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THE IDOLM@STER SHINY COLORS "CANVAS" 07にまつわる雑記

こんにちは。蜷川です。

のほほんと暮らしていたら 5.5 th も終わって、サブスクでは CANVAS 08 の楽曲たちもフルで解禁されてて……。たまに見せる場違いな秋の陽気とは裏腹に、時の流れの速さがまざまざと意味のない焦りを掻き立ててくる日常を過ごしています。

今回は CANVAS シリーズのシーズ盤についての雑記となりますが、5.5 th のことをちょっと振り返ると、なんかもうシーズは心配する必要なくて……、初々しいおコメちゃんたちの一つ前のユニットだけどあんなに貫禄があって……。

衣装が「ユナイトバースプラネタリ」(←一番素敵な七五の言葉)だったのもあって、3rd の頃を思い出しながらこんなにおっきくなったんだねぇと七五三の写真撮影で孫を見つめるおじいちゃんみたいになっていました。

コミュ発表時期としては『not enough』実装時期と近かった CANVAS 07。MV がちょっとなんというか……なシャニソンのリリース前の SHHis のいったんの締めくくりとしても見ていけたらと思います。

例のごとく、本盤も歌詞担当は Co-sho 氏がすべて担当されているので、各楽曲でのクレジットでは割愛いたします。

これめちゃくちゃバカみたいな間奏なんですが、CANVAS 07 の歌詞カード開いたとき、3 曲あるせいなところも多分に寄与しているとは思いますが、文字ギッチリで威圧感すごいですよね……。

曲の長さ的には他ユニットと比べ特段長いというわけでもなく、その上デュオユニットということで歌唱負担がかなり大きいです。それを感じさせない楽曲の造りとパフォーマンス力の両立ができているのは本当に圧巻です。


M1. Forbidden Paradise

作曲:小久保祐希、Eunsol(1008) 編曲:Eunsol(1008)、Guitar:YOSHIHIRO(KEYTONE)、All Other Instrumnets & Programming:Eunsol(1008)

「OH MY GOD」でおなじみの小久保祐希、Eunsol(1008)タッグがここにきて堂々の帰還です(小久保さんはだいたいどこにでもいますが)。

バチバチ K-POP 畑で活躍されている Eunsol(1008) さんがそのテイストを持ってきつつ、ジャケットにもなっている衣装「フォービドゥンシンシアリ」に合わせて教会音楽のテイストもちりばめられている思ったより要素たっぷりな楽曲。

「七草にちか」や「緋田美琴」という神道チックな名前を関したアイドルが織りなすデュオユニットということもあり、宗教要素に対する適合指数が作品として高いのかもしれません。

さて、この曲に限らずこの盤全体での特徴なんですが、(『Forbidden Paradise』は特に)七草にちかの歌唱スタイルがかなり変革したところを強く感じ取ることができます。どこでそのように感じるかというと、「発音」です。

先ほど歌詞カードについて言及しましたが、今盤これまで以上に英語詞の割合が大きく、かといってすべて英語というわけではない詞においてその共存が一つの問題となってきます。

このときの解決方法として「日本語英語的な表現で聞きやすさに特化する」パターンや「日本語の発音を英語に寄せてアーティスト感を強調する」パターンなどがありますが、今回七草にちかの表現として後者のものを選択しています。

英語の発音上ではちゃんと子音の発音を徹底するのに加え、母音のレパートリーを増やす点が重要になってきますが、今回の解決方法では日本語の発音を英語に寄せる、つまり「あいうえお」以外の母音の発音を日本語詞にあてる、という表現方法をとっています。

ちょっと懐かしい例を持ってくると、特に最初期の歌唱や『きんいろモザイク』の九条カレン役としての東山奈央の発音は、「あ」は「お」に近く、「お」は「あ」に近いところが特に顕著と思います(九条カレンのときは「い」と「え」も近め)。(イギリス英語に入り込んだ話題は割愛)

日本語の離散的な五母音に対して、英語の発音における母音はグラデーションで連続的なものです。日本語の演技・ナレーションのレッスン的には五母音の明確な区分けが一つ重要なポイントになってくるのですが、このような英語に寄せた発音ではそのスキルを完全に放棄したうえで表現を組み立てていく必要があります。

話を戻すと、多少経験を移植できるものの、全体としては日本語発音に関する技量の土壌とは別環境で構築する必要のある英語発音での領域で勝負するというアイドル・七草にちかの挑戦がこの盤全体でみられました。

「Forbidden Paradise」で特に感じたのは 1サビの「理想郷じゃ」の部分です。「り/そ(う)/きょ/じゃ」の 4 音のうち後ろ 3 つが日本語での「あ」と「お」に相当する発音ですが、そのうちの前 2 つの「お」は「あ」に近い発音、「じゃ」は「あ」に近いけれどそれになりきらない発音で歌唱がされています。

結果、手前まで続いていた英語のフレーズから日本語詞の接続の部分で日本語ではありつつもスムーズに接続をして曲の中での詞による断絶を軽減されていると感じました。

(おまけ)


