今回のツアーではサイレンインザスパイと同じく、レーザーという武器を持たされた天国と地獄。「トライアド崩れて 想定外の謎は起きる」のフレーズでは最高に気持ち良い音ハメのレーザーが足されていった。更に、歌詞の行間、ギター・ベース・ドラムから轟音が繰り出される瞬間には光の濁流も合わせて観客に降り注いだ。Catcher In The Spyのライブに足を運んだ動機はお客さんの数だけあったと思うけれども、間違いなくこの瞬間に「来てよかった!」と思った人は多いはず。天国と地獄パイセンには早く総理大臣とかになって欲しい。ちょうどポスト空きそうだし。

冗談はさておき、「ドラムソロ、セッション、天国と地獄」という額縁に入れて飾りたい3単語を経てもまったくピークが終わらないのがこのツアーの恐ろしいところだ。
天国と地獄の余韻、ギターとベースは1音ごとにヘッドを振って息を合わせるようにテーレーレーレーレーレーレーレー…


16 カラクリカルカレ

「Thank you」
そしてカラクリカルカレへ。
2014ツアーで映像化した1シーン。

残念ながら、本当に残念ながらこの「Thank you」はリバイバルされなかったな、と思うもすぐにカラクリカルカレそのものの求心力に巻き込まれていく。派手な演出なし、飾り気なしでただ演奏だけがそこにある。それなのになぜこんなに執拗なまでにかっこいいのか。
「凄すぎて笑うしかない」状態に陥る曲はそう多くないが、カラクリカルカレは間違いなくその一つだ。「カラクリカルカレやべ〜www」と言いながら帰宅し、次に備え、よっしゃカラクリカルカレ見るぞ!と意気込んで再び会場に向かうも、前と同じく「カラクリカルカレやべ〜wwwww」と言いながら帰ることになる。アレンジが目に見えて変わるわけではないのに、見るたびに状態が更新されている。一体何なんですか。ことあるごとに言っている気がするが、この曲がメジャーファーストアルバムの1曲目というのが何よりもUNISON SQUARE GARDENとは何者なのかを語っているような気がする。

具体的な話も記録しよう。
まずこの曲、コーラスが全くない。なので下手の人が自由になる。記憶にあるのは2番、「ライドオン、ただそれだけだが」で田淵さんがドラムの台に駆け上がる。続く「新世紀の怪物だぞ 残念ですが興味がない」では至近距離の貴雄さんと向き合ってとんでもない煽り合いを見せたり、観客の方を向き左手で掲げたベースを大きくはたくように鳴らしてみたり。

そして10年前と異なりお立ち台はないものの、WINDOWが開きかかる(【WINDOW開ける】動詞;ギターで怪音を奏でること。特にギターソロでの演奏を指す)ギターソロが炸裂。

最後の最後の最後まで目が離せないかっこいいリフに振り落とされないよう全神経を視神経と聴神経に割り振ったので多分ほぼ死んでた。


17 桜のあと

カラクリカルカレが終わるとドラムのカウントも入れず「All quartet lead to the…」とメンバーの合唱が始まる。ライブの度に数々の繋ぎが取り沙汰されるUNISON SQUARE GARDENのライブの中でも屈指の、名繋ぎ。
私がUNISON SQUARE GARDENと出会ってからの3年くらいは、CITSRの桜のあとの一番最初の「All」に合わせて拳を突き上げるためにあったのだと誤認する。この繋ぎを目撃すること何度夢見たことだろう。YouTubeのCatcher In The Spyトレイラーにも収録されているこのシーン。同じ気持ちでやってきたのであろう、最初の「All」からノリノリのお客さんは他にも見つかった。

ただただ楽しくて幸せだったから、記録なんて「でたらめでいいよね?」オッケーです!で終わってしまうのだけど。

サビの「桜が」に合わせて貴雄さんがスティックで前を指す、斎藤さんも同じく観客に手を向けるみたいな動きがたまにあった。特にサビが華やかな楽曲群に入る桜のあとは学級委員か生徒会でデケー運動部の部長やってそうなのに教室の片隅にいるワタクシみたいなのに対する接し方があまりに上手いというか、本当に誰にでも愛される曲だな〜このシングルを抱えているCatcher In The Spyって名盤だな〜と、行き着く考えはいつも同じところ。


18 crazy birthday

コイツCIDER ROADなのヤバいよな!やばくないです?
曲としては終始パーティーピーポーなのに「どんな事態もわき目振らないんです」って言ってる。ああto the CIDER ROADやシャンデリア・ワルツと同じくCIDER ROADだなァッ!

crazy birthdayはサイダロツアーの終わりが来ないクライマックスの一角を担い、このツアーでも同じく本編終盤の体力がないやつは既に気力だけでそこに立っているであろうエリアに位置する。つまり期待された役割は一つ。トドメを刺すこと。

