見出し画像

オタク、素泊まり1泊13,000円のホテルに泊まる【ホテル志摩スペイン村】

本当に「HOTEL SHIMA SPAIN "MURA"」って書かれてる!!
ンゴちゃんが言ってた通りだ!!

 16時半頃。志摩スペイン村パルケエスパーニャを満喫した後、バスでホテル志摩スペイン村に向かった。3分ほどで到着。正面入り口にはヤシの木がそびえ立ち、純白の壁でできた巨大な建物がどっしりと構えている。パルケスパーニャと同様、異国情緒溢れる空間だ。

<パルケエスパーニャの現地レポはこちら>

 ……いやもう、バスの中でめーっちゃワクワクしてましたね!! だって素泊まり1泊13,000円ですよ!? ニンテンドーカタログチケット1.5枚分ですよ!?

 値段もありますが、他にも楽しみにしていた理由が二つ。一つは、最初はこのホテルに泊まることを諦めていたから。「シングルコースないのか……」と落胆していたのですが、まさかのシングルコース発表。なんでもTwitterでバズったことで、ホテルに問い合わせが殺到したのだそうな。

 料金を見て面食らいましたが、人生においてこんな高級ホテルに泊まる機会はそうないだろうなと思って奮発しました。へへっ、この旅が終わったら、しばらくそうめん漬けの生活だな……

一人旅は寂しいので、イエッサン(メスのすがた)と来ました

 もうひとつは、前日に泊まったビジネスホテルがこんなんだったからです。部屋に入るなり羽虫に出迎えられた。スキマ風の音が凄まじい。お風呂は共用。そんなホテルの一室で、廊下の本棚に置かれていたジョジョ6部を読みながら、最寄りのファミマで買った缶ビールと砂肝に舌鼓を打ちました。ロビーに誰もいなかったので置き手紙でチェックアウトしました。……そんなことある?

 これはこれで楽しい旅の思い出になったので全然いい。さて、ホテル志摩スペイン村はどんなものなのか。期待に胸が高まるばかりでした。


ロビーとお部屋

 バスを降りる。自動ドアをくぐり抜けてロビーへ。中央には噴水があり、中庭から差し込む陽光が、装飾の行き届いた室内をきらびやかに照らしている。いかにも高級ホテルって感じ。さっそく受付でチェックインを行う。ICカード(お部屋の鍵)と、露天風呂「ひまわりの湯」のチケットを受け取り、説明を受ける——

「本日は素泊まりプランでのご宿泊ですね。レストランはスペイン料理のヒラソルと、和食の志摩がございます。ご予約しますか?」
「お客様のお部屋は○○○号室です。(地図に蛍光ペンを引きながら)こちらのエレベータで上がって——」
「本日は20時から修学旅行生が『ひまわりの湯』をご利用いたします。大変混雑いたしますので、それまでにご入浴を——」

 感動しちゃった。昨日は鍵を渡されて、お部屋の場所を口頭で教えられただけだったので……えっこんな懇切丁寧に教えてくれるんですか!? すみませんねほんと、こんなしがないオタクのために……

 エレベーターに乗って4階へ。案内された通りのルートを歩く。角を曲がり、また角を曲がり、さらに角を——って何回角曲がるの!? 外側から見た以上に広いホテルなんだな……

 ようやくお部屋の前に辿り着く。いよいよご対面だ。ICカードをかざす——

ピッ

ガチャッ

うおおおおおおおっっっっ!!!!

 扉を開けると、淡いピンク色の部屋に出迎えられた。高級感のある絨毯、カーテン、ベッド、椅子——全てピンク色だ。目に優しい色合いに留まっており、不思議と心が落ち着く。壁には白い飾り皿が立てかけられている。なんて素敵なお部屋なんだ。まあ前日のホテル(畳、布団、ちゃぶ台)に比べたらそりゃ良く見えるか……

 あ^〜ベッドでぴょんぴょんしたいんじゃあ^〜……プリングへたりそうだし、さすがにやめとくか。おっベランダあるじゃーん! 入ってみようぜ! シャーッ(カーテンを開く音)


すっげえ!!
めっちゃ綺麗……!!