M2. SWEETEST BITE

作曲:小久保祐希、YAGO 編曲:YAGO、All Other Instrumnets & Programming:YAGO

YAGO さんはここ 2 年ぐらいでちらほらとアイドル界隈でお名前を見るようになった方で、小久保さんとも過去に超ときめき♡宣伝部への楽曲提供でタッグを組んだこともありました。

上記のようなコテコテのジャパニーズ・アイドルからこちらもまた K-POP のフィールドまで幅広いトラックメイキングを得意とされている方です。

『SWEETEST BITE』もかなりしっかりとした区分けをしながらそれぞれのフィールドのトラックの特徴を織り交ぜた構成となっています。

 パフォーマンスも 5.5th で前後 2 曲よりさきのお披露目となりました。がおがおにちかかわいちゅね……。"Addicted Love" のにちかちゅの発音かっこよいとおし侍。

こういった遊びについても美琴の歌唱がどっしりと構えて安定感があるからこそでして、……なんか感謝祭みたいな感じ?

ライブでの乗りやすさとしてもすごく印象的な楽曲で、Bメロでハーフテンポ的にノリ方に緩急があるのですが、元のテンポが BPM = 145 なので元も早すぎず、ハーフになり 70 付近になってもちょうど 2 つでノリやすい……。メロも相まって B メロの気持ちよさが半端ないです。

日本語詞と英語詞の交わりという観点で見ると、本楽曲が単純な英語比率は一番高い上に、構造として 1 フレーズの中に「日本語のかたまり/英語のかたまり」というパターンの繰り返しがよく見られます。

ひとり見上げ Remenber
儚い淡かったあの日の Fleeting love
必要ないの No more advice
気ままに Walk walk
…. (中略)….
溺れ続けてた Passion of love

『SWEETEST BITE』 1A より

Love is so blind
わからなかった Left and Right
甘すぎたわ My first time

『SWEETEST BITE』 1サビ より

韻の踏み方として、 1A の "Love" と "た"、"わ"で踏んでるのめっちゃ気持ちよくて好。

M3. White Story

作曲:YUU for YOU、常楽寺澪、編曲:YUU for YOU、Guitar:清水"カルロス"宥人、All Other Instrumnets & Programming:YUU for YOU

いつもの YUU for YOU さん、『Give me some more…』や『Bouncy Girl』でなじみのある常楽寺澪さん、そしてなんといってもシャニマスでは『いつだって僕らは』のギターで参加していた清水"カルロス"宥人さん。シャニ楽曲の長い歴史とそれぞれのピンポイントの強い楽曲で参加をしていたメンバーによる CANVAS 07 最後の曲になります。

楽曲のテイストとしては M1 から M3 にかけて K-POP から J-POP へのグラデーションがかかっているのですが、その J-POP に対するスタンスはやはり常楽寺澪さんの楽曲づくりに立脚しているのかなと感じています。

キュルキュルと時計を 25 年とちょっとだけ戻してテレビをつけてみると、当時のアイドルのヒット曲として Kinki Kidsの『硝子の少年』が流れているでしょう。

もうちょっと現代に近づくとポルノグラフィティの『アゲハ蝶』(最近 「FIRST TAKE」でも披露されていましたね)、少し本流から外れると EXLIE の『Ti Amo』、さらに時間が進んだら Sexy Zone の『GAME』なども近い音楽を感じると思います。

このような、いわゆる哀愁ラテンと評されるジャンルは上記の通り大衆邦楽においてはどちらかというと男性アーティストの文化圏として醸成してきました。

『White Story』でもギターやアコーディオンのサウンドがこの哀愁ラテンの潮流を彷彿とさせてきます。この曲を聴いて ザ・J-POP じゃないけれどどこか懐かしさを感じるのは J-POP の文化領域内に哀愁ラテンが部分的に浸透していたためだと考えています。

特にアコーディオンとシーズ楽曲でいうと、みんな大好き『Fassionable』でもアコーディオンのサウンドが特徴的でしたが、そちらはどちらかというと東欧的なアコーディオンだったのに対して、今回はラテン的なアコーディオンと少し印象が違ってくるのも面白いところです。

アコーディオン(白黒の鍵盤楽器)がなぜか印象に残るシーズ楽曲群のなかで、K-POP 的なサウンドを軸としつつも J-POP アーティストの流れも汲みこんでいる、アーティスト SHHis の一区切りとなるにこれ以上ない楽曲だったと思います。

おわりに

振り返ってみると、K-POP 自体が様々な音楽文化のキメラみたいなところがあるせいなのが多分に寄与しているとは思いつつ、SHHis というアーティストの手が届く範囲の広さを改めて感じさせられる盤だったといったところでしょうか。

コミュでもひと段落、楽曲でもひと段落。これからシャニソンでも頑張るぞ、な時期ですね。

MV どうにかならんかね~~~~~~。

それでは~。

🐚

前:"CANVAS" 06 についての記事はこちら↓

後:"CANVAS" 08 についての記事はこちら↓


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蜷川
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