ぴょんぴょん飛んで「せーの、バカ!」を叫んで終わりかと見せつつ、公演ごとに楽しい演奏ガチャを引ける一曲でもある。
2サビ前の「よくなくなくない」で貴雄さんにイジられるミスをしないかな(CRR)と歌に気に取られていたら何気なく終わってしまいそうだが、この裏のギターの遊びが日によって違った。キューン↓キューン↓ キューン↓と3音下ってみたり、1音ジャーンで終わったり。アーミング、ピックスクラッチといった専門用語が符号することを学んだ技を目にしたり。
本当に、こういうガチャ要素が確定するのがいつどのタイミングなのかというのはいつか教えてくれたらいいなと思う。

「おしまい」

「はこの曲っ!」

19 場違いハミングバード

「1, 2, 3, 4」と貴雄さんが力強く叫び出し本編最後の曲へ。
機材を軽やかに飛び越える田淵さん、端から端まで走り回る田淵さん、間奏でセンターに出てきて俺が主役だ!と言わんばかりの田淵さん、負け惜しみの送り先(推定ドメインはhotmail)を指差し示してくれる田淵さん。列挙しきれないので以下略

場違いハミングバードは速ければ速いほど良いとされているので、Catcher In The Spyと相性が合わないはずがないですよね。天国と地獄とも仲良しだし。

うねうねしながら音階が下がっていくギターソロは過去のライブ音源になかったような気がしていて、答え合わせが楽しみな曲の一つ。

そういえばベストツアーの会場で予約する形でCITSRの1BD+2CDが出ないかしら?と期待していた時期もあったが、シングルリリースが来るのでまだ来なさそうですね。円盤出なかったら世界を破壊する。


アンコール・MC

観客の大喝采に応えるよう、退場してから1分も経たないうちにメンバーが再びステージに姿を現す。が、「疲れた〜」、「ちょっと休もっか」と喋る公演もあり、セットリストのエネルギーの高さを改めて実感する。

ふらふらと上手まで歩き回りながら水を飲む田淵さんに「今始まったらどうするの?」と斎藤さんが問いかけると(水を床に置いて、やれます)のジェスチャーで応えるシーン(福岡)などが記憶に残っている。

一息付き、「やろっか!」「アンコールいきまァス!」などの一声でMCを終え、アンコールが始まる。


20 instant EGOIST

fun time Holiday6のライブ音源(10% roll, 10% romance特典)と同じドラムのアレンジがライブの再会を知らせ、「君をストップモーション」と始まると観客もすぐに自由に踊り出す。
2014の曲始まりはスティックのみで1、2、123と鳴らし歌い出していたので、これは細かな演出まで再現が多かった本リバイバルツアーにおける、数少ない明確なアレンジの変化だ。(もちろん歌、演奏の節々から10年のキャリアを感じられたのはこれまでに述べてきたとおり)

間奏では23:25のイントロに雪崩れ込み会場を沸かせ、急に「ストップモーション」する演出をリバイバル。まさかこれをアラフォーがやってくれるとは思ってもいなかった。
田淵さんが時に腰をさすりながら、一人早々にてくてくと歩き始めると重ねて会場に笑いを誘う。そこからの演奏再開はどうやってコンタクトを取っていたのだろう?とわからないくらい自然で、芸の細かさが窺われた。

このストップモーション明けでは、世にも珍しいギターボーカルの指弾き姿が見られたという。まあどうやって弾いていても違いがよくわからないので置いておき、とにかくこのダンサブルなメロディーで体を揺らす時間が至高。田淵さんのステップに拍手が起きた会場もあって、それもとても楽しかった。

どちらかというと銃で牽制するタイプの曲が多いアルバムなのでライブもそういった方向に偏重していた中、和やかなMCから始まったこの曲は柔能く剛を制すタイプ。世界平和ってこういうところから始まるんだな。


21 徹頭徹尾夜な夜なドライブ

ド派手!爆笑!