 ベランダの先には、広大な中庭が広がっていた。パティオってやつだろうか。3階まで匹敵する高いヤシの木がそびえ立ち、ロビーにあったものよりさらにデカい噴水がある。水が噴き出すと、その水音がここ4階まで聞こえる。澄み切った青空も相まって、実に美しい景色だ。

 「やっぱり来てよかった……!!」と感嘆。でもお楽しみはこれから。だって温泉レストランでの夕飯があるんだから!! ベッドで横になってしばらく身体を休めた後、着替えとタオルを持ってひまわりの湯へ向かった。


ひまわりの湯——入浴後のレクリエーション

 ふぅ〜……いい湯だった……温泉入ったのは修学旅行以来かな。あんなにお肌がスベスベになるもんなんだ。気持ちよかったなあ。

 でもひとっ風呂浴びただけで終わりじゃない。聞いた話によると、銭湯や温泉ってのは、マッサージ機や自販機があって、入浴後にそれを楽しむことまでがセットらしい。ここには何があるんだろう……ん?

こんな高級ホテルでもしょーもねえゲーセンあるんだ……
なんか嬉しいな……

 あっ! このUFOキャッチャーの景品、地球グミのパチモンだ! 本家は品薄が相次いでいるらしいからなあ……まさかこんなところにまで影響が出ているなんて……おっ! あれは!

ゴクッ……ゴクッ……

 ……ぷはあ! うめえ! 風呂上がりはコーヒー牛乳(orフルーツ牛乳)って言うけどマジでうめえな!!!!! あれ、でもよく見たら「フルーツ"牛乳"」って書かれてないな……チラッ(成分表を見る)……なるほど牛乳は使われてないのか。まあ鮮度保てねえもんな。そんなもんか。

 って感じで温泉を満喫しました。他にもホテルでしか見られないカップ麺の自販機があったり……なんつーか、ドラマで見たり、噂で聞いたりするような、温泉上がった後に広がっている空間のイデアって感じでしたね。卓球台はありませんでした。まあこのご時世だもんな。

 本当はもう少しここで涼みたかったのですが、レストランのご予約時間が15分後なので、急いでお部屋に戻りました……(計画性がないオタク)


レストラン「ヒラソル」

 ロビーで予約を済ませたレストラン「ヒラソル」へ向かう。ホテル志摩スペイン村って名前なんだから、スペイン料理食わなきゃな。

 メニューを渡されたので眺めてみる。カタカナがいっぱいだ……特にワイン……ヴィニャ・アルバリ・レセルヴァ、エル・コト・クリアンサ、シラー・メドック・プライヴェート・リザーヴ……デスペラードカオスのHP攻撃みてえな名前だ……

 何にせよ、せっかくここまで来たんだ! 単品じゃなくてコース料理を頼むぜ! 一番安いやつだけど!(4,840円)

 店員さんを呼んで料理を注文。店員さんは丁寧にお辞儀をした後、厨房に引っ込んだ。すぐに戻ってきた。

た、助けてくれ。

 ピッカピカのナイフとフォークが並べられると緊張が走った。そりゃあコース料理なんだから格式高いやつだよな……やっべえ、コース料理のマナーなんてテレビ番組で見たなけなしの知識しかねえぞ!!

店員「こちらは〜、こちらは〜、こちらはグリーンピースのムースでございます」
私「アリガトウゴザイマス(どうしてグリーンピースをムースにしようと思ったんですか?)

 へえ〜どんな料理か一品ずつ説明してくれるんだ。丁寧だなあ。あっこのパン! 知ってますよ! 次の料理を食べるまでに、口の中をリセットするために食べるやつですよね!? 手掴みでちぎって、ナイフでバターを塗るんですよね! へへへ……!(得意げ)

店員「水をお注ぎいたします」
私「アリガトウゴザイマス(このお水ってタダですか!? こういうお店のお水は高いって聞いたんですけど!!)

 お会計は料理代だけだったのでホッとしました。風呂上がりのフルーツ牛乳しか飲んでなかったから、喉乾いちゃってガブ飲みしちゃった……恥ずかしい……

 この後、白身魚と、パエリアが出てきました。俺バカ舌だからよくわかんなかったけどよお、素材の味を引き出す味付けにしているってことだけは伝わったぜ! サンキュな!👍

店員「コーヒーとお紅茶、どちらをお持ちしましょうか?」
私「(本当に"お"紅茶って言うんだ……)紅茶デオネガイシマス」
店員「ストレート、レモンティー、ミルクティーがございます」
私「ストレートデ!」

 最後にデザートが運ばれてきました。プディングっぽいやつ。あと丸いピンクのやつはシャーベット。

 これは余談ですが、最近読んでいた本によると——十六世紀、フラン王家に嫁いだカトリーヌ・ド・メディシスは、イタリアからフランスに氷菓を伝えた。婚儀の際には多種多様のシャーベットが並べられ、貴族達の度肝を抜いたのだという。クリーム・砂糖・香料を混ぜた、いわゆるアイスクリームが上流階級のあいだで日常的に食べられるようになったのは、さらに後年、ブルボン朝時代のことなのだという。

