
『オモコロウォッチ!』に活を入れられた話【日記】
オモコロのネットラジオ企画「ニュース!オモコロウォッチ!」を最近になって聞き始めました。オモコロ編集部三人(永田さん、原宿さん、ダ・ヴィンチ・恐山さん)が、気になるネットニュースを一つ取り上げてトークを繰り広げるという内容。"ない話"からパッションで自由に飛び回るのが「匿名ラジオ」だとすれば、"ある話"からロジックで綺麗に三段跳びをするのが「オモコロウォッチ!」、という対比的な形容ができるでしょうか。そしておっさんがきらら漫画してるのがオモコロチャンネルだ。
YouTubeのおすすめ欄に流れてきたので、何とはなしに再生してみたのですが、これがもう本当に衝撃的だった。ネットのどこかで聞いた「世の中がつまらなくなったんじゃない。お前がつまらなくなったんだ」という言葉がそのまま自分に跳ね返ってきて突き刺されたような感覚だ。
たとえば、上に貼った第15回では『「うな丼大臣は即刻更迭を」立民が谷氏批判 首相、続投させる方針』というニュースを取り上げている。国家公安委員長の失言と、それに対する野党の追求を報道する記事だ。私ならこの見出しを目にした瞬間にうんざりするだろう。い、いやまあ確かに失言っちゃ失言かもしれないけどさ、うな丼大臣だの何だのと揶揄する人や見出しをつけたりする魂胆が嫌すぎるんだよ、やれやれこういうゴシップ記事やインプ稼ぎ目的のコンテンツが溢れてるから、私はSNSから距離を置くようになったんだよな、ま、どのみちこうやって反応しちゃった時点で私の負けだよなあ~……などなど、ネットに対する厭世観を自分勝手に強め、親指でスワイプするだけで済ませてしまうに違いない。
しかし、当該動画では「スベってたのは事実」という話から始めながらも、「ではうな丼がダメなら何であればよかったのか」という方向に転がってトークが盛り上がっていく。同じ丼ものなら牛丼ではどうか、もし寿司屋だったら何のネタか、飴玉では、お菓子では。他にも第2回では、「イギリスの少年が22.8cmのフライドポテトを発見した」というニュースから、その発見を共に喜ぶことができる素敵な家庭の光景、一方で私達は普段の日常でそうした発見を見落としているかもしれないという警句、そして過去の栄光に縋ってしまう人間の悲しき性すらも見出している。
そうか、普段何気なく目にするネットニュースから、ここまで発想を膨らませることができるのか……と、自分が思考停滞に陥っていたことを思い知らせられた。ネットニュースを見ては、ただただ厭世的バイアスを強めたり、「ふーん」と何の感慨もないまま済ませたりしてしまう。そんなつまらない人間にいつしか自分はなってしまっていた。そう気づかされて愕然とした。
ふと思い出したのは、マジック:ザ・ギャザリング紹介動画における永田さんの発言だ。本作の魅力を語り、では肝心のカードゲームとしてのルールはどうなのかという話になった時、スライドに映されたのは「てめぇでお調べ下さい」。そして、こう言い放つ。もしこれを見て興味を持ってくれたら、その興味は自分で掴め。自分で掴んでそれを趣味として取り込むのは、お前の仕事だ――「口開けて 詰め込まれるの待ってるだけの コンテンツのフォアグラにはなるんじゃねえぞ!」
初めて見た時は「せやせや! コンテンツを受動的に摂取するだけじゃあかん! 能動的に自分事として取り入れていかんとな!」と共感していましたが、それはあまりにも大きな驕りだった。今になって改めて、あの大声で叱咤された。そう、私も所詮はコンテンツのフォアグラに過ぎなかったのだ。他ならぬ永田さん自身にそうした能動的・積極的に掴みに行く姿勢があるからこそ、後にMTG案件動画を獲得することができたのだろう。
昨年の私はnoteで「最近のネットはどうもデカい言葉や煽情的な言葉が飛び交っていて……」みたいなことをたまに書いていた。まあXの仕様変更などに伴ってそうした環境の変化は実際にあるのかもしれない。しかし、まずはそう思ってしまう自分を見直し、猛省し、自戒したい。ネットの闇に取り込まれないための、そして自分の感性を錆びさせないための努力を怠ってはならない。一つのネットニュースからあそこまで話を広げることができるお三方を見ていると、やはりそう思わされる。
私の夢にも、いつかイマジナリー永田さんが出てくるだろうか。フォアグラとしてではなく、自分の羽で飛ぶためにも、まずはオモコロウォッチを今後も追ってみようと思う。――いや追うだけじゃダメですよね。今年は昨年以上にコンテンツ語りや読書感想文などのアウトプットを増やしたり、ろくろを回したりしたいと思っていたので、自分なりに実践してみます。憧れで始めて、殺意で続けろ。それではまたどこかで。