「夜な夜な サヨナラッ!」

22 23:25

instant EGOISTで一度待ったを食らった23:25をきちんと提供してくれる、最高の終わり。客電がついて迎えるアンコール3曲目ではいつもいよいよ終わってしまうのだなと少し寂しくなるのだけど、「Catcher In The Spyの世界」から元の世界へ帰ろうと力強く送り出されるとまた明日からも頑張って生きられるような気がしてくる。

「七色のステージに変えてキラキラ」に合わせて虹を描く照明、そして手で客を撃ち抜くお馴染みのファンサ(?)を披露する田淵さん。ワクワクするところはたくさんあったが、特に私が楽しみに回ったのは何より間奏。

23:25の間奏はベースソロに挟まれたキメの回数が2、3、2、5であることはよく知られた通りである。
最初の「2」の前のベースソロでは貴雄さんが「ベース!」とコールしたり、静かに田淵さんの方を指して示したりしていたのがこのツアーならではだった。

そして「3」の後はギターのターン。いくつものレパートリーがライブ音源として残っている通り、今回のツアーでも無音、クリアな音、ギュ、ギュ、ギュと押さえるような音があった。今日は何が出てくるだろうかと楽しみにして、喜んだりがっかりしたりして、いよいよ終わりに向かっていく。

23:25は、アウトロが引き延ばされずにバチっと終わるところもかっこよくて、このツアーのラストを飾るのに相応しかったと思う。



ツアーを回っての振り返り

振り返ると、一番空いた間隔で3日に1回、空かないと2days。
なんだったのだろう、と思う。

一度インターネットを開けば当たり前のように全部の公演、全てとは言わずともたくさんの同じ内容の公演を見届けている人がたくさんいる。それがスタンダードなのではないかと錯覚する。本当に何なの?www

ツアーにたくさん行って、たくさん見られて気づいたところがある。恐らく一度見ただけでは記憶できないアレンジの違いだ。この日はこうだった、あの日はこうだった。メンバーの調子だけでなく会場全体の雰囲気や席についた時の自分の心境の違いで、たとえ公演ごとのMCの違いがなかったとしても全て別物だったと言い切れる。

だから何なのだ?

細かく個人的な視点で考えればこの曲のアレンジはこの日のが好きだった!等あり、それが特別に好きな曲での出来事であれば会場を出た時の満足度は異なるかもしれない。
しかし、全般的な話として公演ごとの優劣はない。セットリストを変えない、いつも外すことのないUNISON SQUARE GARDENだからこそなのだろうから、これはすごいことだ。

ライブツアーの半分以上を見るのも初めての経験で、回っているうちに見逃した公演があることが悔しくなるかななどとも考えていたが、そんなことはなかった。WINDOW開けるはいつどこで見ても圧倒的なWINDOW開けるだった。これ以上を求めるのは、私の中では「スタンプラリー」の領域だなと感じた。
(最終的にチケットを入手できなかったNホ❶を譲っていただいたのはCITSコンプリート欲ではなく、行ける時に行けるところでライブしてるなら行きたい!の動機が大きかったと思う。感謝している。)

それでも多少オーバーペースでツアーを回った2024年4月は何年後に振り返ってもきっと輝く思い出だ。この拙い文章を読み返して、何度も幸せになるんだろうなと思う。

CITSより好きかもしれないfiesta in chaosのツアーをもう一回やるよ!と言われてももう9回も行かないだろうが、「この人何の仕事してる何者なの?」と思われそうな側のツアーの回り方を一度でもできたのはとてもいい経験になった。仕事辞めないで回りきれてよかった。


内容の振り返り

SSSR行かず、CRRは映像を見ないで単に「セットリストを事前に知っているライブ」として参加した。
対して、DUGOUT ACCIDENTを買ってからは暇さえあれば見たら笑ってしまうinstant EGOISTなどを除くCITSの映像を流しておく生活を送ってきた。
夢にまで見たものが目の前にあり、期待・想像を上回ってくれる。これは早々できる経験ではない。リバイバルツアーってすごい!!!これが一番。

アルバムツアーながらWINDOW開ける、シャンデリア・ワルツといった過去アルバムの収録作が非常に重要な役割を担い、かつ大事なところはきちんと天国と地獄や桜のあとが100点満点を叩き出していく。
2014年時点で組めるベストなセットリストだったし、アルバム曲12曲から1曲も漏れなかったのはCITSのコンセプトにもぴったりだ。
to the CIDER ROAD、シャンデリア・ワルツという前作の要が綺麗に収まっているのもCatcher In The Spyというアルバムが持つ魅力を余すことなくライブに反映した結果だ。さすが才能を豪語するだけある。ひれ伏す。

難しいことは置いておくと、好きな曲で始まり、終わるとまた好きな曲、すごい繋ぎ、セッション、好きな曲。この連続。これ以上の何の説明も要らない。私はCatcher In The Spyが好き。

2014年8月27日にリリースされ、今日でちょうど10年。
このタイミングで、Catcher In The Spyというアルバムと2014年のライブ映像と2024年のリバイバルツアーの思い出をこれからも愛し続けることをここに誓いたい。



「せっかくだからバラバラとしたメモのままではなくて、一応読み物としてまとめるか」と思いキーボードを叩き始めたら何故か告白と宣誓で結ぶことになってしまった。

Revival Tour Catcher In The Spy、貴重でかけがえのない経験をありがとうございました🌟

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