 今でこそ文明の利器によって、アイスは庶民の食べ物となったが、当時はまさに権威の象徴だった——シャーベットが高級感のあるお皿に並べられているのを見ると、そんな時代の流れを感じさせてくれますね。

この本です。同シリーズで「情熱でたどるスペイン史」があるらしいので読んでみたいな。

 ってことでフルコース料理を堪能しました。おいしかったけど、正直しんどかったな……テーブルマナーもそうなんですが、店員さんが絶妙なタイミングで水を注ぎにきてくれるし、お皿を片付けてくれる。そのホスピタリティ精神あふれる対応はありがたいんですが、申し訳なさとか、監視されながら食う重圧感の方が勝ってしまった。これは私に100%原因がありますね。人前であまり飯を食えねえんです。色々あってな……

 何にせよ、普段はお目にかかれないフルコース料理を体験できたのはよかった。奮発したかいがありました。旅先でフルコース料理を食べる予定のそこのお前! テーブルマナーはしっかり予習しておいた方がいいぜ!

 温泉とフルコース料理を堪能できたので満足。残りの時間は部屋でゆったり過ごしました。そういえば明日はほぼノープランだな。伊勢神宮と鳥羽水族館かな。移動ルートをざっと確認して消灯。めっちゃ寝心地いいベッドだ……快眠できそう……

 と思いきや、味覚と聴覚の超常刺激で脳をぐちゃぐちゃにされていました。恐ろしいぜパルケエスパーニャ……


朝、チェックアウト

 翌朝は7時頃に起床。不思議と寝覚めはよかった。始発のバスは9時30以降なので、探索と朝風呂をすることに。朝焼けに包まれる中庭は、それはもう美しいものでした。

 ちなみに、朝風呂は私ひとりだけでした。時間早かったしな。露天風呂は壮大な絶景が広がっているわけではありませんが、朝の澄み切った空気の中、ひとりでだだっ広い温泉に浸かるのはめちゃくちゃ気持ちよかったです。

 さて、探索も朝風呂も済ませて、お土産屋さんも見て回った。もう思い残すことはない。名残惜しいけどチェックアウトを済ませよう。

私「チェックアウトお願いします!」
受付「かしこまりました。素泊まり一泊と、入湯税合わせまして……お客様のお会計、13,000円です」(※細かい金額は忘れた)
私「!?」

 瞬間、固まった。そ、そうか……料金前払いじゃないんだっけ……い、いちまんさんぜんえんを!? 今!? この場で支払うの!?

受付「……現金でよろしいですか?」
私「は、はいっ」

 やっべえ、とっさに返事しちゃった。財布を中を探る。あるにはあるが、残金が心もとない……まだ伊勢志摩観光は続くというのに……

私「……すみません、やっぱりクレジットでいいですか!」
受付「かしこまりました」

 いやクソ恥ずいな。持ち合わせ少ねえのぜってえバレたじゃん。こんなハプニング、もとい不注意があるので、旅先ではちゃんとクレカを持ちましょう!


感想・まとめ

景色きれい
温泉気持ちいい
料理うめえ
灰猫

 ふふっ……僭越ながら……ホテルでの思い出を……クソ俳句をしたためました……\ス゛コ゛イ゛テ゛ス゛ゥ゛!゛/ \スゲエセイチョウシチマッタナ!/

 料理代を含めると18,000円くらいでしょうか。「それぐらいの価値あった?」って聞かれると正直わかりません。貧乏性なので、18,000円あればセールで何本もゲーム買えるじゃん、ぶ厚い哲学書買い漁れるじゃん、PC周辺機器買い替えられるじゃん、とか考えちゃいます。

 しかし、ホテル志摩スペイン村に泊まれた、という経験をできたことが何よりよかった。パルケエスパーニャの最寄りのホテル。これを逃していたらきっと旅の心残りになっていた。周辺が森に包まれており、底抜けに明るい装飾で彩られた別世界のような空間。そんな志摩スペイン村という場所に長く滞在できたことが本当によかった。

 ありがとうホテル志摩スペイン村。こんなオタクでも温かくもてなしてくれて。パルケエスパーニャも漫喫できたし、最高の一日になりました。

 なお同日、例のビジネスホテルに戻りました。濃いめのり塩チップスとあぶりベーコンと金麦です。温度差で風邪ひくわ。オセロだったらホテル志摩スペイン村がひっくり返っちまうよ。ちなみにジョジョ6部は6巻まで読みました。めちゃくちゃ面白いっすね。漫画喫茶で続き読もうかな。

<オタクの伊勢志摩ひとり旅>